その3
「呼び捨てで良い。こっちも呼び捨てにするし、同級生だからね。ま、それに手間も省けた」
爽やかな笑みを浮かべ、リオンは数度頷いて見せた。
「……手間?」
リオンの意図が見えず、レクサールは首を傾げる。
「ああ。君の案内を仰せつかっていてね。とりあえず時間つぶしをしてから校門の前でぼけっと待とうかと考えていたところだ。実に都合が良い」
馴れ馴れしくレクサールの肩を叩きながら、リオンはにやりと笑って見せた。
「……最初から、俺が誰かと分かっていたのかい?」
レクサールは微妙な顔付きでリオンを見る。
「ははははは、こういう第一印象ははったりを利かせるモンだろう? 何せ、魔族、だからね」
ニヤニヤと笑いながら、リオンはレクサールに答えた。
「成程。一つ勉強になったよ」
レクサールは大きく溜息を付いた。
「ふむ? 前の学校には、俺みたいなのはいなかったのかね?」
些か不思議そうな表情を浮かべ、リオンは尋ねた。
「お堅い学院だったからなあ。主神級の血筋の止事無き方が多かったせいか、魔族は余り姿を見なかったな。皆無、ではないらしいんだが、俺は見た記憶が無い」
幾分か遠い目をしながら、レクサールは苦々しく前の学校のことを思い出していた。
「ははぁ、然う云う環境だと魔族は暮らしにくかろうな。成程、成程。どうしてそんな学校に行ったかは兎も角、日陰者としてなるべく気が付かれない外見にでもしているんだろうな。心底、俺はこの学園で良かったと思うよ」
そんなレクサールの心境を知ってか知らずか、クスクスと笑いながら、リオンは割と真面目な表情を浮かべて言った。




