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3話 選手入場

年老いた男が廊下を歩く。

幅は10人が並べるであろう。

その廊下、装飾が質素とはいえ壁は大理石だろうか、

高級であろう石が使用されていた。

一般庶民の家ではあるまい。

また窓と言うには大きくガラスが入っているわけでもないのだが、

やはり窓と呼ばざるを得ない窓が並んでいた。

そこから見える景色は空を手で掴めるばかりに青々とした空が広がっており

高さは約50m。

見下ろせば賑わう街が見渡せる。

遠くを見ればそびえ立つ山々がある。

ここからいくらほど離れているかが分からなくなるであろう山が連なっていた。

間違いなく人が越えられる高さではない。



彼は扉の前に立ち止った。

「おはよう」

扉の両脇にいる兵たちに挨拶をする。


「おはようございます。

 どうかご健闘を。」

彼らはそう返し扉を開く。

この場面だけ見れば、彼は今から誰かと戦うのか?

と思っても仕方がない。


が、そうではない。


部屋は大きくはなく、

また暗い。

部屋の四隅に火が灯されているだけであった。

しかしそれよりもその火はどうだろう。

浮いている。

そして燃えている。

彼が気にしないのでやはりそれは普通なのだろうか。


その中央にゲームを嗜む者なら何度も見るであろう

所謂(いわゆる)魔法陣らしきものが描かれている。


面白いことに基本は円形だと思ったが

ここでは四角の魔法陣であった。

この世界はゲームのセオリーが通じないのかもしれない。


彼は陣の傍で目を閉じる。


するとチョークか血か何かで書かれていた陣が宙に形を持って立方体となった。

その表面には様々な文字が走る。

いや。

どちらかと言うと「這う(はう)」が正しいか。

蛇のように動く。

そしてそれは加速する。


しばらくすると立方体は球となった。

やはり基本は円のようだ。


あまりに速く文字が動くもので、

球の内部は見えなくなってしまった。


突如としてその球が破裂する。

中から光が射す。

それは明らかに光以上に明るかった。

まさに「突き刺す」と言うに相応しい。


どうしたことか、

あれほど暗かった部屋の扉から対面には窓があった。

廊下にあった窓程ではないがそこからは太陽の光が差し込んでいた。

部屋の四隅の火はもう見当たらなかった。



そして部屋の中央には人がいた。

整った顔立ちに黒の短髪。

上下がジャージであることは部活帰りだから仕方がない。

が、どうにも締まらない。


それが彼、赤峰 弥生の召喚であった。

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