表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
第六章 試合
165/723

その21

「当然兵法だから、守りだけじゃなくて攻めの型もあるけど、明神君の性格や彼の一門の気質から攻めより守りを重視するからね。【鬼哭】を完全に攻めに転じられる分、結果的には手数としても圧迫感にしても比べものにならないぐらい怖いよ。正直、あの守りを抜く為に防御を疎かにしてでも攻めに転じられる気質を持った人ってうちの学校どころか、世間を見渡してもそんなにいないだろうし。実際、ボクもあれに屈したんだからね。だから、平然とそれをやってのけるリオン君はその数少ない異常者の一柱(ひとり)。目の前に襲い来る【鬼哭】を得物で撃ち払わずに防御障壁で受け流すなんて神業を続けるなんて狂気の沙汰。並の精神の持ち主だったら、一合と持たずに心が折れる。反射的にあれを防ごうと得物を動かして、今度は攻勢に転じた“六華比良”で追い込まれる。それを撥ね除けるという意味でもリオン君は異常だけど、その膠着状態をどうにかする為に中距離戦を選んだという事が更なる異常性を示しているんだよ」

 強者に対する敬意や畏怖を孕んだ瞳でリオンを見ながら、「リオン君の中距離におけるスタイルはね、防御を一切捨てた“速さ”と“攻撃”に特化した前のめりなスタンスなんだよ」とだけ、アールマティは言った。

 それを詳しく掘り下げようとクーロンが口を開き掛けた時、再びリオンが消えた。

 【鬼哭】と闇が触れ合ったと思った次の瞬間には、リオンが暁生の間合いの外で鎌を構え直していた。

 何故か一部始終を見極められたレクサールは思わず唖然とする。

 それを察したのか、

「見ての通りって云って良いか分からないけど、あれがリオン君の最速。正確に云えば、今振るえる力での限界速度、だろうけど。あの速度があれば、本来防御なんて要らないよね。反応できるはずないもの」

 アールマティが解説している間も、簡易な攻撃術法を発動させながら、大鎌を振りかざし、目にも付かぬ速さで暁生に斬り掛かっていた。見切れぬ者からすれば、一条の闇がまるで稲光か閃光のように辺り狭しと駆け巡っているかのようにしか見えないだろう。

 先程までの均衡が嘘のようにあっさりとリオンは暁生から主導権を奪い返していた。

「……正直、私には何が起こっているのかちっとも理解出来ません」

 クーロンは何とかそうとだけ言うと、途方に暮れた表情を浮かべた。

「大丈夫だよ。あんなのを見切れるのは本当に一握りだけだから。それに」

「それに?」

「明神君の反撃がここから始まるよ」

 アールマティは確信めいた強い語調で断言した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ