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神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
第六章 試合
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その27

 意外な事に、リオンは中距離戦での手応えを感じていた。

 一番厄介である“六華比良”を実質上無効化している事、最終ラインである【鬼哭】による鉄壁の防御を抜けないまでも主導権を常に保持できる事、何よりも暁生に間合いを詰めさせる暇を与えていない事が大きかった。

(……代償として、防御に力を割り振れないってのは痛いけどね。全国大会か武闘大会での本番はこれを主体に組み立てた方が良さそうだ)

 リオンにとって、所詮はこのエキシビション自体が暁生対策の実験に過ぎなかった。

 武神の側面を持つ暁生とは違い、勝負の一つ一つに強い拘りは持たず、自分が滅びない限り負ける事も厭わない。ただし、それが面白い結果をもたらすならば、だが。然う言う意味では、この勝負もいざとなれば捨てても良いお遊びに過ぎなかった。

 ただ、一番付き合いの古い心友である暁生に為す術もなく負けるのは癪に障るので、何らかの成果は欲しいと考えていたし、好き好んで負けるのも嫌いだから勝てるなら勝ちに行こうとは思っていた。思っただけで勝てる相手ではないから、打てる手立ては打った上でのこの試合である。

(だからと云って、ただで負けるのは癪に障るけどねえ)

 全て計算尽くと言えど、魔王なれども感情の生き物。なんやかんや言ったところで、地の性格は負けず嫌いな男である。勝てる算段が出来る以上、態と負けることなど一切考えない。それが後々不利になると分かっていても、だ。結果的にそれが彼にとって一番面白い生き方でもある。

 だからこそ、冷静に考える。

 近距離は暁生が本気になる前ならば何とか凌げる、中距離は圧倒まで行かなくても主導権を握る事が出来る。これさえ分かれば何ら問題は無い。このまま次の展開に持ち込もうと隙を窺っているのだが、流石に一番不利な距離に持ち込まれる事を嫌ったのか、暁生は常に間合いを詰めて近距離に再度持ち込もうと前進を続けていた。

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