その6
「今は、ね。何とも気になる言葉だね」
「ははは、相手の気を引く言動は魔族の常套手段さ」
レクサールの発言をリオンは軽く笑い飛ばした。
「成程。一つだけ分かった事がある」
レクサールは真顔で言う。「魔族というのは一筋縄ではいかないって事がな。確かに、聖リュニヴェールにいた連中は真面目で面白味に欠けていたが、こっちの学園はそうもいかないらしい」
「まあ、自分で云い出しておいて何だが、俺が特別製かも知れないぞ」
変に悟りを開いたレクサールを見て、リオンは思わず苦笑した。
「君より変な奴がいないならいないでそれは問題ない。問題は君以上の厄介な存在がいるか、どうか、だ」
真剣な面持ちでレクサールはリオンを見据えた。
「あー、うん。それはどうだろうね、うん、どうなのかな……」
歯切れの悪い言葉を連ねながら、リオンは明後日の方を見た。
「……自分で云っておいてアレだが……いるの?」
その反応を見て、レクサールは嫌な予感を隠せなかった。
「少なくとも生徒にはいない、とだけ」
吃驚するぐらい真剣な表情でリオンは力説した。
「そうか、生徒にはいない、のか」
何となくそれの意味するところを理解したレクサールは溜息を付く。
「ああ、生徒にはいない。腐ってもヴァシュタールだからねえ、俺」
「……有名な家なのかい?」
レクサールの反応に対し少しばかり驚いた顔を見せ、
「さて、どうだろうね。俺はそこそこに知られた家だと思っていたよ、今日まで」
と、リオンは笑った。




