その17
「な、なんなのでしょうか、この光景は!?」
その異様な展開に思わずクーロンは驚愕の声を上げた。
それを予測していたアールマティは兎も角、レクサールも魂消た。
「“六華比良”。明神君の切り札の一つ、だね」
虚空より現れた六振りの刀が【鬼哭】の周りに華開いた。
それまで【鬼哭】で防いでいたリオンの斬撃を六振りの花びらが固く閉じられたつぼみのように全てを撃ち払っていく。
逆に、手空きになった【鬼哭】で暁生は攻勢に移る。
「見ての通り、明神君の見えざる手で操っている六振りの刀で敵の攻撃をシャットアウトする鉄壁の技法。近距離における明神君の奥の手の一つで、アレを破らない限り一本を取る事は不可能だろうね」
アールマティは、「ボクもアレに負けたんだよなあ」と、溜息を付いた。
「対応策はあるのか?」
真剣な表情で勝負の行方を追いながら、レクサールはアールマティに問う。
「ボクにはないよ。アレは全ての攻撃をいなしきる為の技法だし。あの防御を正面から突破出来ない以上、出されたら勝ち目がないんだよね」
大きく溜息を付きながら、アールマティは肩を落とした。
「と、すれば、ヴァシュタール先輩の負けは決まったという事でしょうか?」
アールマティの反応から、クーロンは導き出した答えを訊いた。
「……悔しいけどね、ボクにはないんだよ、ボクには」
再び大きな溜息を付き、「でも、リオン君はいくつかあるだろうね。問題は、それを明神君がさせるかどうか、だけど」と、首を捻る。
「……確かに、手一杯で何か仕掛けられそうにもないな」
アールマティの言わんとしたところを察し、レクサールは納得した。
「さて、ヴァシュタール先輩の敗色が濃厚となってきましたが、逆転の機会はあるのでしょうか?」




