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未知と宝物ざっくざくの迷宮大配信! ~ハズレジョブすらない努力家凡人、見る人から見れば普通に非凡だった~  作者: 広路なゆる


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44/45

44.デートのようなもの

 深海とのやり取りから三日後――


「へへ……パーティファボ200万……」


 ミカゲは増加したパーティファボ情報を見ながら、思わずにやける。

 レベル3によるA級撃破は少なくはない影響を与えていた。

 それ以前と比較し、パーティファボはなんと倍増していた。


「待たせたな」


「……!」


 ミカゲは声の方を向く。


「っっっ~~!」


 そして絶句する。


 ◇


 昨日――


「ミカゲよ、明日、休日(オフ)だよな?」


「あ、はい」


 ミカゲは揺から電話があり、話していた。


「何か予定はあるか?」


「え、まぁ、明日は完全オフにしようと思ってたので何もないです」


「なるほど……完全オフか……じゃあ、悪いな……」


(……? 何かのお誘いかな……揺さんには世話になってるしな……)


「なにか入用でしょうか? 私であれば協力しますが」


「本当か!? であれば、すまんが、ちょっと付き合ってくれないか?」


 電話越しの声が明るくなる。


「……? 何にでしょう?」


「スライム展」


「スラ……イム展?」


「あぁ……今、ちょうど池袋でやってるんだ」


「そうなんですね……」


(揺さん、そういうの行くんだな……しかし、イメージ的には一人でも行けちゃうタイプに思えるが……)


「普段なら一人で行くのだが、実はな……これがあって……」


 ミカゲの前に画像がポップする。


 それは"カップル限定! モチスライムのフィギュアプレゼント!"と書かれたチラシであった。


(なるほど……)


「いいですよ」


「おー、恩に着る!」


「いえいえ」


「あ、一応、そこそこの有名人になってきているから軽く変装して来いよ」


「え゛!? そ、そうですね。わかりました」


 ◇


 そうして今日を迎え、今に至る。


「待たせたな」


「……!」


 ミカゲは声の方を向く。


「っっっ~~!」


 ミカゲは思わず、絶句する。


「……」


 そこには、白の七分袖くらいのヒラヒラしたカットソーに黒のシックなロングスカート。

 髪にウェーブをかけた女性がいた。


「あの…………ひょっとして揺さんですか?」


「他に誰がいるんだよ」


「……そうですよね、白衣脱ぐことあるんだなって……」


「君……やっぱりちょっと私のこと馬鹿にしてないか?」


 揺は眉を逆八の字にしている。


「いえいえ、そんなことは……でもいつもとちょっと雰囲気違うなって……」


「変装しろって言っただろ?」


「えーと……そうですね」


(それは変装というか……)


 いつもと違う揺の雰囲気にミカゲは少しどぎまぎしてしまう。


「なんだ? そんなに変か……?」


「……変というか、その……いつもより綺麗で……いや、いつものはいつものでいいのですが……」


「え゛!? そ、そうか……? ほ、褒め言葉として受け取っておこう……」


 綺麗は褒め言葉以外の何ものでもないのだが……


 ちなみにミカゲは帽子と伊達メガネをしていた。


 その後、二人は目的のスライム展へと向かった。


 道中はなぜか少し会話があまりなかったが、展示会場に行くと、揺はわりと元に戻り、様々なスライムを興味深げに眺めていた。


 そして……


「あ、あれですね」

「お、本当だ」


 目線の先には"カップル限定! モチスライムのフィギュアプレゼント"の旗がある。

 どうやらそこが配布会場のようだ。


「すみません! モチスライムのフィギュアください!」


 揺はそう言う。


「はい、承知しました。一応、カップルの証明をお願いしておりまして……」


「か、カップルの証明!?」


「はい、まぁ、簡単なもので、お二人で手を繋いでいただくだけなんですけど……」


「て、手を……!?」


 揺はちょっと焦っている。


「ほい」


「っ……!!」


「これでいいですか?」


「はい、ありがとうございました。それでは、こちらモチスライムのフィギュアになります」


「……」


「お客様……?」


「あ、すみません、ありがとうございます……」


 揺は少しぽけーっとしていたが、無事、目的としていたモチスライムのフィギュアを受け取る。


 ◇


 帰途――


「今日はありがとうな」


「いえいえ、こちらこそ。スライムについて色々と学びもありましたし」


「そう言ってくれると助かる」


 と……小さな公園の前に差し掛かる。


「うりゃぁああ、くらえ! 和音(わおん)! 太陽並の高熱!!」


「っ……!」


 ミカゲは思わず足を止める。


「なにおー! 重熾(じゅうし)! ブラックホール並の重さぁああ!!」


 数名の小学生くらいの子供達がちゃんばらをしている。


「……」


「ふふ、君が攻略者でいられるのも長くはないかもな?」


「え゛!?」


「冗談だ」


「やめてくださいよ……まだまだ譲る気はありませんよ、貴方の隣りは……」


「え……」


 と……


「おらぁああああ! 新刀、透幻 (とうげん)も忘れるなよー!」


 ミカゲは小学生達に突撃していく。


「うわぁああああ、なんか変なおっさん来たぁああああ!」


「って、この人……」


「「「「…………あびゃぁああ゛ああああ゛ああ!!」」」」


「本物だぁああああ!!」


「ミカゲーーー! サインくれぇええええ!」


 ミカゲは子供達にサイン攻めにあうのであった。


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【作者新作】

<魔法技師の気ままな魔道具作りライフ>

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