その5
「……成程な。正しく、力こそ正義、なのか」
レクサールは端的に魔族の掟を自分なりに纏めてみせた。
「力なき者は知恵を用いて生き延びねば滅びるのみ。魔界は弱肉強食なれば。と、云っても、余程の莫迦でも無い限り滅ぼしたりはしないぞ? 下っ端がいなくなればいなくなったで不便だからな。上に立つ者は立つ者で苦労するわけだ、どの程度を見せしめにするか、でな。まあ、今は然う云う意味では良い世の中かも知れん。最前線送りにすれば問題が解決かいけつする」
眉一つ動かさず、リオンは厳然とした態度で魔族の有り様を話す。
「勉強になる。その種の話を教えてくれる相手が今までいなかったからなあ。本当に世界が違うんだな」
しみじみとした口調でレクサールは言った。
「神族はガチガチの権威主義で、生まれで一生が決まるところがあるが、魔族は遣り様次第、だからな。その分、締めるところは締めると云う事だ。どっちが良いとか悪いとか云う論評は控えるが、それを常識として生きている事を認識しないと痛い目に遭うかも知れない。自分の常識をなるべく相手に押し付けずに受け入れる事が、うちの学園で楽しくやっていくコツだ。何せ、俺みたいな魔族から、軍神武神系の神族まで幅広く存在するからな。神族との付き合い方は分かっているだろうが、魔族との付き合い方は知らない様だし、気を付けるに越した事は無いって事だ。何せ、寮でもその種のトラブルは尽きはしない。転入生に集まる注目を考えれば、前知識としてあった方が良いだろうさ」
「んー、なんでそこまでしてくれるんだい? それこそ、魔族らしくない気がする」
リオンの懇切丁寧な忠言を聞き、レクサールは逆に疑問を持ち、首を傾げた。
「先にも云った通り、俺の一族は身内には最大限の助力を惜しまない。レクサール、君は既に俺の身内なのだよ。学園に入り、同じ寮で暮らしていくのだからね。ま、今はそんなところで納得しておいてくれ」
意味深な笑みを浮かべ、リオンはレクサールに言った。




