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怪盗うさぎ仮面だぴょ~ん! ①
薄暗い街を、ロイルは腕に酒瓶の入った袋を抱えて歩いていた。
「すっかり遅くなったな・・・」
昼から実家に呼び出され、父親と兄から『バータ伯爵が何者かに惨殺された事件』の事後処理が大変だったとネチネチと嫌味を言われていたのだ。
その上、先日生まれた兄の子供を見せられ、母親から『ロイルはまだなの?』としつこく催促されてしまった。
最後に父親からマリンにと酒を渡されやっと解放されたのだ。
日の落ちた空をチラリと見て、ロイルは足を速めた。
そして屋敷の門が見えた時、何か違和感を感じた。
「・・・・・?」
眉を寄せて門の前まで来たロイルは、そこに貼ってある紙を見て溜息を吐いた。
『差し押さえ』
「今回は何をやらかしたんだ・・・」
ロイルは貼ってある紙を乱暴に剥がすと、門を開けて屋敷へと向かった。