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神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
第六章 試合
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その16

 リオンの思考は単純明快であった。

 後の先を得意とする暁生の先を取り続ける事で主導権(イニシアティブ)を決して与えない事、自分の手の内全てを防ぎきられる前に相手の切り札を引きだしカウンターを仕掛ける事、そこで漸く生まれる隙を突いて鉄壁の防御を打ち砕き一本を奪い取る事、これらを確実にやってのけられる策を立てる事を考えていた。

 その為にも、まずは暁生に余裕を与えぬようになるべくなら仕掛けたくなかった近距離戦を選んだ。

 当然、暁生もリオンの性格を熟知していた為、虚を突かれたのか出足が鈍った。

 リオンにとって計算外だったのは、出足が鈍ろうとも主導権を奪わせまいと要所要所で確実な反撃を仕掛けてくる暁生のしぶとさだった。

 当然、並の剣客でないことも、淡泊な組み立てをする訳が無いことも計算済みであったが、変幻自在の闇の刃をあっさりと見切り、受け流してくる上、こちらの手数を読み切った上での着実な反撃は流石のリオンですら予想していなかったのだ。

 御陰で、適当なところで切り上げて距離を変える事で仕切り直し、ペースを乱して隙を作るという当初案が御破算となった。

(……こいつは、まずいなあ)

 守り切られる事で、徐々に流れが暁生に傾いているのを肌で感じ、リオンは悩む。

 この距離で暁生が切り札の一つを切ってきた場合、折角の主導権を全部持って行かれる恐れがあった。

 そうはさせまいとあの手この手で動揺を誘うが、決してリオンの思惑には乗ろうとせず、逆に自分のペースに引きずり込もうとバレバレの誘いを掛けてくる。

 リスク覚悟でリオンが大きく動く事を決意したその時、同じ結論に達していた暁生が先に動いたのである。

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