その2
「そこまで驚く事は無いよ。簡単な消去法だ」
若者は笑い飛ばし、「まず、駅の方から来たみたいなのにスクールバスを使っていない。ある程度の荷物を持ったうちの学生がそんな暴勇を実行するとは思えない。歩くとなるとなんやかんやで一時間近く掛かる。自転車なら兎も角、徒歩はまず選ばない。次に、俺と同じ様な年代の様だ。でも、見た事が無い。これで他校生か、転入生だと推測できる。そして、その足元のバッグ。他校生が来るならそれなりの格好と荷物で来るだろうからね。旅行がてらと云うには時季が外れている。そんなところかな?」と、解析して見せた。
「成程。云われてみれば道理な気がする」
多少狐につままれた様な気分に陥ったが、一応筋道立った説明を受けた所為かすんなりと納得してしまった。
「ははははは、素直に相手の云う事を聞いては騙されるぞ。俺はこれでも魔族なワケだからなあ」
若者はそんなレクサールを笑い飛ばし、右手を出す。「初めまして。明星学園高等部二回生、リオン・ヴァシュタールだ。見ての通り、魔族だ」
レクサールは落ち着いてリオンを見直したが、見た目で魔族と言う事を見極めるには至らなかった。
ただし、強い魔力をその身から発している点と、気圧される何かを持っているところを見て、ただ者では無い事は察した。
「レクサール・デズモリア、同じく高等部の二回生になる予定です。こちらこそ宜しく」
差し出された右手を掴み、軽く上下に振った。
「宜しく、レクサール。俺の事は好きに呼んでくれて良い。上でも下でも、な」
「あー、だったらリオン君、かな」
相手との距離感を図りかねながらも、名前に君付けしてレクサールは言った。




