その2
「……おはよう」
とりあえず、現状を把握するためにも落ち着こうとしてレクサールは挨拶を返した。
「種明かしをすればね、大体俺達は同じ時間帯に朝食を同じ場所で取っていて、他の連中が寄ってこない所為でここら一帯が空席になっている。何も知らずにここにやって来たら、空いているからここに座るだろうという寸法さ」
クスクスと悪戯っぽく笑いながらリオンは言う。「それに朝の頭が働かない時間帯なら、ちょっと魔術で意識を逸らせば簡単に騙し討ちができると云ったところか」
「まあ、趣味が悪いことは認めるが、そうでもしなければ君の方から近くに来て貰えなかっただろうからな。悪く思わないで欲しい」
箸休めを摘まみながら、暁生は割りと真面目に謝罪してきた。
「予測されているとは思いますが、この二柱はかなり悪戯っぽいところがありますからね。まあ、絡まれた時点で諦めて下さい」
器用に魚の骨を箸で除けつつ、闇飛はフォローを入れてきた。
「俺様は朝一番の食事を楽しく過ごすべきだと思っているんで、最初から普通に誘う気ではありましたよ、先輩。まあ、個人的な趣味としたら女性との語らいの方が良いんですがねえ」
一片たりとも食事作法を崩す事無く上品に卵料理を切り分けながら、クーロンは溜息を付いた。
「朝から騒動の種を欲しいとは私は思わない。昼食の時に好きなだけそうしたまえ。その時間ならば、私の責任下ではない」
冷たい視線を後輩に飛ばしながら、暁生は静かに宣言した。
「そうさせて戴きます。……正直云えば、こうやって男友達と駄弁るのも嫌いじゃないんですがね」
優雅な姿勢を崩さず、クーロンは肩を竦めて笑った。




