17話:東京老人の介護施設と知り合いの死
入居は2010年12月1日と東京都の関係者に連絡した。その用地の整備から建物の建設の様子をビデオに収めて、インターネットで配信できるように考えた。そして、それを宣伝に活用して、入居者を増やそうと考えたのだった。しかし、2011年1月10日、日曜の寒い日、黒田さんが、朝9時に介護施設に出勤した時、介護施設のただならぬ雰囲気がして、黒田さんが、どうしたのと聞いた。
すると、介護士さん1人が、今朝、施設の入居者の1人が冷たくなっていたと話した。黒田さんが亡くなったのと聞くと、首を縦に振った。慌てて、その部屋へ行くと高齢のご婦人がやすらかな顔で亡くなっていた。それを見て、黒田さんは、愕然として興奮したが福祉士の1人が、慌ててはいけません。他のご老人たちの気持ちを不安にさせるだけですからと毅然とした顔で言った。
だってと、黒田が言うと、福祉士の最低条件、それは冷静でいることですと告げた。この時の、東出芳子は、言われたように冷静でいるように努力したが、耐え切れず、施設の外に出て、大泣きして涙を出し切ってから、落ち着いてと自分に言い聞かせて、老人姿勢に、再び入った。福祉士のチーフが、いつ頃、先生が来るのとスタッフに聞くと、近所の内科の先生が8時過ぎに来られることになっていますと言った。
最初に、発見した介護士のコメントは書いたと確認すると、ここにありますと、机の上に置いてあった。やがて8時過ぎ、佐藤内科の佐藤先生が来て、発見者はと聞き、はいと1人の男性介護士が出を上げた。熱はなかったと聞くと、額に手を当ててみて、冷たくなっていたと言い、その時の体温は、と聞くので書いたメモをわたすと、これからみると、おそらく、午前1時頃なくなった様だねと言った。
遺体の処理については、すでに、葬儀社に手配してありますと答えると、宜しいと言った。患者さんの部屋に入り瞳孔を見たりして確認し、他にも異状ない事を確認して20分ほどで、帰っていった。ご家族にも連絡済みですというと、息子さん夫婦が、施設に飛び込んできた。そこで介護士が、施設の決まりなのでと言い、マスクを渡して、かけてくださいと言った。部屋に入り、観念したように、お世話になりましたと頭を下げた。
葬儀社に、ひつぎを用意してもらってますと介護士がいうと、その男が、ありがとうございますと言った。その費用や、その他、葬儀については、ご用意のほどよろしくお願いしますと話すと了解しましたと言い携帯電話で、連絡して9時には、遺体を引き取りに来ますと介護士に伝えた。その様子をそっと眺めていた黒田は、人の一生のエンディングって、突然やってきて、あっけないものだと痛感した。
この人の葬儀に参列して、葬式と言うものは、どういうものかと言うの実感したいと考えた。そこで、この施設のもので、以前お世話になったので葬儀に参列してもよろしいですとかと東出芳子が、息子さんに聞くと、それはご丁寧に、ありがとうございますと言った。その息子さんが、名刺を渡してくれ、斉藤孝弘、トヨタのセールスマンと分かり後ろに、じたくの電話番号が書いてあった。
2011年1月12日、亡くなった斉藤常子さんの葬儀が修善寺斎場で2011年1月17日、日曜11時から行われると介護施設のホワイトボードに書いてあった。その日、10時45分、東出芳子は、1人で修善寺斎場の斉藤常子さんの葬儀会場の受付で記帳した。その後、案内されて席について、お坊さんの読経が始まり、やがて焼香となり、他の人の焼香のやり方を覚えて、同じように焼香した。
祭壇には、花が飾られ、祭壇には在りし日の斉藤常子さんの笑顔の写真があった。周りには、数個の花輪がたっていた。個人に世話になった人、親しかった人、会社、地域での活躍ぶりを聞いてると、人生って、その人なりのストーリーがあるのを再確認した。素晴らしい言葉を聞いては、涙して、聞き入っていた。こんなことも知らなかったのかと自分の無知さ加減に腹が立った。
もっと人生経験を積まないと良い小説なんか書けるわけないと、自分に言い聞かせるように、話を聞きながら、自問自答を続けていた。最後に一番、心にしみた、はなむけの言葉は、あなたの行動に感動を受けて、私も、あなたを目指して頑張りましたが、とうとう、常子さんに、偉かったわね、すごいわと言われることなく、お別れを迎えて非常に自分のふがいなさを感じるとともに、あなたの偉大さと生涯忘れないと言ったときは、涙が止まらなくなった。
なんて日のの人生って深いものなんでしょうと痛感して、自分の人生経験の少なさを東出芳子は、恥じた。もっともっと、人と付き合って、人生経験を積まないとだめだわと痛感し、明日からもっと積極的に人生を生きようと、決意を新たにした。これだけでも、今回葬式に出席して、勉強になったと感じた。葬儀が終了して、荼毘にふされる間に、精進落としと言う、昼食の席が設けられた。




