作者ができる読者への示し方
ここ「小説家になろう」で小説を投稿したばかりの頃のことを振り返ってみよう。
まず、都森のぉは、作者として登録したわけではなく、半年ほどは読み専だった。
そこで、婚約破棄系を知り、書いてみたいという思いで、短編を書き投稿した。
その短編から他のキャラたちに視点を変えたシリーズになり、そして、管理のために長編スタイルにしたという流れを持っている。
ここで初めて書いたのではなく、小説を書くということは十年以上前から手慰みにしていたから純然たる新人ではないが、「なろう」においては新人なので、あえて新人と定義させてもらう。
この作品については、ランキング入りすることもなく、婚約破棄系を多数読んでいる読者が新しいもの発掘の恩恵で多くの人に読んでもらえた。
だいたい、投稿から一年ほどでブックマーク1,000件を達成し、感想も貰い、一人喜んでいた。
そのとき思ったのは、人気ジャンルなら時間をかければ、ブックマークが増えて感想も貰えると漠然とした根拠のない理論だった。
そして、ジャンル問わずの物書きであることで、自分の思うままに書いていて、投稿し、月日が流れると、婚約破棄系、ざまぁ系、ファンタジー系でない作品には、読者の母数が少ないことに思い至った。
つまり、いろいろなものを増やしたくても増やせない。
ない袖は振れぬというやつでした。
それならば、どうやったら増えるのか。
マイナージャンルであったとしても読む人はゼロではない、ならばと書き続け、他の人のエッセイを読んで読者を増やす方法を探った。
Twitterなどで宣伝するというのは、SNS系をやっていない私には無理だと断念した。
活動報告に掲載するというのは、自分自身をお気に入り登録してくれていないと見る機会が少ない。
じゃぁどうすればいいのさぁ。
悩んだ結果、ポイントやブックマークが増える方法として、完結ブーストなるものが存在すると行き着いた。
これだと思い、書いている作品をエピローグまで書き、そして、完結させた。
確かに普段のものより閲覧数もポイントも少し増えたが、それだけだ。
むしろ、ブックマークをしおり代わりに使っている人は、ブックマークをひっそりと外す。
ただ、外されても分からないくらいの増減だったので、現状維持で終わりました。
次に、十万文字書いたらブーストが起きる。
これだと安直に手を出して、そして書いていくが、この十万文字は、大きな壁だった。
設定を考えて書いても、八万文字くらいで完結してしまう。
十万文字を超える話を書くには、作者本人が続きを楽しみにするくらいの情熱がないと超えられない壁だと実感した。
ここまで来て、ようやく原点に戻ることに気づいた。
読み専だった半年で、紹介された話以外で、自分が読んだ話の共通点を洗い出してみよう、と。
ジャンルはいろいろだったから、そこは、関係がない。
ただ一つ、共通していたのは、「すでに完結している」もしくは「完結に相当する物語の結末が途中にある」
一つじゃなかったですが、作者が提示した序盤の疑問が解決している。
これがブックマークをして読んでいた理由でした。
書き手にもなった私ですら完結した話だけを選んでいたのだから、読み手に話の途中だけどブックマークして感想ちょうだいとは言えないわけです。
自分がしない無理難題をお願いしていたということです。
ならば、と自分の創作が一度、落ち着いたときに完結していない話を探しました。
完結していない話にブックマークがつくのは、無言の話の続きを楽しみにしていますという主張になるのではないか思い至りました。
それでも全部の話を読むことはできませんし、ブックマークだけ機械的にするのは違うと思い、絞りました。
タイトルやあらすじで、自分の好みに合う作品で読みたいと思う作品を選びました。
そこで思ったのは、ブックマークの数だけ増えたときに何度か整理したということです。
整理したというのは、文字通りブックマークを外したということ。
そのときの理由は、長期間連載されていないというものです。
それでも残したものはあります。
残した理由は、この作家さんは途中で書くのを止めても必ず完結させる人だから。
その根拠は、自己紹介やあらすじで完結させますと言っているだけではありません。
読んでいる作品以外のものが何作も完結している。
これは、言葉で書いても、それが本当だという証拠は?と言われたら返すことができませんが、完結した作品は、それだけで実績であり、根拠になり得る。
この作家さんなら大丈夫。
そう考えて待つことができます。
この考えが全員に当てはまるとは思いませんが、少なくとも私はそうです。
短編、長編のスタイルは問いませんが、多くの人に読んで欲しいと思う作者は、完結した作品を多く残すこと。
これは、完結する可能性が高いことを示すための根拠になります。
多くの読者は、途中で結末がわからなくなる状況を示す「エタる」というのを嫌います。
投稿作品が1作品だけで、完結するかどうか分からない場合には手を出さないという考えであれば、どうしようもありません。
話の途中でも感想が欲しい、悪いところがあれば教えて欲しいという作者の願いはあるでしょうが、多くの読者は読むことが専門だという前提を忘れないでください。
「小説家になろう」の読者の多くは、静かなる大衆であり、それは貴方の作品を支持しているということだと思って、完結させてあげて欲しいと、願っています。