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異世界奇行 ~ダーメニンゲンの詩~  作者: DIVER_RYU
第二集『天肆争奪戦』
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第二六篇『機械化闘士の鎮魂歌』中

この物語を読む前に、お手元の刀はお納め下さい。

 二体の改造闘士が、一見すれば有利に見えるはずの四人を追い詰める。


「ガガウ!!」


 鋼のドクロを剥き出しにしたマードッグの顔から、奇ッ怪なる機械の眼が睨みつけている。


「フフッ……『地獄はここからだ』って言ってマス」


 妖艶な笑みを浮かべ、蛇のような機械の体をくねらせながらサイレーヌが訳す。


「威勢の良いことね、単なる仕切り直しとは違って?」


 抜いた刃を構え、眉間にシワを寄せながらカタックは問う。


「イヤな余裕を見せてくれるヤツらね。いざとなったら落盤で道連れ……そう考えてんでしょう?」


 肩で息をしながら、ラビアは天井を指差し言い放つ。それに対するサイレーヌの返事とは。


「ええ、土塊のシーツの下、永遠の夢を共に見まショウ?」

「アンタ達と添い寝なんて御免よ」


 ラビアとカタックの二人が睨みを利かせる一方で、後ろでケンとラマエルがかばわれている。


「全部振り出しに戻ったけど、僕に何か出来るのかコレ……!?」

「落ち着くのじゃ、数の上ではコチラが有利ぞ! アジダハーカの尾を切り落としたのは、他ならぬそなたじゃぞ!」

「僕の刀に、一体何が……!? しかもどうやって“出す”んだよ……!?」


 そんなケンの方を向き、カタックが答えた。


「良いことケンちゃん、どんな術でも無理に“出そう”と思って出せるモノではないわ。今はただ、一振りの刀としてその子と向き合いなさい。そうすれば自然と応えてくれるはずよ。それに……来るわよ!」


 壁から姿を現し、全身から刃を生やしたマードッグが突進する。二つの刃、ケンとカタックの得物が受け止めるも、二人の体はなおも押され続ける。


「この重さ……コイツのタルウィサイトは特別製ね」


 流体合金であるタルウィサイトに使われる希少金属アフリマニウムには、使い手の精神によって質量が変化するという性質を持つ。このアフリマニウムの“比率”が高くなればなるほど、タルウィサイトの扱いにはより熟練した技量、即ち自らの精神のコントロールが求められる。通常の手甲剣であれば、余程の念を込めねば極端な重さを発揮することはなく、鋼の剣であれば十分打ち合うことが可能である。


 だがマードッグの使用するそれは大きく異なっていた。二人もの剣士を、例え片方が未熟であったとしても、鍔迫り合いに同時に持ち込み圧倒する程の重さを叩き付けていたのである。即ち、アフリマニウムの“比率”がより多く含まれていることを示していた。


「特別製……そうだ、コモドさんの手甲も確か!」


 マードッグの刃を受けながら、ケンは思い出していた。


「何か聞いてるかしら、ケンちゃん?」

「コモドさんの手甲剣、アフリマニウムの量を変えているって言って……おあッ!?」


 急に力を入れられ押し出される体を、踏みとどまることで無理矢理に起こし、構えを変えながらケンとカタックはマードッグへ刃先を向けた。


「そうだ、コモドさんのは減らしているんです、アフリマニウムを!」

「減らしている!?」


 カタックは両の刃を抜くと的確に、マードッグの刃に対抗する。一方でケンはマードッグの背中をとったにも関わらず、相手の身体から直接伸びる刃を、流すだけで精一杯であった。


「コイツは逆に増やしている、となると……?」

「……ケンちゃん、良い事教えてくれてありがとう。ちょっと打開策が読めて来たわ」


 重さを与えるアフリマニウムを多く含ませることは、一見すれば強力な刃に繋がるように思えた。現に今、ケンとカタックは押されている。だが、コモドという身近な例が、アフリマニウムの“比率”を減らした刃を使い続けるのにもまた、理由がある。


「毒性に関してなら、その体なら無効化出来るでしょう。しかし銀に近い性質を持ったアフリマニウムでは、刃の“硬さ”に関してはどうかしら?」


 刃に必要な“粘り”と“自在な重さ”を与える性質を持つアフリマニウムだが、多く含まれれば戦闘用の刃としては大きな欠陥を持つこととなる。銀に近いとされるその硬度は、打ち合いそのモノには向かないのだ。マードッグの刃は、猛者と打ち合うのではなく一方的に斬り刻むためのモノだったのである。


「ガウゥゥ……!!」

「図星のようね! ケンちゃん、遠慮することはないわ、バシバシやっちゃって!!」


 マードッグの背から、更に第二第三の刃が出現し、ケンへと襲い掛かる。その一つ一つが、確実に心臓や頚動脈を狙う殺意に溢れた攻撃であった。


「……そうだ、流れる水のように……!!」


 いつか、ラビアから教わった内容を口にするケン。


「良いわね、そうよ。肩から力抜いて、力を入れるのはなぎ払う時だけ。時に優雅に……」

「時に激しく!」


 マードッグの刃と同じく、蛇の如き動きを見せ始めるケンの刀。その様子を見て満足気な表情を見せるラビアだが、彼女が相手取るサイレーヌもまた猛攻を見せていた。相手の持つ羽団扇状の剣により、ラビアの使う付け爪は持ち主を離れ壁に刺さっている。


「鉄脚ラビア、と言うそウネ。残念だけど、その二つ名はこのサイレーヌが頂くワネ」


 ウナギ状に変形した機械の脚で、縦横無尽な攻撃を仕掛けるサイレーヌ。時には脚そのモノによる重い一撃が、またある時には手にした刃による鋭い一撃が迫り来る。一方でラビアもまた皮膜を広げ、壁を蹴り飛び立った。サイレーヌの変形した脚による薙ぎ払いを軽々と飛び越えると、本体に向かって稲妻を描くような軌跡で飛び掛かる。


「三爪鉄掌、四之爪……」

「四之爪ダト!?」


 ラビアの指先が、隠しポケットへと滑り込む。次の瞬間、サイレーヌの本体とすれ違った彼女の指には、いつの間にか次の鉤爪が装着されていた。


抜爪流霞斬ばっそうりゅうかざん……!!」

「うグッ……!?」


 脇腹に刻み込まれた三本の傷跡を押さえ、サイレーヌの胴体が地に落ちる。三爪鉄掌とは主に翼人族の使う武術の一つだが、片手に三つの鉤爪を装着することが名前の由来である。そして術技には一之爪、二之爪といった番号が振られており、両手に装着する鉤爪の数から全部で六之爪までが存在する。だが四之爪以降の技を見たことのある者は少ない。何故なら、その術技はいずれも流派を極めた者、それも翼人族のみが扱えるとされる“裏の三爪”とされているのである。


「ホンモノを見たのは初めてかしら? 初体験の味はどう?」


 改めて解説せねばなるまい。四之爪こと抜爪流霞斬とは、隠しポケット等に鉤爪を仕込み、皮膜を用いた短距離の滑空を繰り返しつつ一瞬にして相手の急所を狙ってすれ違いつつ、仕込んだ鉤爪を装着して斬り付けるという技である。翼人族以外でも似たような芸当は可能だが、技として成立させるには低空を高速で滑空する能力が必須となる。


「おのレェッ!! 小娘の分際で生意気な技を使いおッテ!!」


 激昂し、荒っぽい口調で吼えるサイレーヌ。


「じゃあ、今度はウチの“長老”に御登場願いましょうか、ね!」

「齢四ケタならば文句はあるまいの!」


 背を屈めたラビアの肩を飛び越し、触角を光らせたラマエルが姿を現す。


「天導術、エルバラック!!」


 高く掲げた指先に触角から放たれた電撃を集め、真っすぐにサイレーヌの傷跡に向ける。だが次の瞬間、標的の傷を狙うはずだった電撃はあらぬ方向に曲げられた。その先にあったのは、サイレーヌの手にあった羽団扇状の剣であった。相手もさるもの、咄嗟に金属の得物を手放し向けることでエルバラックを誘導したのである。


「なぬぅ!?」

「何処を狙ってるんダイ!? キャハハハハ!! ……囁響術」


 壊れたような笑い声を上げると、サイレーヌは口の周りに手を添え、構える。


「まさか、とうとう遂にソナーカノーネ……!?」

「最早正気ではないのう……エルベリース!!」


 ラマエルの指先から絹が放たれ、サイレーヌの口を目掛けて飛んで行く。だが絹は届く前に寸断される。


「……この程度の絹なら無詠唱で十分ヨ。改めて……囁響術、スライスリーム!」

「そっち!?」

「キャァオッ!!」


 光を帯びたサイレーヌの口から放たれた声が、三日月型の斬撃となって襲い掛かる。スライスリームは短く鋭い発声によって、限りなく接地面の少ない衝撃波、即ち斬撃を放つ技である。


「あたくしは簡単に狂いはしナイ。一度思い切り激昂し、声に出せば、怒りは収まるモノよ……キャオッ!!」

「そんな納め方ある!?」

「天導術、エルアイギス!! 相手もさるモノじゃ、どうにか出来ぬかの……」

「良いのがあるわ。そこに刺さってるのを使えば……」


 ラビアが指差すと、そこにはサイレーヌに折られた鉤爪の一部が壁に刺さっていた。


「さっきはヤツの得物でわらわの電撃を逸らされた、ならばこちらも使ってやれば良い。そうじゃな?」

「そういうこと。しかしどうやって誘い出そうかしらね」

「ならばわらわに策がある! 近う寄れ……」


 サッとラビアの耳元に何かを吹き込むと、ラマエルは両手を胸の前で交差させて構える。その背後に、全く同じ構えのラビアが構えたのを見たサイレーヌが疑問の声を上げる。


「何を考えてイル……?」


 ありとあらゆるモノが“武器”となり得る闘術士の戦いにおいて、見たことのない構えに対し無暗に突っ込むことは“死”を意味する。ましてや相手は『裏の三爪』を習得した翼人族の達人と、未知数の実力を持った天肆族の貴人である。


「一、二の、三でいくぞ、準備はよいな?」

「ええ、いつでも良いわよ」

「一、二の……!!」


 両手を口元に運び、構えながらサイレーヌが後ずさる。


「三ッ!!」

「キャオッ!!」


 放たれたサイレーヌのスライスリームを、合図と共に放たれたラマエルの絹の壁が受け止める。直後、空気中に散ったスライスリームの、遺した傷跡からラビアが姿を現し、壁に刺さった自らの鉤爪に手をかざし、唱えた。


「化鋼術、自在鎖! 伸びよ! 張れよ!! 絡めッ!!」

「何ヲッ!?」


 ラビアが術をかけたのは、鉤爪に最も接近したタイミングであった。だが彼女は今、サイレーヌの背後をとっている。壁に刺さっていた鉤爪は今、鎖となってサイレーヌの蛇状の脚に絡みつき拘束している。


「先生、今よッ!」

「天導術、エルバラック!!」


 放たれた電撃が、今度は鎖を通じて直撃する。それだけではなく、高圧の電流は鎖の絡んだ位置が熱を帯び、機械改造を施された改造闘士にはこの上ない損傷が、同時に激痛が襲い掛かる。


「オノレェ……かくなる上ハ!!」


 サイレーヌの蛇状の脚が分離、元の人型に戻って行く。だがその足元は依然おぼつかぬままであった。ダメージから、逃げ切れなかったようである。


「あたくしの、新たな脚をよくもこんな形デ!!」


 ラビアとラマエルに前後を挟まれた形で、サイレーヌはなおも強気な態度を崩さない。


「だが好都合……女にこの術を使うのは好きではナイ、だが贅沢は言ってられないワネ」

「……まさかの?」

「囁響術、ヒュプノスレイヴ!」

「あぐぅッ!?」


 振り向きざまに放たれた思わぬ術が、ラビアの脳を直接締め付ける。その不快感に、彼女は思わす頭を押さえてうずくまるのであった。


「ラビア!? 今助けるぞ、エルバラック!!」

「護れ我が盾ヨ!」

「何をォッ!?」


 脚が勝手に動き、ラマエルの前に引きずり出されるラビア。それに気付いたラマエルは慌てて電撃を無理矢理曲げ、逃がした。


「なんたる卑劣……」

「我ら闘士の争イニ、卑劣も正道もあったモノではナイ……勝った闘士こそが正義を名乗れるノヨ……」

「……じゃあ正義はあたしにこそある、そうよね?」

「今、何を言ッタ?」


 次の瞬間、サイレーヌの喉に埋め込まれた機械に、折れた鉤爪が突き刺さっていた。


「ラビア!? 操られたのではなかったのか!?」

「今、自力で解いたのよ……」

「自力でか!? ……まさか痛みで」


 そう話す彼女の掌からは、血が流れだしていた。ラビアはヒュプノスレイヴを掛けられたまさにその時、うずくまった拍子に見えたのは、落ちていた自分の鉤爪の一つであった。操られ、無理矢理歩かされながらも、彼女は折れた鉤爪を拾い上げ、何と直接手に刺すことによる痛みで無理矢理術を解いたのである。そして自らを傷つけた鉤爪を今、サイレーヌ最大の急所である喉元の増幅装置に突き立てたのだ!


「アァッ……アッ……アッ……!?」


 声をまともに出すことが叶わず、機械のノイズの混ざったうめき声だけを上げながらよろめくサイレーヌ。


「あたしから鉄脚の二つ名をとろうなんて二万年早いわよ。化鋼術、武装変幻!!」


 ラビアの義足が変形し、小型の大砲へと姿を変える。


「火尖脚砲!」


 構えを直し、蹴り込む姿勢に移るラビア。術を封じられたサイレーヌは最早遁走する他に手段は残されていなかった。だがラビアの鉄脚あしは逃さなかった。


「必殺!!」


 宙を舞うラビアの、生まれ持っての脚が上段からの浴びせ蹴りでサイレーヌの肩を捉える。そして鉄脚の砲口が至近距離で相手に突き付けられ、遂に文字通りの火を吹いた。三発もの火炎弾を叩き込まれて地に伏したサイレーヌに対し、撃った反動で月面宙返りを決めたラビアは静かに着地すると、その絶技の名を唱えるのであった。


「火炎弾月面バースト!!」


 スネに取り付けられた装甲に手を添え、引く。膝についた排熱機関から、白い煙が上がると同時に、サイレーヌの機体は炎と共に砕け散るのであった。


「ガウァアア!?」


 その時、慟哭にも似た声をマードッグは上げた。


「ウガァアア……ウガァァァ……!!」

「……仲間を……悼んでいる……!?」


 顔をうつむけ、出していた刃を急激に体内にしまい込む。その様子にケンは驚き、向けていた刃先を思わず地面へと下げていた。だがカタックは違った。


「ケンちゃん! 構えて!!」

「えっ?」


 彼の目は確かに見ていた。泣き叫ぶようなマードッグの眼窩の奥に、確かな怒りの光が灯る瞬間を。


「グァアアアアオオオオオオ!!」

「ゲッ、マズい!!」


 仲間でなくとも分かる程の悲しみ、そして仲間を奪われた怒りを叫んだその時、極太の針がまるでウニの如く、マードッグの全身を突き破り飛び出した。前後をとっていたカタックとケンはすぐさまその場から飛び退き、針の一撃から逃れようとする。だがこの“針”はただ感情によってのみ捻り出されたモノではない。


「グァウッ!!」


 針はその身を捻じ曲げて、執拗にケンとカタックに迫っていた。使用者の精神によってその形や重さを変えるタルウィサイト、そこにマードッグが込めたのは殺意という名の理性。


「ケンちゃん! 叩いて!! この細さで打ち合うならこちらに分があるわッ!!」


 カタックの言う通りであった。現にマードッグは、銀に近い性質を持った流体金属を、一方的に“突き刺す”やり方で使っている。打ち合うにはおおよそ向かぬ形であった。


「ぬぅぅおおおおぁぁあああああ!!」


 いつの間にかケンの口からは“咆哮”が飛び出していた。徐々に、徐々にその刃は粘りを増し、体捌きそのモノがしなやかにも針の一つ一つをかわしてゆく。


「やれば出来るじゃない……! 次の舞手に良さそうだわ……!!」


 やがて針の一つを叩いて捻じ曲げたその時、遂にケンの刀身の波紋に、いつかの紫の光が灯り始めていた。


「あッ!? で……出たッ!!」

「出せたのね!? ……今よ振り下ろして!!」


 ケンの刀に宿る圧倒的な力を見て、カタックはその場から飛び退きながら針を捌く。そして彼の合図を元に、ケンは刃を振り下ろした。一瞬だけ凍り付く空間、時が止まったような戦場の中、ケンの刻んだ三日月型の軌跡だけが淡い紫の光をまとう“裂け目”を生み出していた。直後、鼓膜を突き破るが如し鋭い音と共に、相手が放っていた巨大針を、鋭利な断面と共に地に落とす。


「ガ……!?」


 マードッグの驚く声は、捻り出されると同時に沈黙する。一同が見たモノ、それは彼の機体にすっかりと刻み込まれた、三日月型の風穴であった。自在に操られる針すらも全て平等に、三日月型の切れ目が刻み込まれていた。


「……嘘でしょう? アジダハーカの尻尾を斬ったのって、やっぱり……!?」


 驚くラビアの口から、いつもの艶やかな軽口が失われる。直後、マードッグが放っていたタルウィサイトの針は全て流体金属体として流れ落ちた。


「わらわは夢でも見ておるのか……? しかしあの三日月型の傷、まさかとは思うたがケンまでもが……!?」


 何度も目をこすりながら、ラマエルが見返す。だがマードッグの胴体には、彼女の言う通り幾度と見ても鋭利な三日月が貫かれていた。


「ガ……ガガガウゥゥ!!」

「ヤケになったわね。良いわ、楽にしてあげる。紅蓮剣必殺……!」


 カタックの構えた刃が、魔力による熱を帯びて真っ赤な光を放つ。正眼に構えた刃から、放たれた熱が辺りの空間を歪めて見せる。闇雲に襲い掛かるマードッグの、動きが止まった。彼の目に、カタックの姿は映ることはなかった。だが直後、その機体を袈裟懸けと横一文字に薙ぎ払う一閃が襲い掛かったのである。


「秘剣……」


 血振るいするかのように術を解くと、マードッグに背を向けて鞘を滑らせて刀を納めながらカタックは技名を唱えていた。


蜃気楼しんきろう!!」


 刀が完全に鞘へと収まると同時に、マードッグの胴から火花が噴き出すと、真っ二つとなった機体がそこに横たわることとなるのであった。カタックの放った蜃気楼とは、彼の使用する紅蓮剣の熱量を高めることで周囲の景色を歪め、相手から自らの姿が見えなくなった瞬間に高熱の刃で斬り付けるというまさに秘剣であった。


「やっぱり……アテクシの知ってるのと完全に一致したわ。ケンちゃんよく聞いて、あなたが持っている素質、それは……!!」


 納めた刀を差し直し、ケンに向き合ったカタックは語り始めようとしていた。


覚醒しつつある、異世界モノ特有の特殊能力に今後ご注目下さい。

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