表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

月の精霊の願い

作者: 満月

これは「私、産まれ故郷ではチートでした。」のもしも話なので、原作を読んでからこちらを読んで頂きたいです。

読んで頂いたら分かります。原作とこのもしも話のルナのキャラが違います。

「今日も綺麗だな~。」


そう言いながら見つめるているのは人ではない。月だ。


私の名前は天河るな。

‥‥ものすごい天体系の名前である。


そしてアラサーの最近無職になってしまった、未来に絶望しか感じない事態に陥ってる崖っぷちだ。


昔やったゲームの登場人物に月の精霊がいて、名前がルナだったので調べてみたら月は外国のとある国ではルナというらしい。

それもあって私はよく月を見上げる。大半の理由は月を見ると何故か落ち着くからだ。


そして今日も私は月を見上げる。満月じゃなくても何故か落ち着くから。

でも、最近は落ち着くためだけじゃない。全く根拠もないが、神様が本当にいるなら聞いてほしいなと思うことがあるからだ。

いい歳こいて何を夢見て‥‥と葛藤しつつ今日も月を見上げて声に出さず願う。


ー私はもう生きる希望も目標も夢もない。でもこの瞬間も私と違って「生きたい」と思って頑張っている人がいるはず。だから私の命をとってその人達に私の残りの寿命を分けてあげてください。この世に未練は全くありませんので、私の願いが届いているならお願いします。ー


‥‥‥はぁ‥‥何してるんだろ‥‥帰ろ。


そしていつも通り、一人暮らしの我が家へと帰って眠った。



‥‥‥はずだったよね!?

何これ!?なんの冗談!?何で私、ブロンド髪の美少女!?


と湖の水で自分の容姿を確認して内心パニックになっていると、側に男性が近付いて来て湖にその綺麗な銀髪が映った。


ルナ(・・)?どうした?」

「な、なんでもないです。オリジン(・・・・)さん。」

「? そうか?もうそろそろ行くぞ。」

「は、はい。」


と言われて慌てて後を追った。

これから人間達に声を掛けに行くそうだが、私は太陽の精霊ソルと交代で地上を照らすだけの月の精霊。精霊術はない。


そう、なんと私は月の精霊ルナになっていた。

先程、神様の声を聞いたらしいオリジンさんが教えてくれたことだ。

それはいいんだ。月の精霊になった今でも「るな」に違いはないから。

でも私は人間に声を掛ける意味があるのかな?

使える精霊術ないよ?


でも他に特にすることもないので、ついていく。


四大さん達やオリジンさん、他の精霊達もそれぞれ契約者となる人がいたみたいだけど、私とソルはいなかった。


まあ、太陽と月の精霊って何するの?っていうのは私達も同感だ。


そして暇な日中に考えてしまうのはやっぱり前世のことで。


やっぱり死んだんだよね?私。

でも私、持病なかったのにどうやって死ぬんだろ?

‥‥‥‥本当に神様に私の願いが届いた?

いやいや、まさかね‥‥‥‥‥‥‥

もう確認のしようがないから考えてもしょうがないけど‥‥

それに、役目がある今のルナの方がいいのは確かだしね。

答えがないから不毛だな~。

いつか考えなくなる日がくるのかな?



そして月日は流れ、クロノスさんとシャドウさんの契約者が暴挙に出て「魔族」を作った。


魔族って‥‥どこのゲームよ?RPG?


と内心鼻で笑ってたら、本当に人間より長寿の人種を生み出してしまっていた。


マジか‥‥本当に魔族を‥‥?


私は夜、世界全体を見ることができる。

その間に見ていると、本当に何十年経っても魔族の生み出した者は若い姿のまま生き続けていた。


でも最後は呆気なく魔物に殺されていた。クロノスさんとシャドウさんもこの時、一緒に消えてしまった。


そしてその瞬間を私はソルと一緒に見てしまった。私達は見た目年齢が少年少女。見た目通りの年齢の子に見せるには酷な光景だった。

でも私達は精霊。勿論、見た目以上の年齢だ。これぐらいの光景はなんともない。


でも、精霊の力の使い方を間違ってしまった末の末路だと思ったら何か悲しかった。



月日は更に流れ、私達は一部の人間と一部の魔族、そしてその狭間の者達に同行し、住む大陸を変えることになった。

といっても私とソルは空の上での役目だからあまり変わらない。


そして海を渡った先の大陸の中心の山にいたクレアと一緒にいることになった私達精霊。

この時に巫女を決めようということになり、名前が真っ先に上がったのは精霊達に愛された一人の女の子。

勿論、私もこの子は気に入っていた。可愛いくて優しいとても純粋な子で、ついつい話し掛けたくなる様な子だった。


でもやっぱり、精霊と人では寿命が違う。

時間というのは時に残酷で、その子も亡くなってしまった。


それから私は何人の巫女と会っただろうか‥‥

どんなに気に入っても必ず私より先に亡くなってしまう。


私はいつしか巫女と契約だけして会うことをしなくなった。

何度も巫女を見送っている内に心が疲れてしまったからだ。


でも私は夜を照らす光。ソルがいないと輝けないけど、役目だからと義務的に続けていた。



そんなある日、セピオライトに第二王女が産まれた。

アスカさんが「可愛いのよ~私が見えてるみたいで笑ってくれるの~!まさに天使よ!」と興奮気味に話していた。


へ~!産まれたばかりでアスカさんが見えるなんてね~。


とちょっと興味がわいた私はこっそり見に行ってみた。


やば!本当に可愛い!天使だわ!

アスカが興奮気味に話してた理由が分かるわ~。


と思っていたら、オリジンさんが


「あの王女は破魔の力が目覚めてきている。このままだと時間の問題だ。でも今は巫女がいないしな‥‥‥折角、次代の巫女の器だというのに‥‥」


と言っているのを聞いた私は


え?あの可愛い子、死んじゃうの?

なんとかならないのかな‥‥あの子と話してみたいのに。


と久しぶりに人に興味を抱いた自分に驚きつつ考えていた。


その後、フローライトの女の子の力を借りてオリジンさんに封印を施されたその第二王女、ルリちゃんは生き延びることができたそうだ。でも魔素もあるし精霊術も使えるこの地にいると何が起きてもおかしくないと、扉の向こうの世界に避難することになった。


私がかつて住んでいたところかもしれない世界。


行って確かめたい気持ちは勿論ある。でも私は精霊だからこの世界から離れられない。

そんなジレンマを抱えたまま、ルリちゃんが戻ってくることを期待して待つことにした。


14年後。

ルリちゃんは帰ってきた。ラズライトの王子と一緒に。


でも、王女に戻るかを悩んでいた。

そんなある日、ルリちゃんは空を見上げていた。


あの日の‥‥前世の私の様に月を見上げていた。

月は私なのでものすごく照れたけど。


可愛い!やっぱりあの日と変わらず可愛い!

ああ~ルリちゃんの髪、何色になるのかな~?楽しみだな~

って先に王女に戻るかどうかだった。


そんなことを考えながら、ルリちゃんを見ていると。


あれ?今、何かに気付いた様な‥‥?

ん?決意‥‥?かな?どれだろ?結論出たのかな?


その後、ルリちゃんは王女に戻る決心をしたと知った。

そしてルリちゃんの洗礼の時。


うわ~ルリちゃんが次の巫女か~!なかなか話せないけど楽しみだな~!


と内心浮かれたまま契約した。


か、可愛い‥‥!!!

なに、あの可愛い生き物!ピンクって!

似合いすぎだよ、ルリちゃん!


酔ったルリちゃんも可愛い~!天使~!

‥‥‥ん?山に同じ野次馬がいる‥‥

アスカさんとシルフさんが悶えてる‥‥‥って私も一緒か。



ふふっ。これは久しぶりに楽しくなりそうだな。


ルリちゃん。

なるべく長生きして、その可愛いさと優しさで私達精霊を癒してね。

あなたは初代巫女だったあの子に似てる。見た目も精霊達に好かれるその雰囲気も。だからこそ私はあなたをできるだけ長く見守りたいの。

そして、あなたが守る決意をしてくれたこの大陸をよりよくしてあげてね。

私は月だから‥‥夜を照らすことしかできないから。



私はこれからもあの日の私の様に、迷っていたルリちゃんの様に見上げてくれる人を照らすから。

それが少しでも癒しになるように願いながら。

‥‥‥一応、この話の中ではルリを呼ぶ時は「ルリさん」と呼んでる設定です。

ルナの心の声だけ、「ルリちゃん」です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ