その31
「成程。それなら、明神君でも可能だね」
真面目な顔付きでアールマティは同意してみせる。
「ただ、そんな遣り方では、消耗戦に引きずり込まれるだけで、無限の魔力を有するのが本当なら、ヴァシュタール先輩が最終的に……」
「それはないよ」
リオン優勢になったと言おうとしたクーロンのセリフをぴしゃりと抑え、アールマティは深刻な表情で告げる。「このままなら、リオン君の負けが確定するんだよ」
「……何故に?」
レクサールは首を傾げた。
クーロンもアールマティの方に顔を向け、同じ様な表情で見詰めた。
「リオン君が無限の魔力を有するのは間違いないけど、この状況を作り出しているのは【虚飾】と【憂鬱】に溜め込んだ魔力と、どうやってかして魔力のチャージや詠唱無しで魔導砲撃に変換出来ているからだよね。無限の魔力があろうとも、あの魔導砲撃を可能にしているのはある意味で有限の魔力であり、無制限に使えるって意味じゃ無い。少なくとも、明神君の神威を空っぽにするだけの魔力は溜め切れていないはず。それに、明神君だって、彼を信仰する存在がいれば神威は回復する。彼を応援する生徒、今この学園敷地内にどれだけ居ると思う?」
アールマティは二人に懇切丁寧に現状を説明する。
「……要するに、ヴァシュタール先輩ほど顕著ではないが、ことこの勝負においては明神先輩も無限の神威を有すると見て良い、と?」
「ボクの見立てが正しければ。そして、明神君の対応力は今見てきた通り、防御だけ云えば現役の戦神にも匹敵する。次に同じ魔導砲撃を仕掛けた場合、何の苦労もなく止めきるだろうね。……だからこそ、もし、リオン君に切り札があるのならば、今この瞬間に切らなくては切る場面がなくなる」
ちらりと手元の時計を見遣ってから、アールマティは力強く断言するのだった。




