その4
「どうにか出来る可能性がある分、悪徳セールスマンの方がマシだと思いますよ、この場合は」
リオンの覇気をさらりと受け流し、闇飛は平然と軽口を叩いた。
和やかなまま圧力をかけ続けようとリオンがしていた時、
「……こういう大事なことを当日に決めるのはどうかと思うんだがな」
と、何かに耐えるかのような表情で暁生はそう絞り出した。
リオンは何も言わずに肩を竦めて見せてから、携帯を静かに受け取る。
「まあ、何時ものことじゃないんですかね」
黙々と食べ続けていたクーロンがそれに口を挟んだ。
「クーロン君は食事を続けようね~。食べるの遅いんだからね」
なおも喋ろうとする親友をあっさりと制止し、闇飛はトレーを持って返却棚へと向かっていった。
猶も口を挟もうとしていたクーロンは、それを聞いて大人しく食事に戻る。
「彼は食べるのが早いな」
未だに誰も食べ終わる気配を見せていない中、さっさと食べ終わっていた闇飛を見てレクサールは妙に感心した。
「アレで代々続く忍びの者の家系らしいからな。食べられる時に一気に食べる習慣が付いているんだろう。あと早いのはあっちゃんぐらいか」
リオンがそう言い終わるのとほぼ同時に、
「ごちそうさまでした」
と、暁生は締めの言葉を口にしていた。
「この二人は基本的に食事に於いては真似できない境地にいるからねえ。ま、早食いする連中は待たせれば良いんだよ。急ぎの用件がない日は、ね」
そうは言いながらも、リオンは既に大半を食べ終わっており、レクサールがそれに追いつくことはなさそうであった。




