その29
「アールマティ女史、俺は思うんだが、君達はもう少し気を抑える努力をしてはどうだろうか?」
途端に脱力したリオンは思わず愚痴る。「ここ最近、毎回の事とは云え、あれだけの気をぶつけられたら、俺とて思わず身構えてしまう」
「私も人の事を云えないが、これは酷いな。これは数の暴力だろう」
暁生もまた、顰めっ面で苦言を呈した。
事実、校門前で感じた気配と今の闘気を比べただけでも、レクサールからしてもその異常さは感じ取れた。それも、一人二人ではなく、今帰ってきた風紀委員の実働隊全員が裂帛の気合を無差別に放っているのだ。
言い方は悪いが、まるで一戦をしてきたかのような気の昂ぶりである。
アールマティは何も言わずに立ち上がると、赤面したまま玄関へと早足で向かった。
直ぐに、アールマティが委員会の仲間達に注意を促す声が聞こえてきた。
「……闇飛君は気が付いた?」
三人の反応の意味が分からなかったのか、小声でクーロンは隣に居る親友に話しかける。
「多分、私が一番早くに気が付いていたんだと思うよ。腐っても忍びの者だし」
事も無げに然う言うと、闇飛は立ち上がる。「それでは、先輩方。歓迎会の開始を告知して参ります」
「そうだな。これで全員戻ってきたみたいだからな。風紀の娘達には悪いが、さっさと始めるか。連帯責任と云う事で」
さらりとリオンはとんでもない事を言い切った。
「後が怖そうなことを……」
クーロンは額に冷や汗を滲ませ、恐る恐る玄関の方を見た。
「一応道理だがな? まあ、私ならその策は選ばんよ? お前さんの責任下でやれ?」
我関せずとばかりに、こればかりは末尾を疑問形で濁しながら、暁生は目を逸らした。




