その15
「そうなんだ。それじゃ、そろそろ目で追えなくなるかもね。あれぐらいの速度だと、あの二柱にとってはウォーミングアップにすらならないからね」
「……マジですか?」
アールマティの指摘に、思わずクーロンは素で聞き返してしまう。
「本当だよ。多分、それもあってボクが解説役なんだろうね。あの二柱の勝負を目で追えるの、現役生だとボクを含めてそんなにいないだろうし」
二柱の勝負から目を離さず、アールマティはすげなく言ってのけた。
「……そんなに早いか、あの打ち合い? 俺にはかなりゆっくりに見えるが?」
先程からクーロンの実況を聞いて感じていた違和感をレクサールは口にする。「あれぐらいなら、人類種でもまだやれるレベルだろう?」
「その通りだね。でも、人類種でもあのレベルに達せるのはほんの一握り。デズモリア君みたいに感じられる人もそんなに居ないと思うよ」
その感想を聞いて素直な賞賛をアールマティはレクサールに送った。
「……いやあ、術法一辺倒の私には非常に荷が重いです」
「大丈夫だよ。リオン君が、“近距離”だけで終わらせるわけないから、君じゃないと実況解説できない状況は絶対に来るよ」
強い確信を抱いた口調で、アールマティははっきりと予言して見せる。「遠距離戦の駆け引きは、ボクじゃ解説できないからね。レクサール君はどう?」
「多分、自分では分かるけど、人に解説できるかと云えば無理だと思うなあ」
徐々に速度が上がってきた打ち合いを眺めながら、レクサールは正直なところを言った。
「今はダヴー先輩の予想が当たるのを祈るのみです。さて、試合の展開はちっとも変わらず……というか、既に私には何が行われているかさっぱり分かりません」
「結構良いペースになってきたよね。そろそろ次の展開に移る頃だと思うんだけど、どっちが先に仕掛けるかな?」
楽しそうな口調でアールマティは満面の笑みを浮かべる。
どういう事なのか、レクサールが聞こうとした時、状況が動いた。




