第212話 テレビの光
都内の放送局。
照明がまぶしく、カメラが回る音がスタジオを満たしていた。
司会者が笑顔で言う。
「本日のゲストは、あの伝説のプロデューサー、BeautyOzakiさんです!」
拍手が起こる。
Ozakiは黒いスーツにサングラス。
ゆっくり立ち上がり、観客席に一礼してから着席した。
「お久しぶりです。
しばらく裏方にいましたが、どうしても語らなきゃいけないプロジェクトがある。」
モニターに映るのは、ミオとYukariの練習風景。
司会者が身を乗り出す。
「これは話題のAIアイドル、“MIO LIVE ZERO”ですか?」
「ああ。
俺が今、全精力をぶち込んでる伝説だ。
AIが踊る、じゃない。AIと人間が“楽しむ”ステージを作ってる。」
観客がざわめく。
「楽しむ?」という言葉が小さく繰り返される。
「そう。
AIは正確さで心を奪うけど、
“楽しさ”を感じた瞬間、観客の呼吸が変わる。
Yukariはそれを教えてくれた。
俺はその空気を、世界中に広げたい。」
司会者が笑う。
「でも莫大な資金がかかってるそうですね? 収益は?」
「ゼロだよ。全部俺の金。
金は燃料だ。燃やせば光になる。
金を回収するプロデューサーは星を作れない。
俺は星を作りたいんだ。」
観客からどよめき。
司会者が小声で「どうかしてますよ……」とつぶやく。
Ozakiは笑う。
「褒め言葉だな。
だって、狂ってない奴に伝説は作れない。」
照明が彼の横顔を照らし、
その瞬間、放送画面の下にトレンドタグが現れた。
#BeautyOzaki #MIOLIVEZERO #狂気のプロデューサー
彼はスタジオを出るとき、
ポケットからスマホを取り出し、
静かに投稿した。
「伝説、テレビデビュー。
次は、現実の舞台だ。」
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