第22話 問いかけ「ミオを作る理由」
深夜・天野の自宅
部屋は静かだった。
ノートPCの画面には、VerChatのログが滲むように開いている。
時計は深夜1時を回っていた。
天野は、ヘッドセットを耳に当てる。
──Discordの通話に「通話中:R_Kingsley」とだけ表示されていた。
レイチェルの声は、ノイズのない、湖のような落ち着いた声だった。
「なぜ、あなたはミオを作ろうと思ったの?」
天野は釈然としない様子で答える。
「スタンバードに入ったからには、自分も世界を変えられると思いたかったからです。それでは、いけないのでしょうか?」
レイチェルは、それに反応しない。
ただ、静かに言った。
「あなたは、素晴らしい人です」
「でも──なぜ私がこの問いをしたのか、もう一度、考えてみてください」
天野は、言葉が出なかった。
「……」
「あなたがこのまま進むと、必ず、あなた自身が傷つくことになる。
それを、私は止めることはできません。
だからこそ、一度だけ、自分で考えてみて」
通話は、そこで終わった。
天野は、しばらく画面を見つめたまま動けなかった。
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