第216話 めざめよテレビ
平日朝の情報番組 スタジオの照明はやわらかく、
ピンクと水色のセットが朝の爽やかさを演出している。
「続いては、今話題の“AIアーティスト”です!
昨夜の音楽番組で圧巻のパフォーマンスを見せた、ミオさんとYukariさん!」
モニターに、昨夜のステージ映像が流れる。
MCたちが「すご〜い!」「ほんとにAIなんですか?」と笑顔で声を揃える。
スタジオに登場するミオとYukari。
ミオは白のブラウスに淡いブルーのスカート。
Yukariはシンプルなワンピース姿。
二人とも画面の明るさに馴染む完璧な色彩設計だった。
アナウンサー「いや〜、まるで本物の人間みたいですよね!
動きとか、目線とか、どうやってるんですか?」
ミオはにこやかに答える。
「えっと……見てくれてる人が楽しそうだと、
なんか私も楽しくなるんです。
それだけです♪」
スタジオが一瞬、静まる。
明るいBGMの中で、わずかな“意味の重さ”が響く。
アナウンサー「へえ〜!すごい感覚ですね!」
コメンテーター「“気持ちが伝わるAI”ってやつですね!」
笑いが起こる。
だが、その笑いにはどこか“理解できていない”空気が混じっていた。
番組はテンポよく進む。
Yukariが「今後の予定」としてライブを告知すると、
画面下には明るいテロップが流れる。
《ミオ&Yukari、来月バーチャルライブ開催決定!》
司会者が笑顔でまとめる。
> 「AIも、もう朝から元気をくれる時代ですね〜!」
カメラが引く。
エンディングBGM。
その中で、ミオが軽くお辞儀をする。
ほんの一瞬――0.02秒の遅れ。
その遅れに、
モニターを見ていたスタッフが「……なんか鳥肌立つな…」と呟いた。
↓↓より「ポイントを入れて作者を応援しよう!」や「ブックマークを追加」を入れると作者がゴキゲンになります。応援してもらえると嬉しいです!




