その29
「真っ黒です。結界の中が闇に満たされ何も見えません!」
興奮を隠さずクーロンは叫んだ。
「まあ、リオン君の魔力砲撃の属性を考えればこうなるよね」
冷静な態度でアールマティは感想を口にした。
「それで、クーロン君はあの砲撃をどう見たんだ?」
レクサールは一番詳しいであろうクーロンに聞いてみた。
「……そうですね」
一つ大きな深呼吸をして心を落ち着けてから、「最初から計算尽くでも無い限り、あの規模の魔導砲撃を無詠唱で発動させるなんて不可能でしょうね。私も似た様なことは出来ますが、発動まで護衛してくれる方がいなければ不可能ですな。ヴァシュタール先輩のように力を蓄える為の器もありませんし、何よりも余剰魔力や神威をあんな小器用に溜め置く為の技術は持ち合わせていませんから」と、真面目な顔付きでクーロンは言ってのけた。
「ちなみに、ボクならあの一撃でノックアウトしているよ。あんなの防ぎきれるの、うちの学園の生徒でも明神君と結界を築き終えたクーロン君ぐらいじゃないかな」
あっけらかんとした表情でアールマティは肩を竦めてみせる。
「避けるのなら、多分闇飛君もぎりぎり可能じゃないですかね。ただ……闇属性なんですよねえ、あれ。隠れた影の中まで貫いてきた場合は避けきれないのかな?」
親友の能力を考察しながら、クーロンは冷静に解析する。
「真っ向勝負で相殺するなら光属性の術法、もしくはアレよりも質量共に優れた闇を用意しないと無理だろうね。まあ、明神君なら──」
アールマティが暁生の取ったであろう手を説明する前に、結界内の闇が一気に消え去った。
レクサールは何が起きたのかを見極める為、注意深く目を凝らした。




