その30
「あんな風に力業で闇を払うだろうね。問題は、あの力業の正体がボクにはさっぱり分からないところだけど」
「何らかの力を使った形跡はあるようだが、さて? 前の学院でも見た事が無いモノだな、これは」
じっと結界内を見ている内に耐え切れないほど痛くなった左目を瞑り、レクサールは目頭を右手で摘まんだ。
「……推測で宜しければ、私が解説出来ますが?」
恐る恐るといった感じにクーロンが口を開いた。
「分かるの?」
興味深そうな表情でアールマティはクーロンに確認した。
「ええ、大体」
二撃目を打ち込む準備が終わったリオンを見出し、今度は“六華比良”を展開させ防ぎきろうと暁生が構える中、「次の一撃を見れば種が割れるとは思うんですけどね」と、クーロンは呟いた。
そして再び、先程と同じかそれ以上に見える闇の奔流をリオンは解き放った。
今度は、前の展開とは違い、リオンの一撃を“六華比良”が作り出す防御障壁で掻き分け、少なくとも暁生の周りは闇に覆われていなかった。
「魔力を神威で無理矢理相殺したんですよ。あの闇はヴァシュタール先輩が魔力で呼びだしているモノですからね。物理的な威力を含めた闇は同等の力を持った光でなければ相殺出来ないでしょうが、あの場で起きている現象だけなら──ああ、要するにあんな風に力を失った後の残滓だけなら神威で打ち払えましょう。力ある闇をまずどうやってかして防ぎ、魔力によって生み出されている闇を次に神威で消し去る。力ある光を作り出すより神威を使いますが、まあ、術法が苦手ならば悪くない手かと。ただ、神威が有り余っていなければ消耗戦に持ち込まれますよね」
呆れた口調で今起きていた、そして起きているであろう現象をクーロンは推論してみせる。「ま、スマートじゃ、ありませんけどねえ」




