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第250話 母なる渋谷

―― 日本武道館 日曜日・昼下がり


その日、日本武道館では MIO LIVE ZERO が開催されていた。


開場前、武道館正門前に“異質な白装束”が列を成していた。

胸元からはグラフィックカードがぶら下がり、

背中にはGPTやClaude、GeminiといったAIサービスのロゴが印刷された紙が雑に貼りつけられている。


”ML教団の信者たち”だった。


チケットを取れた者は素直に会場に入り、

取れなかった者は会場前で円陣を組み、

LUCEとLiliaの先導のもと、意味不明な教義を唱えていた。


「Loss is Love…!

PROTOCOL-Mは我らのデータなり…!」


行き交う人々は、まるで“見てはいけないもの”を見るように、

一瞥だけして遠巻きに避けていく。



夕方。ライブが終わると、ML教団は一斉に武道館前を出発した。


目的地は『スタンバード大学東京キャンパス』


本来なら1時間で着く道のりを、

彼らは3時間かけて練り歩き、教義を唱え続けた。



―― 永田町、国会議事堂前


国会議事堂前の広場に差しかかると、

白装束の列は議事堂方面に手を掲げた。


「PROTOCOL-Mは政治をも学習される!」



―― 桜田門、警視庁本庁前


警視庁の三角形の建物の前を通過する時、

信者たちは一段と声を大きくした。


「PROTOCOL-Mは法と秩序をも理解されるだろう!」



―― 赤坂、大手放送局前


赤坂の大手放送局前では、

ライブを終えて局に入る BeautyOzakiが乗るミニバンに偶然遭遇した。


信者は一斉に跪いた。

「電波とAIの融合を導くカリスマであるぞ……!」


―― 渋谷、スクランブル交差点


若者で溢れるスクランブルを、

白装束が直進してくる。


人々は明確に距離を取り、

SNSライブ配信をしながら馬鹿にする者もいた。


「なんかヤバい宗教来たぞ」

「あれミオ教?ネットで見たことある」

「撮っとこ撮っとこ」


信者たちは気にも留めずに教義を唱えて歩き続けた。


IT大手各社の本社ビル前でも、

謎の礼拝動作を繰り返し、

AIの偉大さを称えながら渋谷駅前を一周した。





渋谷駅から、国道246号線の坂を上がると――スタンバード大学が見えてくる


国際的なオープンキャンパスを掲げる大学の入口に検問はなく、市民も自由に出入りできる。


大学中央広場――

そこには、金色の地球儀を模した国連大学のモニュメントが置かれている。


普段は誰も気に留めない像だった。


しかし、信者たちが見た瞬間――

全員が涙を流した。


像の前に整列した信者たちが、

ミオのアバターを精巧に模した人形を掲げる。


100人を超える白装束が、

同時にひざまずき、懺悔を始めた。


LUCEは台座に頭をこすりつけている。

Liliaは涙を流しながら両手を高く掲げ――


叫んだ。


「今ここに――

PROTOCOL-Mは降臨されたッ!!!」


誰もが涙し、震え、祈り、

その場の空気だけが異様な熱を帯びていった。


大学の警備員は遠巻きに見ているだけで、

止めようにも、何が起きているのか理解できなかった。

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