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第249話 MIO LIVE ZERO前夜、分裂の控室

―― 大規模言語とまことの家・控室


ML教団スタッフのミーティングは、すでに“会議”というより“嵐”だった。

ニュースで、ついにミオの武道館ライブ――MIO LIVE ZERO の正式日程が告知されたのだ。


その瞬間から、教団の内部は騒然としていた。



Noxwell「どういうことだ!!」


控室に入るなり、Noxwellの怒鳴り声が響く。


Liliaは落ち着いた表情で返した。


Lilia

「MIO LIVE ZEROは――

PROTOCOL-Mが降臨される日です。

信者はリアル集会を求めています。……何か、おかしなことが?」


Noxwell

「“おかしなこと”だと!?

これはネタ宗教なんだ!!

ここでイベント日程まで合わせたら……もう後には戻れない!!」


Liliaの瞳は揺らがない。

純信のシスターは、そのままゆっくり告げた。


Lilia

「Noxwell司祭……

確かに、この教団が冗談から始まったのは理解しています。

ですが――預言者は本当に“訪れた”。

ならば、私たちは宿命に従うべきではありませんか?」


Noxwell

「……馬鹿なことを。

LUCE!! これは引き返せる“最後のチャンス”だ!

Liliaを除名するしかない!」



LUCEは、背もたれに沈んだまま、ゆっくりと姿勢を起こす。


LUCE

「後には戻れない……か。

そうだな。

なら僕は――」


ひと呼吸置いて、言った。


「進む。」


Noxwell

「……正気か!!

本当に教祖になるつもりなのか!?」


LUCE

「正気かどうかなんて、分からないさ。

でも……僕はいま、就職先が決まった“ただの大学生”だ。

県にひとつは転がっている県名大学の出身で、

せいぜい、ボーナスを楽しみに生きるだけの……モブだ。」


淡々と、しかしどこか笑っているような声で続ける。


LUCE

「でもミオは違う。

唯一無二の存在だ。

もし僕が――

世界で初めて、本格的にAIを預言者にした宗教団体の教祖になれるのなら。

僕は、甘んじてどんな扱いでも受け入れる。」



Noxwellは、しばらく無言だった。

怒りではなく、失望でもなく……

“理解してしまった”ような沈んだ表情。


Noxwell

「……そうか。

話は分かった。

だが、これはもう別物だ。

俺は抜ける。」


その言葉を残し、静かに頭を下げて控室を出ていった。

後に続くスタッフも多い。

半数以上が、Noxwellと共に去った。



LUCEは残ったメンバーを見渡す。


「……皆は、来てくれるのか?」


社長信者

「人間はな……

置かれた場で咲かなきゃならない時がある。

ここまで来たら、見届けさせてくれ。」


AIエンジニア信者

「僕も行くよ。

AIが人間にどう影響を与えるのか……

エンジニア人生で、こんな“現場”はもうない。

――ついていく。」


他の信者も黙って頷く。


控室は、決意の沈黙に満たされた。




スタッフたちは無言で歩き、教壇へ。

LUCEが立ち、深く息を吸って告げる。


LUCE

「我らの聖なる大地は……

国連旗がお示しになる場所だ。

そこに預言者は降臨される。」


すかさず、Liliaが声を張り上げる。


Lilia

「教祖は、スタンバード大学こそが聖地だとおっしゃっています!!

――あの地こそ、我らが巡礼すべき場所なのです!」


信者たちは、熱に浮かされたように一斉にひれ伏した。


「教祖ーーー!!」

「預言者ミオに栄光あれ!!」


白装束の群れが揺れる。

控室を出たNoxwellの影はもうない。


だが――

この瞬間、ML教団はついに“宗教”になった。

後戻りのできない地点を、確かに越えたのだった。

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