12話 手錠で手を繋いでいる妹がおトイレに行きたいと駄々をこねだした件(後半)
ベッドの中で息を荒げながら小雪がもぞもぞと動いている。変な気分になるので離れようとするけれど、手錠の所為でそれもできない。
小雪の綺麗な髪の毛が顔にあたる。柔らかい太ももが足に絡みついてくる。どうやら相当キツイらしい。
「お兄ちゃん……はやくしないとやばいかも……っ!」
「なんでもっとはやく言わなかったんだ……!」
「だって、看護婦さんがずっと巡回してたから、言ってもどっちみち行けないじゃん……!」
「わかった……おちつけ小雪、簡単な話じゃないか。手錠を外せばいいんだ。ほら鍵を出しなさい、16歳にもなっておもらししたくないだろ?」
「やだ…!お兄ちゃんと離れ離れになるくらいなら私はここでもらすっ!!」
「なんでだよ!?」
「はぁ……はぁ……っっ…ぁ…っ!」
太ももを俺の足に絡ませ、両手でおまたを抑える小雪。さっき、スカートがシワになるからとホットパンツに着替えていた為、生足が直に俺の足にあたる。
そして、右手が手錠で繋がっているせいで必然的に俺の手まで小雪のおまたに触れてしまっていた。
これは別にそういう行為をしているわけではない、あくまでトイレを我慢しているだけだ。
「わかった……いっしょにトイレに行くぞ!だからもじもじすんな!」
「っ……ぁん…! おまたで手ぇ動かさないでぇ……っ!」
「ごっ…ごめん!」
小雪をベットから立たせる。肩を支えながら扉まで歩く。小雪の吐息のせいでなんだか俺まで変な気分になってくる……いかんいかん!
妹をトイレに連れていく、兄妹ならよくあるシチュエーションではなかろうか、なにもやらしいことはしていない。
「っ……ぁぁっ!ぉ……にぃちゃん……はやくぅ……っ!」
「だから変な声だすなって!」
おしっこ我慢するだけでこんなに妖艶な声を出してしまう小雪はひょっとすると、相当敏感な……その、なんでもないですげふんげふん。
扉を開けようとすると、コツコツと足音が聞こえた。まずい……まだ看護婦さんが巡回しているみたいだ。
「小雪、看護婦さんが通りすぎるまで我慢するんだぞ……気を強く持つんだ……!」
「ぅん…っ…!がん……ばる……っ!」
なぜ深夜0時に、おしっこ我慢スニーキングをしなければならないのだろう。冷静に考えるとものすごくおかしい気がする。
「よしっ!看護婦さんいったぞ!」
「ちょっ……っ!!はやくはしりすぎ……っ!」
急いで小雪をつれて曲がり角に隠れる。
よし…!このまま左に曲がって連絡通路を突き当たりまで進み、右に少しいけばトイレがある!
しかし、連絡通路は手すりより上がガラス張りになっており、隣の連絡通路からも透けて見えてしまう。そこで看護婦さんに見つかればアウトだ。
「小雪、かがんで歩くぞ……!」
「ぇぇっ……!?……むりだよぉっ……!!」
「無理じゃない……あきらめるな!楽園はすぐそこだぞ……!」
「……ぅん…っ…わかった……わたしがんばる……っっ!!」
小雪が四つん這いで歩いている後ろを、俺も四つん這いでついていく。ホットパンツを履いた小雪の小ぶりで可愛らしいおしりがもじもじしながら進んでいく。
ホットパンツの隙間からなにか縞模様の布が見える。何かはわからない、わからないフリをしなければならない。
わからないはずなのに俺はその布から目を離せずにいた。
遠くから、コツコツと看護婦さんが近づいてくる音が聞こえる。
「まずい小雪……!はやく進むんだ……!」
「そんなこといったって……ひゃんっ!!」
看護婦さんの足音に驚いて後ろを向き、前を確認せずに進んでしまった俺。
もじもじしながらその場で動きを止めていた小雪。
どちらも悪くないんだ。
おしりと顔で玉突き事故を起こしてしまった。
「ふぉへん…っ!」
「イっ……ッ……!…ちょっ…と……はやく顔どけて……ぇ…っ!」
小雪のおしりは小ぶりながらも女性特有の柔らかさを備えていた。大人になる前のおしり、少女と女性の狭間。一瞬の輝きを、俺は見た気がする。
「だれかそこにいるんですか?」
まずい!小雪のあえ……叫び声のせいで看護婦さんに勘付かれてしまった!!こちらに近づいてくる音がきこえる!!
一か八か走るしかない!トイレまで!!
「耐えてくれよ……っ!」
「ぇっ……ちょっ!」
小雪の手を引いてトイレまで走る。
この際すこしだけ、小雪ダムが水漏れしても仕方ない。看護婦さんに見つかればあきらかな不純異性交遊として処理される。残りの6日間の入院生活、病院に女を連れ込んだ変態の汚名を着なければならないのだ。
傷口が痛むけれど、関係ない。小雪ダムは決壊寸前!!俺の傷口が決壊して小雪ダムを守れるなら安いもんだ!
看護士さんが連絡通路を懐中電灯で照らすと同時に、俺たちは連絡通路を右に曲がり、ついにトイレの前までたどり着いた。
「小雪…!大丈夫か……!?」
「ぅぅ……おにぃちゃんが……むりやりするから……っ…ちょっとだけでちゃったじゃんかぁ……あほぉ……っ!!」
「泣くな小雪……傷は浅いぞ……!」
おまたを片手でおさえながら小雪は涙ぐんでいる。ッ……!俺が小雪の、名状しがたい縞々の布のようなものに気を取られなければ…こんなことには……っ!!
小雪の手を引き、トイレの扉をあける。女子トイレに入る、ためらっている暇はない、事は一刻を争うのだ。
「じゃあ俺は個室の外で待ってるから……」
「手錠の長さ的に無理だよ!はやく入って!!」
「ぬぉっ!!」
小雪といっしょにトイレの個室にはいる。小雪はすぐに座る。
「目と耳塞いでて!はやく!!」
「いや無理だって!だって片手しか使えないんだぞ!!」
「気合いでどうにかして!お兄ちゃんでしょ!!」
「鼓膜は気合じゃどうにもならん!!」
「っっ……もぅ……我慢できないっっっ……!!」
小雪が俺を抱き寄せる、控えめな胸に顔が埋まる。両耳も、小雪が抑えてた。
なるほど、この体勢なら音も格好も見えないな!
ビクンと体が震える、小雪がさらに強く俺を抱きしめる。
数分ほどその体勢でいた。
「目……あけていいよ。」
目を開ける。小雪が瞳を潤ませながら恥ずかしそうにうつむいている。今にも顔から火が出そうだ。
「……安心しろ小雪、ぱんつはお兄ちゃんのボクサー貸してやるからな」
「………」
「………」
「におい、嗅いだでしょ?」
「……嗅いでません」
「本当に?」
「……もちろんです」
そのあとは何事もなく病室に帰り、例のごとく目隠しをされ、小雪は俺のボクサーをはいた。おまたがむずむずするといいつつ、なぜかすこしだけ楽しそうだった。
「お兄ちゃん……」
「はい……」
「じゃあ、ねよっか……」
「はい……」
手錠は二人の体温で熱くなっている。
まだ夜は終わらない。
次話は小雪との夜編です!
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