放課後ガールズトークこっそり聞いてみない? その3
「という訳で今年の三条祭(※文化祭のこと)ですが、私たちのクラスは『ドスケベメイド喫茶ご主人様それはダメにゃん♡』に決まりました」
「どういうわけだよ? まだ演目の多数決とってないだろ」
「多数決、いりますか?」
「いるよ! 見ろ、こいつらの憮然とした表情を」
「そうだ、ブサイクがますますブサイクになってるぞ」
「ブサイク言うな」
「そもそも、ドスケベメイド喫茶なんて生徒会が許可するわけないだろ」
「いえ、必ず許可されます」
「なぜ?」
「露出ほぼゼロのかわいくないメイド服で、ブサイクなお前らが、まずいお茶を出すだけだからです」
「マイクロビキニとか着る系じゃないの?」
「そんなこと一言も言ってません。やーい、このスケベ」
「ただのタイトル詐欺かよ」
「詐欺ではありません。タイトルから間違った妄想をした方が悪い」
「ひでぇ……」
「これが世間の厳しさです」
「パパンとママンに溺愛されているお嬢様が、世間の厳しさを語るな」
「パパンとママンに溺愛されているのはお前もだろ」
「てか、ここにいる全員」
「……恵まれているな」
「今さら気づきましたか、このうつけが」
「うむ」
「そんな私たちがドスケベメイド喫茶なんてやったら、親が泣くだろ」
「でも中身は健全だし」
「いや、むしろマイクロビキニを着るべきでは? 私以外の全員」
「なんで自分以外を恥辱にさらそうとしてるんだよ」
「てめーらと違って私はガチお嬢。はしたない格好なんてできませんわ、おほほほっ」
「ぬかせ、貴様のようなお嬢がいてたまるか!」
「おだまり! 見なさい、この美しき縦ロールを! これこそガチお嬢の証」
「今朝、ヘアアイロンを寝ぼけて失敗して、直す時間なかったって言ってたやん」
「つまり、身体を張った芸ってことか」
「違う。これはお嬢の証」
「でも、明日はいつもの髪型に戻すんだろ?」
「いいえ、これから卒業するまで、この髪型で通す」
「やめとけ。今ならまだ引き返せる」
「止めても無駄。私は真のお嬢として目覚めたの!」
「わかった。じゃあ止めないよ。グッドラック、お嬢様」
「おおよ、皆のもの、達者に暮らせよ! アディオス!」
「ちょっと待て!」
「何?」
「お前、クラ会から逃げようとしてるだろ」
「……バレたか」
「姑息なヤツめ」
「じゃあ、さっさと決めよう。さっきのでいいじゃん、セクシーおでん屋で」
「ちょっと待て!」
「だから何だよ?」
「演目変わってるやん」
「え? そうだっけ?」
「ドスケベメイド喫茶だっただろ」
「ドスケベメイド喫茶だと? お前、正気か?」
「……お前にだけは言われたくない」
「喫茶でもおでん屋でもええやん。どちらにしろ、お前らが作るものはマズい」
「そんなことない。私の作ったラーメンは美味しい」
「お湯注いだだけだろ」
「私の作ったチャーハンも美味しい」
「冷凍のヤツ、チンしただけだろ」
「私が作ったことには変わらない」
「作ったうちに入らん。この中に飯を作れるやついるか?」
「……いると思うのか?」
「いや……マジで使えん奴らだ」
「お前もな」
「私はしゃーない。イケメン執事のヨーゼフがやっちゃうから」
「……お前の家は、週三で家政婦のおばはんが来るだけだろ」
「なぜ、それを知っている?」
「部屋が汚いって、おばはんに怒られたって言ってたやん」
「……そうだっけ? 忘れた」
「健忘症か?」
「いや、私は考えなければいけないことが多い」
「という訳で今年の三条祭ですが、私たちのクラスは『ドスケベメイド喫茶ご主人様それはダメにゃん♡』に決まりました」
「どういうわけだよ? まだ演目の多数決とってないだろ」
「多数決、いりますか?」
「……ん?」
「どうした、ブサイク?」
「話が元に戻ってない?」
「気のせいだろ」
「そう? まぁいいか。ドスケベメイド喫茶ってなんやねん!」
「……時は巡る」
「何か言ったか?」
「何でもない……」
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