最強の十人組
どれくらい時間が経ったのだろう。目が覚めてから学校が滅茶苦茶に破壊されているのに気付いた。外から見る限り、高貴館も半
壊状態にあった。聖児は廊下を歩いている途中、爆音に襲われた。しばらく意識が飛んでおり、目覚めるとそこには仲間の姿が見当
たらなかった。仲間を見つけるべく、瓦礫などを退けてみる。しかし、見つけることは出来なかった。
「誰も殺さないよ。君たち、五人以外はね」
後ろを振り向くとMARBLEらしき人物が五人立っていた。
「お前たちの仕業か」
「あぁ、お前たちの居場所を突き止めることができてな。それにここにはマリューセル嬢もいるんだろ?」
その言葉を吐いた後、五人の男の前まで聖児は迫っていた。殴りかかったが、男達は反応が早く、距離を大きくとる。
「お前の能力『発火』のことならわかっている」
どうやら聖児の能力までも敵にはバレている。それなら時人やアキラ、アネモネも危ない。そう悟った聖児。急いで、四人を探すこ
とにした。
「待て、どこに行く気だ?まだ終わっていないぞ」
「もう終わっている」
五人の胸には火が灯っている。聖児は指を鳴らした。その瞬間、男たちの体を火が覆いつくした。火の音はいつも心地よい。しか
し、こいつらの言動には引っかかるモノが多かった。考えたところで何も浮かばないと思い、四人を探そうと走り出した。その聖児
の目の前に男が立っていた。
「流石だな。『発火』ね」
「誰だ?」
明らかに先程の男達とは感じが違う。能力者のようだ。
「デクテットが一人。アハト・リッター。鮫島幸介だ!」
男はいきなり突進して、掌は何かを掴むように構え、腕を上に振り上げた。聖児の体を五本の線が刻まれる。鮮血が吹き出した。腹
から首元にかけて切られた。片手で押さえて息を整える。不敵に笑う鮫島。
「まさか『デクテット』が出てくるとは予想外だな」
デクテット。MARBLE内でも特に能力が優れている者達を集めた十人組。序列が決まっていおり、それぞれ我が強く、単独行動
を主にとっている。
「改めて自己紹介だ。鮫島幸介。能力は『爪刃』だ」
『爪刃』自身の爪を極限まで硬化させ、斬りつける。
単純だと聖児はおもった。それだけに個人の身体能力に左右される能力だ。奴はアハト。つまり八番目の実力。倒せないことは無
い。
聖児は手を横の広げ、指先に神経を集中させる。そして、手を顔の前でクロスさせ爪先にかけて尖るように火を付ける。
「火装。爪の型」
それは鮫島に対する挑発とも思えた。
「上等だ!いいぜ!気に入った!」
二人の爪が交錯する。




