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異世界奇行 ~ダーメニンゲンの詩~  作者: DIVER_RYU
第二集『天肆争奪戦』
58/61

第二五篇『迷宮鉄道暗黒経由地獄行』下

この物語を読む際には、毒を仕込んでない方の手でお願いします。

「ハァッ! ハァッ!! フンッ!!」


 薄暗い部屋に響く気合。額から脂汗を流しながら、男は目の前の金属の鉢に貫手を入れている。鉢の中には赤く熱した鉄クズが敷き詰められ、貫手を入れる度にその右手を焼いてゆく。焼けて煙を放つ男の右手指は鋭く研ぎ澄まされ、猛禽類の鉤爪の如き姿を湛えていた。常人であれば悲鳴と共に吐しゃ物を吹き出す激痛であろう。だがこの男には心地よい暖かみと化していた。


「スゥゥゥ……ハァァッ!!」


 焼けた右手を今度は白く大きなツボへと向かわせ、中の赤い砂に貫手が入る。この赤い砂は砂状のアフリマニウム、即ち有毒の金属によって構成されている。更に複数の有毒自然物を計量した上、磨り潰して混ぜ合わせた猛毒が混ぜ込んであった。ただでさえ焼けた手を浸したならば発狂するであろう苦痛が襲うであろう行為、だが彼の心身は既に狂っていた。


「良いぞ……過去最高に仕上がって来ている……。イレザリア貴族による客人へのもてなしは、常に上質なモノでなければならぬ。例え刺客であったとしてもだ。そうだろう、死神コモド……いや、違うな」


 赤黒い右手に白い手袋を被せながら、男は呟いた。否、話しかけた。


「名を名乗れ。いつの間に入り込んだ」

「へぇ、やっぱり気付くんだな。ペオル=ゼーブルさん」


 背後に佇む男に向かって、ゼーブルは顔を向けぬまま再び声をかける。


「名を名乗れと言っている……最も、コモドの一派ではなさそうだが」

「シュウジロウ・キリシマ。長いからシュウで良いよ」

「何用だシュウ。冷やかしであるなら、この右手の露となってもらうぞ」

「冷やかしでここまで足を運ぶと思いますかい? ボクは取引に来たんだ」

「取引だと? ……イレザリア国民ではなさそうだな。礼儀知らずに関しては許してやるが、内容によっては覚悟致せよ」


 眉間にシワを寄せながらゼーブルはシュウに向き直った。


「まぁ簡単な内容だよ。今ここに入り込んでる曲者にさ、天蚕の子がいるよね?」

「……ラマエルだったか? 貴様も天肆の能力ちからを欲するか」

「半分だけ正解だね。ボクは既に、彼女が統べるべきだった、天大陸を手にしている」

「領土を既に持っているか。嘘か真かは定かではないが、なれば貴様が欲するは領主としての、振舞い方のレッスンか?」

「それは別件で頼むとして、ボクが求めているのはラマエルの身柄さ。力はキミ達が好きに使っても構わない、だが身柄だけはこちらに置いておきたいんだよ」

「身柄をだと? 貴様の目的はラマエルの所有権の譲渡か。ならば貴様から払う対価はなんだ、命か?」


 ゼーブルの左手が、右の手袋に添えられる。


「やりあうつもりはない。もしそうなっちゃ、お互い無事じゃないからね」

「ならば貴様に何が払えると言うのだ?」

「情報さ。こちらが持っているのはラマエルの使う天導術、そして……ケンという少年が目覚めかけている、華月覇剣についてなんだけど」

「華月覇剣か……」

「知らない、とは言わせないよ。そこのハエの人形だって映してたはずさ、アジダハーカの尾を軽々と斬り倒して見せた、あの一撃をね」


 アゴの下に指を添え、考える素振りを見せるゼーブル。その様子を見つめる、シュウの口角がやや角度を上げるのを一瞬だけ視界に入れると、ゼーブルは口を開いた。


「ふむ。貴様の望みはラマエル、即ち天蚕の姫君の身柄の確保であったな」

「そうだよ。今一度の確認ということは、話が“まとまった”ということでよろしいのかな?」

「ああ。吾輩の考えは決まった。お断りする」

「そうそう賢い選択だよ……って、何て言った今?」


 シュウの顔から笑顔が消えると同時に、ゼーブルの口角が上がった。


「貴様はもう少し商いというモノを学んだ方が良い。貴様が真に天大陸からの使者であるなら、地上に逃れた姫君の交換条件としてもう少し対価を払えるはずだ。それほどまでに、我々にとって天大陸の資源は重い価値を持っているモノでね。そう易々と渡した結果、そのまま貴様ごと姿を消す可能性も高い以上は話が呑めんのだ」

「なるほど、そもボクが天大陸の使者かどうかも怪しんでるというワケか。更に本当にそうだとしても、天大陸に姫様を逃がしてしまう可能性が出てくる、と」

「御理解頂けたようで何よりだ。それとこちらも華月覇剣や天導術といった、天の技術に暗いワケではないということも記憶して頂こうか」


 シュウの目元がやや険しい表情を見せる一方で、ゼーブルはテーブルに置かれたハエの仮面を顔に着け、向き直る。


「お帰り願おうか。この複眼から、貴様を焼く赤い光がもれぬうちにな」

「言われなくてもそうさせてもらうよ。ボクだって命は惜しいからね。でもまた顔を出すことにするよ、近いうちにね」


 弾指を鳴らすと、シュウの足元が円形の光を放ち、一瞬にして彼の姿を呑み込み姿を消した。


「生意気な小僧だ。また顔を出すだと? なれば次に会う時には命を支払ってもらうとしようか……」


 一方、天大陸に帰還したシュウもまたチラりと地上に目線をやりながら毒づいていた。


「所詮地上に溢れる天の情報など、断片的なモノに過ぎない。そのことをあの地上人は知らんようだ」

「破談で御座いましたか」

「そういうとこだよスガリエル。頭の固いヤツってのはいるモンだね」


 刀を預け、改めて水鏡を見ながら彼は呟いた。


「華月覇剣も天導術も、地上で使った者は少ない。その上、向こうからすればマトモに相手取れば無事では済まない。だから避けてるんだよ、賢い闘術士程ね。そんな状況で、どうやって情報が集められると思ってんだか」

「そのゼーブルという者に、日を改めて交渉を持ち掛けてみてはいかがかと」


 もう一人の側近が話しかける。


「その必要はないよオガミエル。次に会う時は奪えば良い、君とスガリエルも連れて三人でね。最も、相手がゼーブルになるとは、限らないけどね……」

「即ち、ラマエル様を手にした方が、我々の敵……」

「ここは一つ、どちらが勝つか見物といこうじゃないか。最もこちらの申し出を断った時点で、ゼーブルの方がやや不利に見えるけどね。出来ることなら、互いにギリギリの勝負をした上にもっと消耗して欲しいんだけどなァ……」


 コモドが集めた精鋭達と、ゼーブル率いる暗黒組織ブラックバアル。その激突を掌の上で転がすつもりであったシュウ。抗争を巡る思惑はやがて、決着後の第三勢力の動きにまで及び始めていることを、今のコモドは知る由もなかった。


 コモド達一行の眼前には今、溶けた鉄によって断面を繋ぎ止められ、無理矢理に修理されたゴブリン達が迫っていた。


「やばいよコモドさん、コレじゃキリがないって!」

「線路だ……線路があるうち何度でも来る……どうすれば……!!」

「ラビア、あの継いでる鉄をブン獲ったりは出来んのか?」

「無理よ! 術の技量に差があり過ぎるわ。アイツは、ビアルは化け物よ!!」


 そう叫ぶラビアの顔は蒼白であった。


「化け物か……じゃあ振り切るしかねぇな!」

「どうやって!?」

「コイツを飛来槍に石突にくくりつける!!」


 そう言ってコモドは両の手甲を外し、自分の乗る台車に付いた飛来槍、即ち現在の動力源に装着させた。


「手甲剣技! タルウィファウスト!!」


 タルウィファウストは本来、内部に仕込まれた流体金属タルウィサイトの性質を利用することで、手甲剣そのモノを飛ばして攻撃する術技である。だがコモドは今、その動力をトロッコの推進力として利用したのである。


「加速しろアルムドラッド! この直列魔力なら簡単には追い付けねぇぜ!!」


 グイグイと加速するトロッコ。追いかけるゴブリン達を悠々と振り切り、一行は駆け抜ける……はずだった。


「待ってコモドちゃん!? ゴブリン達の様子がまたおかしくなってるわよ!!」

「ゴブリンの様子がァ? ……ゲゲッ、そう来たか」


 何とゴブリン達の体を繋いだ鉄が次々に溶けだすと全身を覆うだけでなく、次々に周囲のゴブリンを取り込み一体化し始めたのである。そして出来上がった姿はゴブリンの首から胴にかけてを何体も繋ぎ合わせた、まるでムカデが如き異形であった。


「向かってきます!!」


 その速さは恐るべきモノであった。何本も生えた腕部でガシャガシャと壁面や天井を掴みながら迫り来る。機械人形もまた魔動機械である以上、魔力を以て動いている。即ち、コモド達がトロッコに使った直列魔力による加速を、ゴブリンにも応用が利くということを示していた。


「クソッ、追い付かれる……!!」

「足止め上等、ヒュドラ喰らえ!!」


 再びヒュドラ三六を構え、ゴブリンの頭部を撃ち抜くコモド。更に正中線を狙って撃ち続ける。


「真魔戦法、正中撃ち! いくら継ぎを入れた所で、機械人形の要は“背骨”にある。再生し続けた所で機能に限界が来ているはずだッ!!」

「甘いな死神コモド、機械人形はゴブリンだけではないと知れ!!」

「今の声はもしや……ぐわッ!?」


 コモドの左頬に衝撃が走り、一九〇センチもの長身が軽々と車体の外に投げ出される。


「コモドォォーーッ!?」

「コモドさぁぁん!?」


 各々が叫び、魔力を断つも加速の付いた台車は停まらない。とうとうコモドが置き去りとなる形となってしまった。そして一行はハッキリと目撃していた。コモドを台車から叩き落とした人形の姿を。


「今の……イリーヴじゃなかった!?」

「見間違えるモンか、アイツは確かにイリーヴよ、アイツを探しに来たはずよ!!」

「すぐに戻りましょう、あのままだとコモドちゃんでも持たないわ!!」

「反転せよ飛来槍! ケン君、ラマエルちゃん、そこの手甲を外して台車に入れて! 届けるわよ!!」

「はいッ!!」


 ケンとラマエルが槍から手甲を外し、目の前の台車に入れる。


「行くよッ!!」



 

「あがぁ……痛ぇなクソ……!!」


 顔の半分を押さえながら、その場から身を起こすコモド。トロッコははるか遠くに行ってしまったらしい。


「会いたかったのだろう、死神コモド」

「嗚呼会いたかったぜ、でも変わっちまったようだな……イリーヴ!!」


 起き上がると同時に彼の赤銅色の隻眼がイリーヴを睨み付ける。


「再改造喰らったか……!!」

「何とでも言うが良い。我は一介の機械人形、最早貴様の知るイリーヴなどではない」


 尖った指先を揃えての、貫手がコモドに迫る。


「手甲を外しているな。トロッコにでもくくり付けているか。こんな好機はない」

「それが何だってんだ。すぐに戻って来るぜ、俺の仲間はな!!」

「ならばそれまでに始末してくれる!」


 その場から転がり貫手をかわしたコモドに、イリーヴの緑色に光る眼が向く。


「バレルアイザー!!」

「かはッ!?」


 かわしきれなかったコモドの左脚を、イリーヴの眼から放たれた光線が焼く。


「バレルシャフト!!」


 引いたイリーヴの腕部から、返しの付いた鋭い先端が顔を覗かせる。


「ブチ抜こうってか!」


 壁に手を付きながら、牙を弾いて揺らぎを出す。指先に灯った魔力を正面に構え、距離を取りながらイリーヴの右腕から覗く銛を睨み付ける。


「死ね、コモド!!」

「いいや、その一撃もらったッ!!」


 放たれた銛に向かって、コモドは揺らぎを放つ。魔力を宿した銛に向かって掌を向けると、すぐさまあらぬ方向にその指先を向けた。行き先はイリーヴ自身の脚部、左の腿を銛の先端が“捕える”のであった。


「大丈夫かイリーヴ!?」

「寄るな! やってくれたなコモド……!!」


 返しの付いた銛を強引に引き抜くイリーヴ。するとそこに、トロッコが遂に到着する。


「お、やっぱり助けに来たようだ……なぬ?」


 三つ連なった台車に駆け寄ったコモド、だがそこに仲間はいなかった。赤い手甲が、中に置かれているだけである。


「どういうことだ、トロッコだけで来ただと? まさか、皆俺みたいに……!?」


 コモドの思った通りであった。


「うが……やっぱり出てきやがった……!!」

「サイレーヌ、それにマードッグ……!?」


 トロッコから引きずり出された四人。地べたに伏したケン、壁に手をつき何とか立ち上がろうとするラマエルとラビア、そして剣を支えに何とか踏ん張っているカタック。


「ホホホホ……この先は死の国ですワ」

「ガウガウガウ」

「ええ、マードッグの言う通り……いわゆる地獄とも呼ばれてますワネ」


 四人の眼前には二人の改造闘士が立っているのであった。


「コモドの元には行かせないワ。全員をそれぞれ引き離シテ……」

「ガウガウ。ガウ!」

「その通り、各個撃破と命じられておりまシテ」


 得物を手に、二人は迫る。


「随分なアイサツをするわね、アナタ達は」

「まずい、コモドが孤立した……!!」

「ならば、どうにもわらわ達で退けねばならんな……!!」

「痛ぁい……」


 受け身を取り損ねていたケンをラビアとラマエルが起こすと、改めて得物を手に構えを取る。


「かかって来なサイ。抱き締めてあゲル……」


 サイレーヌの妖艶な微笑を浮かべた白い顔が、徐々に一行を見下ろし始める。暗がりの中、不自然に上昇するその姿に対しカタックが得物の切っ先を向けた。


「飛び回るつもり? この狭い空洞の中で!?」


 次の瞬間、カタックの刃は強烈な一撃を受け止めていた。押し出された彼の足が地面に軌道を描き、予想外の怪力から来る一撃から焦りの表情を浮かべている。


「んな……脚が……伸びておる!?」


 松明に照らされた姿が戦慄を呼ぶ。サイレーヌの脚は長く伸び、縄のように交差する格好となっていた。まるで下半身が細長い魚となった、人魚のような姿である。だが人魚と似通う要素はそれだけではなかった。


「ワタクシにとって、この空洞は魚にとっての水に同ジ。この姿をとれば、ワタクシは自由に泳ぎ回り、そして……」


 カタックの身体が宙に飛ぶ。サイレーヌの魚の尾にも似た脚から放たれた、強烈な蹴りが彼を襲ったのだ。


「このようなマネも可能となるのデス」

「カタック先生ッ!?」

「やってくれたわねサイレーヌ……!!」

「まずいぞ、あのマードッグといい、この空間じゃ何処からでも攻撃が……」

「ラマエルちゃん、危ないッ!!」


 ラマエルの脳天目掛けて、マードッグが切っ先を向け落下する。それに気付いたラビア、皮膜を一度広げると一気に畳み、まるで鞭のように振るうという一撃を放った。


「ガウ!?」


 打ち落とされるマードッグ。一瞬だけ、鋼のガイコツが剥き出しとなった凄まじい顔でラビアを睨みつける。しかし彼の機体は一瞬にして地面に吸い込まれるように姿を消した。


「ありがとうなのじゃ……」

「油断もスキもあったモンじゃないヤツらね! どうにか炙り出せないかしら……」

「炙り出す……そうよ、ラァワ様は文字通りそうしてたわね!」

「それであんな姿に!?」


 驚いたケンが声を上げる。


「いくら体にタルウィサイトを組み込んだとは言え、金属である以上は長時間の高熱には耐えられないはずよ!」

「じゃあどちらも火責めが有効かなぁ……」


 口々に相談しながらも、一行はじりじりと後退を余儀なくされていた。


「しかしわらわ達も立つ瀬がなくなるぞ!?」

「いや、方法ならある! コイツを使うんだ!!」


 そういうとラビアは線路に向かって、鉄の爪を投げ打つ。


「化鋼術、針蜻蛉!! コレで壁や天井に張り付けて、カタック先生!!」

「そうか、灼熱に変えてやると!! 宝眼術、魔眼閃光!!」


 針蜻蛉の術によって無数の針に変えられるレール。空中でカタックによる術がかけられ、真っ赤に熱されると今度はマードッグが姿を消した地点をまるで取り囲むように針が次々に刺さってゆく。


「溶けよ!!」


 ラビアの一言で、針蜻蛉が一気に溶鋼と化す。二人分の魔力を上乗せした溶鋼は、通常よりもはるかに高い温度となって地面に突き刺さる。


「それでマードッグを封じたつモリ? 甘いワネ。囁響術、ソナーカノーネ!」

「ソナーカノーネ!? 落盤するわよ!?」

「わらわに任せよ! 天導術、エルアイギス!!」


 指先から放つ絹が、ドーム状の防護壁を築く。同時に素掘りの壁、天井を瞬く間に覆い始める。


「コレで容易には崩せまいぞ!」

「フフフ……狙いを外したワネ!」


 次の瞬間である。エルアイギスの内壁から、次々に熱せられた針が顔を覗かせ、そして炎上するのであった!


「そんなッ!?」

「してやられたのう、落盤ではなくこちらが狙いだったとはな」

「器用なマネをするヤツ……!!」

「仕切り直しネ、改めて一人ずつ抱き締めてあゲル。おいでなサイ」


 ビアル直属の改造闘士部隊によって、コモド達一行は三つに分断された。サイレーヌとマードッグを相手取ることとなった四人、ヘルベンダーを相手取ることとなった三人、そしてたった一人イリーヴを相手取るコモド。暗黒組織ブラックバアルの戦力が、戦略が、遂に本格的な悪意の牙を剥き始める。インクシュタットの地下に広がる空間の中で、地に伏すこととなるのは果たしてコモド率いる闘術士達か、暗黒組織に属する改造闘士部隊か。


「良いぞ、流石は拙者の造った改造闘士」


 その様子を見つめるビアル。その手にはコモド達の前から姿を消したルシーザが載っていた。


「ビアルよ。出撃の準備は出来ておるだろうな」

「ハッ、いつでも可能で御座います」

「よろしい。……ふむ、当初の計画通り、コモドの孤立に成功しておるな」


 ルシーザの映す虚像を覗き込むゼーブル。その口元には嗜虐的な笑みを浮かべていた。


「では、そろそろ拙者も向かおうかと。今であればコモドを仕留める絶対の好機かと思われまする」

「よろしい。では吾輩も向かおうか。今日こそ兄者……カタックの息の根を止めてやる。コモドと合流される前にな!」


~次篇予告~

分断されたコモド達一行、襲い掛かる改造闘士達。

鋼の体に魔力の魂を宿した刺客達を、果たしてどう攻略するか。

次篇『機械化闘士の鎮魂歌』 お楽しみに

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