その1
それは懐かしくも悲しい記憶だった。
いきなり破壊された家族団欒、阿鼻叫喚の地獄絵図、理外の理が撒き散らす死の暴威。
ただただ震え、全てを失いながらそれがどこかに立ち去る事だけを祈り続けた。
己の無力だけを思い知らされ、何もできずに消え去ろうとしていたその時──
(……最近、またこの夢をよく見るようになったな……)
見慣れぬ部屋で目を覚ましたレクサールは額を手で押さえながら上半身を起こす。(目覚ましの時間より多少早いが……初日から遅刻するのも拙いから起きるか)
歓迎会も含めた昨日の疲れがまだ抜けきっていないのを自覚しながら、手早く着替え、遮光カーテンを開け放った。
朝日の眩さに目を瞬かせながら、レクサールの意識は覚醒していった。
「……とりあえず……」
レクサールは声を出して確認する。「顔洗って、食堂に行くか……」
朝食をのせたトレーを空席に置き、椅子に座るとレクサールは大きな欠伸をした。
「おや、お疲れかね」
いつの間にか隣に座っていたリオンが笑いながら声を掛けてくる。
レクサールが何か言おうとそちらを見ると、リオンの対面の席に暁生が、二人の脇に闇飛とクーロンがしれっと座っていた。
「……いつの間に?」
空席を見つけて座ったと思い込んでいたレクサールは些か動揺した。
「ああ、問題ありません。そこ空席ですし。明神会長とヴァシュタール先輩の周りは大抵どんな混雑時でも周りが避けますから」
何事もなかったかの様に、闇飛は淡々と説明してのけた後、「おはようございます、先輩」と、挨拶してきた。
「おはよう」
「ああ、俺としたことが。第一声を間違えていたよ。おはよう、レクサール」
「おはようッス、デズモリア先輩」
まだ状況を把握し切れていないレクサールに三者三様の態度で挨拶を飛ばしてきた。




