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神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
第六章 試合
159/723

その15

「そうなんだ。それじゃ、そろそろ目で追えなくなるかもね。あれぐらいの速度だと、あの二柱(ふたり)にとってはウォーミングアップにすらならないからね」

「……マジですか?」

 アールマティの指摘に、思わずクーロンは素で聞き返してしまう。

「本当だよ。多分、それもあってボクが解説役なんだろうね。あの二柱の勝負を目で追えるの、現役生だとボクを含めてそんなにいないだろうし」

 二柱の勝負から目を離さず、アールマティはすげなく言ってのけた。

「……そんなに早いか、あの打ち合い? 俺にはかなりゆっくりに見えるが?」

 先程からクーロンの実況を聞いて感じていた違和感をレクサールは口にする。「あれぐらいなら、人類種でもまだやれるレベルだろう?」

「その通りだね。でも、人類種でもあのレベルに達せるのはほんの一握り。デズモリア君みたいに感じられる人もそんなに居ないと思うよ」

 その感想を聞いて素直な賞賛をアールマティはレクサールに送った。

「……いやあ、術法一辺倒の私には非常に荷が重いです」

「大丈夫だよ。リオン君が、“近距離”だけで終わらせるわけないから、君じゃないと実況解説できない状況は絶対に来るよ」

 強い確信を抱いた口調で、アールマティははっきりと予言して見せる。「遠距離戦の駆け引きは、ボクじゃ解説できないからね。レクサール君はどう?」

「多分、自分では分かるけど、人に解説できるかと云えば無理だと思うなあ」

 徐々に速度が上がってきた打ち合いを眺めながら、レクサールは正直なところを言った。

「今はダヴー先輩の予想が当たるのを祈るのみです。さて、試合の展開はちっとも変わらず……というか、既に私には何が行われているかさっぱり分かりません」

「結構良いペースになってきたよね。そろそろ次の展開に移る頃だと思うんだけど、どっちが先に仕掛けるかな?」

 楽しそうな口調でアールマティは満面の笑みを浮かべる。

 どういう事なのか、レクサールが聞こうとした時、状況が動いた。

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