怪盗うさぎ仮面だぴょ~ん! ⑦
マリンはロイルから首飾りを引ったくると、目の前に掲げた。
「なんて綺麗。でかしたわ、一号。これは高く売れそうね」
「駄目ですよ」
溜息混じりに言うロイルをマリンは睨み付けた。
「国宝なんですよ。それ。随分前に無くなったって騒ぎになったんですよ。まさかこんな所に転がっているとは・・・。裏に王家の紋章も入っているでしょう?売ったら一発で通報されて捕まります」
マリンは驚いて首飾りの裏を見た。
確かに紋章が入っているのを確認して、溜息を吐いた。
「本当だわ」
「と、いうことで、それは置いて帰りましょう」
「仕方ないわね。もったいないけど、叩き割って二つか三つに分けて売りましょう」
「・・・割るんですか。国宝を」
ロイルは溜息を吐いて、マリンの手から首飾りを取りあげた。
「何するのよ!」
「さすがに駄目です。国宝を割るなんて。帰りますよ」
「嫌よ!返して!」
「いけません」
首飾りをベッドの上に放り投げると、ロイルはマリンの腕を掴み、隠し通路へと向かおうとした。
「嫌よ!ジョニー、助けて!」
「そんなこと言っても無駄―――――!!」
ロイルは目を見開いた。
ジョニーが自分に向かって突進してくる。
ロイルは咄嗟にマリンをベッドに突き飛ばした。
「―――――うっ!」
上手く避けるのことが出来ず、馬に蹴られて床に転がる。
「・・・痛いですよ。ジョニー」
ロイルは腰を擦りながら、起き上がった。
馬も本気で攻撃してきたわけではないようだ。
だが愛馬さえ自分の味方をしてくれなかった事に、少なからずショックを受けたのだった。
「・・・もういいです。それ持って帰りましょう」
ロイルは溜息を吐くと、ベッドの上で蹲って首飾りを握りしめているマリンのもとへ行った。
一度持ち帰ってから、懐中時計と一緒にこっそり父に渡して、陛下に返してもらおうと決めて、ロイルはマリンの髪を撫でた。
「さあ、帰りましょう」
「・・・これは私の物よ」
「はいはい。分かりました」
「返事は『ぴょ〜ん』よ」
「・・・ぴょ〜ん」
マリンは起き上がり、満足気に微笑んだ。
「さあ、帰りましょうね」
「そうね」
やっと帰れる事にホッと胸を撫で下ろし、ロイルはマリンに手を差し出した。
しかし、マリンがその手を取った時―――――。
「―――――!!マリン、誰か来ます」
ロイルが扉の外に、複数の人の気配を感じた。
「バニー様と呼びなさいと言ってるでしょう!」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
扉が静かに開けられた―――――。