表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/73

怪盗うさぎ仮面だぴょ~ん! ②

 屋敷に入ったロイルは、中の様子を見てまた溜息を吐いた。

 至る所に貼られた差し押さえの紙―――――。

「剥がすのが大変だな」

 誰も出て来る気配がないので、取り敢えず居間に行ってみると、そこにマリンとアンが居た。

「あ・・・。お帰りなさいませ。ロイル様」

 ロイルを見て、慌ててソファーから立ち上がるアンと、ビクリとして視線を逸らすマリン。

 ロイルはテーブルに酒を置くと、マリンの横に座って肩を抱き寄せた。

「ただいま。それで?何があったのですか?」

 マリンが顔を背けたので、ロイルはアンに視線を向けた。

「・・・それが、突然男の方々が来て、『金を返せ』と・・・」

「金額は?」

「一億インです」

「・・・・・」

 ロイルはマリンの顎を掴んで、視線を合わせた。

「何をやったのですか?」

「分かんないわよ!」

 マリンが乱暴にロイルの手を払う。

「・・・半年程前に、カジノでお金が無くなって帰ろうとした時、隣に座っていたおじさんが一万イン貸してくれたの。それからカジノに行ってもそのおじさんは居なかったし、私もそんなこと、すっかり忘れていたのよ!」

「・・・・・」

 ロイルは掌を額に当てて、ガクリと肩を落とした。

 マリンは間違い無く騙された。

 一万インが半年で一億インになるなど有り得ない。

 明らかに違法である。

「・・・仕方ないですね」

 そう言って立ち上がり、ドアに向かおうとするロイルの腕を、マリンが掴んだ。

「ちょっと!何処行くの!?」

「もう一度実家に行って、事情を話します。父に何とかしてもらいましょう。まあ、いざとなればマリンの為ですからね、一億くらいポンと出してくれますよ」

「だ、駄目よ!」

 マリンは慌ててロイルにしがみ付いた。

「やめてよ!こんなこと知られたら、恥ずかしいじゃない!」

「いや、今更では?」


 ―――――バキッ!


「どういう意味よ!」

 ロイルは殴られた脇腹を擦りながら、溜息を吐いた。

「じゃあ、どうするんですか?」

「え・・・、それは・・・」

「どうにもならないでしょう?」

「・・・ちょっと待ちなさい。今考えるから」

 マリンはロイルにしがみ付いたまま、目を閉じて暫くじっと考えた。

「・・・・・」

 やがて目を開けると、大きく頷いて、立ち上がった。

「準備をします。アン!手伝ってちょうだい!ロイルはここで待ってなさい」

 マリンは二人に命令すると、足を踏みならして部屋から出ていった。

 アンが慌ててそれに続く。

「・・・また何をする気なんだ?」

 ロイルはソファーに身を投げ出すと、ぐったりとして目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ