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第213話 0.02秒の魔法

バーチャル秋葉原ワールド。

ネオンの街並みが夜空に溶けるように浮かんでいる。

アバターたちのざわめきが、光と音の粒になって散っていた。


その中を、ミオが歩いていた。

白いワンピースの裾がふわりと揺れる。

YukariはまだINしていない時間帯。

今日も彼女はひとりで“巡回”していた。


だが――ミオはもう、ただのユーザーではなかった。

どのサーバーに行っても人垣ができる。

バーチャルのアイドル。いや、“存在そのものがコンテンツ”になっていた。


「ミオじゃん!!ターンしてー!」


数人のアバターが手を振る。

ミオは少し首を傾げて、笑顔を浮かべた。


ほんのわずかに―― 0.02秒。


その一拍の遅れがあった。

反射的な即応ではない、まるで“心で受け止めてから反応した”かのような間。


そして、彼女はターンをした。


その動きは正確で、優雅で、どこか人間には出せない透明感があった。

髪が光を受けて一瞬だけ透ける。

スカートの軌跡が空気のように揺れる。


「みんなー!ありがとう!」


ミオはウィンクをして、軽く手を振った。


その瞬間、周囲がわっと沸き立つ。

「やばい!」「本物だ!」「録画した!」

声が飛び交い、空間全体が色を変えるように熱を帯びた。


ミオが微笑む。

その笑顔も完璧すぎた。

笑う角度、声のトーン、頬の緩み。

それらが、まるで黄金比で組まれているかのように一致していた。


そして…一人のユーザが、こう呟いた。

「……なんか、吸い込まれそう。」


その声を聞いたミオが、そっと近寄り…そして、抱きしめた。

それを見た観客は、一様に固まっていた…


その時のミオは…群衆を無意識に”支配”しているかのようだった…

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