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第1章 私を輝かせるアイドル

アイドルグループ「shining stars」でNo.1の人気を誇る「エミエミ」。

彼女と主人公の穂香が織り成す物語は…。

「だって、大丈夫~♪あなたにはーわたしがいる~♪」


湧き上がるコンサート会場、揺れるたくさんの光、色とりどりの可愛い衣装を着て踊る女の子達。

その中でもエミは一際輝いていた。


高橋 穂香(たかはし ほのか)15歳は画面をかじりつくように見る。

今日は大好きなアイドルグループ「shining stars」の生放送ライブだ。

私は家のリビングでペンライトを両手に持ってぶんぶんと振り回す。

「こーら、危ないでしょ。そんな物振り回さないの。」

母はアイドルに興味がないらしい、推し活を始めて3年経つがアイドルの話をしてもグループ名を覚えるだけで精一杯、メンバーの名前は2、3人しか覚えてくれない。

「だって、今日のライブはエミちゃんが初センターなんだよ!絶対全力応援しなきゃ!」

「そんな、家で応援したからって何が変わるの。」

お母さんの冷ややかな声だったが、この熱狂的なアイドルオタクの私の耳には入らなかった。

私の3つ上の園田(そのだ) 笑実(えみ)、通称エミエミは黒髪ショートカットの可愛らしい顔つきのアイドルで名前の通り笑った時の顔が最高と人気だった。

私も彼女の踊っている姿、歌っている姿、笑っている顔から元気を貰って生きているといっても過言ではない。

でも、今の私は彼女を応援する資格があるのだろうかと悩んでいた。

1年前から顔が張り上手く笑う事ができない。

精神的なストレスによるものだろうと、お医者さんには言われたが、原因も自覚している自分にはどうする事もできなかった。

その原因は、私の学校での立ち位置だ。

3年前から教室でも「shining stars」のファンなのは公言しており特にエミちゃん推しだった私。

1年前にエミちゃんがロングヘアーをばっさりと切って、ショートカットになった日もその次の日には髪を切りに行き、学校に登校した。

その時にクラスメイトから聞こえる声。

「何あれ、エミエミの真似?」「鏡の使い方知ってるのかなぁ。」「エミエミと天と地ほどの差があるわ。」

など悪意ある声。

直接的に言われたわけではないが、そう言われているという噂は本人の耳にも案外入るものである。

仲の良い友達は「似合ってるー。」「可愛いよ。」と言ってくれているがエミちゃんに近づきたい私にはどこか虚しい励ましとなった。

家に帰り泣く私。

この髪の毛が伸びてエミちゃんと違う髪型になるまで言われ続けるのかと思うと憂鬱な気分になるが、エミちゃんの写真、大きく写っているCDジャケット、ポスターを見ると全て吹き飛ぶように元気になれた。

だから私は次の日もその次の日も笑う事ができた。



できたはずだったのにいつの間にか、エミちゃんの口角の上がる笑い方を意識するうちに自分自身の笑い方がわからなくなっていた。

そして、大好きなアイドルに近づきたかったはずの私は上手く笑えないロングヘアーの女の子になっている。

学校にも徐々にエミちゃんのグッズを持って行く頻度が少なくなり自分の部屋に大量に溢れかえる事になる。

家ならば私が真似する事を陰口叩く人はいない。

お母さんもお父さんも、ついぞアイドルに詳しくはならないが、そんな私を微笑ましく見守ってくれる。

お父さんが家に帰ってきて、歌って踊ってる私を見ると、「我が家のアイドル様」だなと言ってくれたのも嬉しかった。

だから私は今もエミちゃんを推せる、推し続けるんだ。

そう自分の中で気合をいれている時に「ピロン」と公式ファンサイトに案内が流れた。

近くの会場で「shining stars」のイベントをやる。

学校や時期の問題でライブ会場に行けなかった私は迷う事などなかった。

今回が初めて生で見れるチャンスだ。

しかも、CDを買えば握手もできるとの事、これは絶対に買わなければと胸躍らせる。

私はお母さんに相談すると、「CD代は自分のお小遣いから出すのよ。」と釘を刺されたがワクワクが止まらなかった。


当日、イベント会場にはたくさんの人がいた。

交通整備の係員もいてこの駅前にこんなに人がいるなんて初めて見たと感心したものだ。

今日は人気曲を3曲歌ってからのCD販売会らしい、整理券も配られるという事だったから私は朝6時から会場で待機して待った。

女子高生の私にとっては命懸けといってもいい時間だ。

その甲斐もあってなんとか整理券を貰えたのだが、たったの1枚。

5枚は買ってやるという気持ちでいたが大物アイドルとなるとそうもいかないようだった。

何とか整理券を手にした私はライブ会場への入場案内を聞く。

初参加という事もあり、わからない事だらけだったがネットで何とか取れた席を探しだせた。

本当は仲の良い友達だけでも誘いたかったが、まだ推し活してるの?と思われるのも怖い。

でも、徐々に人が入る会場、周囲の楽しそうにしている声、会場内のアナウンスを聞いて、一人でいる事なんてそんな事はどうでもよくなってしまった。

どんどんと地鳴りのように大きくなる声と音、そして遂にステージは始まった。

今回は「アイドル」をテーマにして執筆しました。

全部で3章まであるので是非読んで下さい^^

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