その18
間一髪の所でリオンより前に手を打てた暁生であったが、攻め倦ねていた。
自らの手数は増えたが、リオンの手数を思うように減らせないのが痛かった。
得物を攻撃に専念させ、防御は術法で障壁を作り出す。
魔力が続く限りの手であるとはいえ、リオンの魔力が高々三十分の勝負で尽きるほど底が知れたものでない事は暁生が一番承知していた。
一気に主導権を奪い取るつもりが唯の膠着状態にしか持ち込めなかったのは痛恨事であり、更なる切り札を使うにしてもリオンの手札を切らせずに切るのは博打が過ぎた。
(やはり、初手を読み損なったのが痛い)
いきなり近距離戦を挑んでこないと高を括っていた自分の油断が恨めしかった。
リオンとて膠着状態を望んでいるわけではないからそろそろ次の動きをがあると読んでいたが、如何なる手を打ってくるかが皆目検討つかない。
次に暁生が思い切った手札を切った瞬間、リオンがそれに合わせてスタイルを変えてくるのは間違いない。ただし、一度使った手がリオンに通じると思うほど暁生も楽観的ではなかった為、使うならば新たなる一手でないと意味が無い。それもあり、リオンに切り札らしい切り札を使わせていない今、積極的に次の一手を打つ気にはなれなかった。
それ以前に暁生の基本スタンスは後の先であり、無理に先を取る事は得意な行動ではないし、趣味でもない。
(……先に動けばその隙を突かれるのは間違いない。だからこそ、リオンが手を変える瞬間に──)
暫く膠着を続ける覚悟をした瞬間、急に視界からリオンの姿が消えた。
即座に暁生はリオンがどちらかのスタンスに変える為に動いたと覚り、前面に展開していた“六華比良”を自分の身体を中心に広く展開しなおす。
(莫迦か、私は。あいつが手を変える瞬間に隙など見せるわけもあるまいッ!)
再び一手遅れる事となった暁生は心中で己の甘い考えに舌打ちしながらも、リオンの気配を探るのだった。




