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フィーバー!! ⑥

「憧れ・・・ねぇ」

 クスリと笑うとロイルは歩き出した。

 階段を上って長い廊下を客間とは反対方向に行く。

 すると一つのドアの前にアンが立っていた。

 アンはロイルに一礼すると、少し横に移動する。

「下がっていいですよ」

 もう一度頭を下げるアンを見ることもせず、ロイルはドアを開ける。

 広い室内に、大人が五人寝ても余裕がありそうな大きなベッドがある。

 その上掛けの真ん中がまるく盛り上がっていた。

 ロイルは口の端を少し上げるとベッドに近付いた。

「・・・マリン」

 ベッドにそっと腰掛けると、膨らみに手を触れる。

 ピクリと動いたのを確認して、上掛けの中に左手を入れた。

 指先がマリンの長い髪に触れる。

「お金、戻ってきて良かったですね。札束風呂に入りますか?アンに準備して貰いましょう」


 ――――ガブッ!!


「痛い痛い痛い!!」

 ロイルは上掛けを捲ると、亀のように丸くなり、自分の中指に噛み付いているマリンを力任せに仰向けにして、顎をこじ開けた。

 そのまま両手首を頭の上で一つに纏めてベッドに押し付け、両足も動けないよう自分の足を乗せて固定した。

「噛むのは無しにしませんか?かなり痛いので」

「・・・・・・・・」

 プイと横を向いたマリンの耳に唇を寄せて息を吹き掛ける。


 ――――ゴチンッ!!


「・・・頭突きも、いけませんよ」

 ロイルはマリンの目に浮かんだ涙を指で拭った。

「痛かったでしょ。おでこが赤くなってます」

 ロイルはマリンの額にキスするとそのまま頬を辿って首筋に舌を這わす。

 服の上から胸の膨らみを軽く揉んだ。

「・・・ソフィーは病気なの?」

「・・・ん?」

 ロイルが顔を上げると、真剣な表情のマリンと目が合った。

「・・・なんだ、ちゃんと分かってたんですね」

 マリンの唇にチュッとキスする。

「・・・間に合わないってどういう意味?」

「んー・・・まあ、そういう意味でしょう」

「・・・・・・・・」

 ロイルはマリンの背中に手を回すと、ファスナーを下げた。

「ラウはソフィーの為にお金を盗んだの?なんで?」

 ロイルはマリンの腕の拘束を解くと服をずらす。

「治らない病気ではないんですよ、ソフィーは。ただし、莫大な治療費を出せればですが」

「それで・・・」

「そうです。ラウ達はティガさんが管理している孤児院の子なんです。寄付金頼りの運営ですからね、治療費なんて出せませんよ」

「・・・・・・・・」

「どうしても助けたかったんでしょうね。でも良心の呵責に苛まれティガさんに罪を告白したんじゃないですか?あそこの子達は皆いい子ですからね」

 ロイルの指がマリンの形の良い胸に直接触れる。

「俺の実家も多少寄付してるんでね。たまに孤児院の様子を見に行ったりするんですよ。正しく寄付金が使用されているか確認する為にね」

 ロイルの手がマリンの足を撫でまわす。

「・・・本当に手遅れなの?」

「さあ?そこまでは知りませんよ」

 ロイルの指が太ももを滑り、マリンの大切なところに伸びる。


 ――――パシンッ!


「・・・え?」

 ロイルの手をマリンが払った。

 マリンは起き上がると、乱れた服を直し始める。

「ちょっと待ってください」

 ロイルがそれを止めようと、マリンを抱きしめる。

「どうしたんですか?」

「・・・そんな気分じゃないの」

 ロイルはため息を吐いた。

「ソフィーのこと気になるんですか?俺達が考えることじゃないでしょ?他人の家の事情に首突っ込む必要は、ありませんよ」

 ロイルがマリンの背中に唇を這わせる。

「・・・・・・・・」

 ロイルはもう一度ため息を吐いた。

「・・・分かりました。ちょっと調べてみます」

 ロイルはマリンをうつ伏せにして、尻だけを高く持ち上げ、スカートを捲った。

「だから・・・ね。いいでしょ?」

 ロイルの熱い吐息がマリンの背中に吹き掛けられた。






 目が覚めると、独りだけ。

 痛む喉と、乱れた髪と・・・汚れたままの身体。

 起き上がり、窓の外を見る。日が高い。

 結構な時間、寝ていたようだ。

 その時、控えめなノックの音が聞こえ、ドアがそっと開けられた。

「おはようございます。マリン様」

 アンはマリンが起きていることを確認すると、サイドテーブルに手に持っていた大きめの器と布を置いた。

「よくお休みになられてましたね。昼を過ぎております」

 アンは布を器に入っている湯に浸し、絞った。

「失礼いたします」

 その布でマリンの汚れた身体を清めていく。

 顔、首、腕、胸・・・股の間に指を入れ、中に溜まっているものも、掻き出した。

 マリンはその間、只じっと外を見ていた。

 身体を清め終わると、アンは部屋に三つあるドアの一つに入り、中からドレスを持って出てきた。

「お召し物は、こちらでよろしいですか?」

 視線を向けることもなく、マリンは頷くと気怠げに立ち上がった。

「お支度が出来たら食事にいたしましょう」

 アンはマリンに服を着せ、髪を整えると薄く化粧を施した。

「・・・綺麗ですわ。マリン様」

 アンの手がマリンの髪を撫で、頬に触れる。

「・・・・・・・・」

 マリンは力なく微笑んだ。


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