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あとがき

 ついに完結しました、「地獄のエリア810(ハチヒトマル)~ 魔法王国の少女と機械帝国の少年兵」。いかがでしたでしょうか。


 本作は私にとって初めてのオリジナルの異世界ファンタジー物でした。

 ただ、ヒネクレ者の私はよくある転生やチート、追放ざまぁや悪役令嬢の話など鼻っから興味が無く、好き勝手に自分の世界を突き進んだために、案の定というか全く伸びませんでした。ぐぬぬ……


 前作「にんげんホイホイ」のあとがきでも書きましたが、私の脳内にはいくつかの物語のストックがあり、本作はその中から「機械文明と魔法文化の戦争」というアイデアと「戦争してるけどその最前線では戦争してるフリして仲良くしてまーす」というアイデアを採用して物語を構築していきました。


 このアイデア、実はやろうと思えばいくらでも引き延ばせるんですよね。でも基本完結をする自分の執筆スタイルでは、やはり最後には両国が和解する事によって810も認められるという流れが求められました。


 そこで立てられたキャラが主人公のステア・リードとカリナ・ミタルパの二人の少年少女なんです。

 お互いチートや権力を持たない庶民、そんなふたりが恋し恋され、状況に流されながら(ここ重要)、大勢の人たちの協力を得て世界を変える。そんなボーイミーツガールからの巻き込まれカップルによる、壮大でちょっとお間抜けな物語を目指していきました。



 本作は大別して、他の作品にはあまり見られないふたつの大きな要素を盛り込めたと思っています。

 ひとつは機械帝国と魔法王国と言う、まったく性格の違う国を出せたという事。よくある男女比偏りの世界を、国ごとに正反対の比率にして設定する事で、男と女、機械と魔法、そして異性に対する欲や憧れと言う要素をしっかりと出す事が出来ました。

 おかげで脇のキャラクターもすごく立ってくれました。アトン大将軍や聖母マミー・ドゥルチ様、ナギア皇太子や四聖魔女など、『異性が少ない国にあっての上級国民』がどういうものになるかを考えたら、ポンポンといいキャラクターが脳内に浮かび上がってきました。


 もうひとつは『魔法』という要素をしっかりと生かしたかったという点。巷の異世界ファンタジー作品の多くは『ナーロッパ(なろうヨーロッパ風味)』の世界観の作品がとても多く、そのせいで魔法の形態もかなり画一的な物に固定されているのが現状です。当然と言えば当然ですね、作者も楽ですし読者もお馴染みの魔法の方が付いて行きやすいんですから。

 でも、そこはヒネクレ者の私。ありきたりの魔法の使い方だけでは無く、かなりトンデモ効果を持つ魔法をいろいろ考えて作品に反映させることで、魔法と言うものの面白味を描きつつ、物語の流れに貢献できたかなと思います。


 そして、このふたつの要素を最大限に生かしたのが「魔法は女性にしか使えない」というアイデアでした。

 歴史を見ても普通、国家と言うのはどうしても男性中心になります。ですがもし現代でもそれを覆す『魔法』という力が突然湧いて出て、それが女性にしか使えないとなったら社会は果たしてどうなるでしょう?

 中世には魔女裁判と言う悲劇の歴史がありました。あれは下らない迷信を信じたり利用したりした愚行ではありますが、その中に『魔法を使える女が社会の秩序を乱す』事に対する恐れも何パーセントかはあったのではないでしょうか。


 そしてそうした女性進出の世界観として、今の時代で声高に叫ばれている「女性の権利(一部の行き過ぎたワガママ含む)」やLGBT等、いわゆる令和コンプライアンスを作中にエッセンスとして加えたいと思っていました。

 その結果生まれたのが「人口胎内装置」「魔法胎樹」でした。男女比が偏っているという事は、取りも直さず出生率が下がるという事です。

 それがもし解消されたら、人と人とが愛し合い、セックスをして子供を作るという事すら否定されるのでは、との危機意識を作中に盛り込んでみました。


 それがナーナというキャラクターを生み出したのです。


 私は先述の『令和コンプライアンス』には否定的な人間です。なんせ昭和生まれのオッサンだしw

 雑誌やポスターに美女の写真が採用されるのは当たり前だと思っていますし、スポーツや公共施設においては『肉体的な性別』が優先されるべきだと思います。


 本作の機械帝国や魔法王国は、ある意味この令和コンプライアンスが行き過ぎた果ての荒廃した未来の世界のひとつのカタチなのです。

 それをステア&カリナのラブラブビームで粉砕して正す、というのが隠れテーマだったりするんです。


 読者の皆様にはどう映ったでしょうか。



 さて、本作は最終話以降の世界がどうなったかは完全にぼかしております。


 エギア皇帝とリネルト女王の関係、アトンとマミーのその後、リリアスとハラマとその生まれて来られなかった妹、栗毛色の髪のナーナとの再会の可能性など、いろいろ想像は出来ますが、あえて最終回では描きませんでした。

 それは本作を最後まで読んで頂いた読者様に、自由に想像して頂ける未来を残したかった、という意図が込められています。


 さぁ、あなたの頭に浮かぶ未来図は、いかがなもんでしょうか?


 ま、まぁそんなのは一流の売れっ子作家やバズりWeb小説家が考える事であり、私のような下っ端底辺作家が書いても何の意味も無いんですけどね(苦笑)。


 ここまで読んで頂いた読者の皆様には本当に感謝しかございません。


 これからも稚拙ではございますが、よりよい作品を描いていきたいと思いますので、もしお目に止まったなら読んで頂けると嬉しく思います。


 では、また。広きWebの海のどこかでお会いしましょう。



                  三流FLASH職人



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