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8話:田川の同棲と賢治が家を新築

 ある文芸雑誌の新人賞をとったのだが、その後2冊目までは、良かったが、それ以降、良い作品ができなくて悩んでいると言った。その話を聞いて、私で良かったら、その小説を読ましてもらい、感じたところを説明しましょうかというと、それは、ありがたいと言い、新人賞作品と2作目、現在、執筆中の作品3つを預かって、2週間後、その宿へ行くと、彼女は、まだ、宿にいて、感想を聞かせて下さいと言われた。


 そこで、忌憚ない意見を彼女にぶつけた。新人賞作品には新鮮が感じられ、表現も新鮮で力強さが感じられて、好感が持てた。ちょっと、表現の幼稚な感じは残ったが、それ以上に、若さ。勢いの方が勝っていて、良いと言った。2作目は、最初の作品よりも、表現力は格段に良くなり、プロと言う感じがした。反面、プロの中で競争した場合、個性が今1つという感じがしたと述べた。


 すると、雑誌の社の意見と同じですねと彼女が笑った。3作品目は、はっきり言って、個性が消えて、まるで、教科書に出てくるような作文といった感じで、心動かされる所がほとんどなく、そつはないが、魅力もないと言った感じで、金を出して読む気にはなりませんねと言った。それを聞いて、ふーんと言った後、魅力がないのねと、自分で納得するように、そうかも知れないと答えた。


 書いた後の爽快感、読者の心にたたきつけるような、インパクトが薄いのよねと認めた。更に、加えて、ちょっと休んで、世界中を旅したりして、リフレッシュしたらと言った。ある意味、期待に押しつぶされて、心がびびってるじゃないのかと言った。あんた、ひどい事をずばっと言うのねと、笑いながら言った。いや、第三者として、全く赤の他人のいつわらざる感想だと述べた。その日、彼女が、一緒にお酒が飲みたいと言うので、彼女の部屋で日本酒を差し向かいで飲んだ。


 酔って、布団に入って、彼女が、私って学生時代から両親の期待を一身に受けて、突っ走ってきた。つまり、優等生を演じていたのよね。だから挫折も嫌な事も経験しなかった。両親は、金を持っていたので、欲しいものは、何でも買ってくれ、なに不自由ない生活だった。その後、早稲田大学文学部を卒業して、ある出版社の新人賞に応募して、新人賞を取り、蝶よ花よと、おだてられた。


「そのため自分でも自分に才能があるものだと思って、天狗になっていた」。

「そして、最初の作品が、たまたま、インパクトがあって少し個性的だったので新人賞を受賞した」。

「それからは、自分の保身を第一に体裁の良い小説をそつなく、書くようになっていった」。

「そう言う小説家は、世間に大勢いるので目立たなくな、埋もれていっただけの事よねと言った」。

「田川が、自分でわかってるじゃないと言った」。

「でも悔しいと言い、酔った勢いで、田川の胸を手でたたき、悔し涙を流した」。


そして、その晩は、一夜をともにした。その後、

「田川が、株で儲けたから、気分転換に1年かけて、世界旅行でもしないかと誘うと、大喜びして行くと言った」。


 田川は、旅行の詳細が決まったらインターネットのアドレスにメールを送ると言った。そして、その晩の宴会を終えて、それぞれ、帰って行った。その週に日曜日、2004年4月10日土曜の昼頃、家を借りてる大家の山田さんのお孫さんが、賢治の家を訪ねて来て、祖母が老人施設に入ったと言い、ここの土地80坪を買い取ってくれないかと言い始めた。理由を聞くと、祖父母の遺産をどうするかと言う話合いで、この農家と離れを自分が相続することになったと話した。


 しかし、自分たちは、ここを出て、家族4人で、首都圏に住もうと考えてるのでそこで現金が欲しい、そこで、買って欲しいと言うのだ。賢治が、そちらの希望価格はと聞くと、価格でもめたくないから、現金を用意できれば2000万円で売ると言った。わかった来週、土地の権利書と交換で、君の口座に2000万円入金すると言うことで良いなと聞くと、良いよと言った。


 この話を田川さんにすると、俺が立会人になってやるから、土地の権利書の名義変更をしてこいと言った。土地の権利書は、本物かどうか確認しなければいけないし、土地の明示変更が完了しないと、自分の土地にならないと言った。それを聞いて、山田さんに連絡すると、15日朝、9時に、交渉しようと言い、そっちへ行くと告げた。9時前に田川さんがきた。直ぐに山田さんが来て、田川が挨拶して、権利書を見せて欲しいと言った、


見せると、田川が、ルーペを持参して、じっくりと書面を確認した。その時、賢治が山田さんに銀行はと聞くとS銀行沼津支店と言うので同じだと言い、そこで送金の確認をして、その後、法務局で、土地の名意義人の変更をしましょうと言った。もし資料が不足でも隣に市役所と警察があるから直ぐ取りに行けると言った。そしてハイエースで銀行へ行き、賢治が、お金を山田さんの口座に送金した。


 そして法務局へ行くと、案の定、必要書類が足らなくて、市役所と警察で必要書類を取って、再び、法務局に行くと番号札をもってお待ちくださいと言われたので、その時間に、昼食を食べに行った。また、法務局に行くと、10分後に名義変更が完了したと新しい土地の権利書を賢治が手にして、お互いに挨拶して別れた。中学時代の友人の工務店の社長に5人が住める木造住宅を作って欲しいといわれて、家へ向かった。

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