表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

突然の宣告



警察署では緊急会議が行われていた。事態は最悪の方向へと向かっていた。今朝の一面はこの記事がどの新聞も独占していた。



『都市部の全銀行で爆発火災発生』



昨夜、最初の爆発は午後七時。突然の大爆発が起こった。それに続くかのように次々と連続して爆発が起こる。その数およそ十。


すべての銀行が爆発火災により全壊している。会議室には白鳥を始めとする上層部の者達が集まっている。皆、事の重大さに気付い


ているようで誰も喋ろうとしない。その沈黙のなか、ドアが開き、一人の男が入ってくる。



「お待たせしました。MARBLEの逢瀬と申します」



逢瀬は今回の事件について話し始めた。



「この連続爆発はあの男の、クロノスの仕業です。十もの銀行を全焼するのに、三十分も掛か


っていない。」



クロノスとは時人の呼び名のことである。『時の神』にちなみ名付けられた。



「そして、もうひとつ。この件は、我らMARBLEに任せて欲しく、参りました」



「どういうことだ!」



白鳥が怒声を上げる。しかし、逢瀬は冷静に答える。



「貴方達の手では負えない、ということです」



その言葉に反論するものはいなかった。白鳥も黙っていた。



「クロノスがここまで行うとは予定外でした。すべてを我らに任せてくれませんか?これが詳


しい資料です」



逢瀬の出した紙には今後、警察署における全ての権限をMARBLEに委託する、といった内容である。



「ふざけるな!こんな事が許されるか!」



白鳥は机の資料をばら撒き、逢瀬の胸倉を掴み、壁へと叩き付けた。逢瀬は動じずにいる。



「貴方達凡人が手に負える相手ではない。それは貴方が一番分かっているのでは?」



そうである。クロノスの件は責任者である白鳥が一番よく分かっているのだ。自分達ではどうすることも出来ないのを。



「では、これにて失礼します。よい返事を期待していますよ」



彼らに残された道はひとつしかなかった。












 逢瀬はある男の前にいた。



「そうか、よくやった逢瀬よ。ご苦労だった」



「して、クロノスはどう致しましょうか?」



男は考えているように手を回したり、首を鳴らしたりしている。



「私が行きましょうか?」



「いや、デクテットのお前が行くことはない」



「分かりました」



「そうだな、こいつ等を行かせよう」



男は逢瀬に四人の名簿を渡した。どれも実力は中の中である。



「当て馬ですか?」



「まぁ、そういう、ことだな」



男はそのまま眠りについた。逢瀬はその名簿を取り、その場を去った。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ