第二三篇『潜入前夜の静寂の中で』上
この物語を読む際には、自分の体をいたわりながらお願いします
ペンタブルク総合病院、その診察室にケンとコモドはいた。
「ふむ、コレなら問題ないでしょう」
コルウスのお墨付きも得られ、コモドの顔に笑みが浮かぶ。
「ありがとうございます。コレで……思いっきり、叩きに行けます」
「とはいえ場所はあの魔女喰いの森、まずいと思ったら無理せず引き上げて下さい」
「分かってますって。……そうだ、出る前に、お願いしても良いですかね?」
「何でしょう」
「もし、俺が“無事に”ブラックバアルを叩き潰して戻ってこれたなら。“例の方法”を試そうと思っているんです」
「……やるつもりですか。全てを終わらせた後でしたら、構いませんよ」
「ありがとうございます!! あと最後に、厠借りても良いですかね」
そう言ってコモドは診察室を出た。
「あの……先生。質問良いですか」
「ん? どうぞ」
「例の方法って、一体何の何なのですか」
「ああ、それですか」
そう言うと、コルウスは少しだけ考え事をした後に、口を開く。
「コモドさんの患っている、邪竜症候群なのですがね。実は一つだけ、完治した例があるんですよ」
「え!?」
ケンの口から、出した本人が驚いてしまうほどの大声が出た。
「……まぁ驚くのも無理はないでしょう。本人が半ば諦めちゃってますからね」
「そんなに、難しい方法なのですか」
「はい。その一例となった患者は入院中に内戦に巻き込まれ、焼け落ちる医療施設の中から奇跡的に救出されたのですけどね」
「いきなり凄まじいことになってますね……」
「当時のイレザリアは荒れてましたから」
淡々と話すコルウスに、ケンは薄ら寒さを感じていた。
「まぁよく考えたら、そもそも兵竜作ってる時点で大概でしたね」
「それで焼け出された人は一体どうやって治ったんですか」
「ああ失礼。で、彼は全身にひどいヤケドを負い、全治一か月と確実に期間中に新月が訪れるという絶望的な状況だったのです。何せただでさえ大ケガした人物が邪竜化したら……」
「全身をウロコに引き裂かれた上で大暴れ……」
「ええ、まず間違いなく御臨終、のはずでした」
取り出した資料を手に、コルウスは続ける。
「結論から言うとね、起きなかったんですよ、邪竜化がね。そして検査の結果、邪竜怪虫は患者の脳内で死亡していたことが確認されたのです」
「まさか……熱で?」
「ええ、後に邪竜怪虫の体を作る組織は、取りついている脳を構成する物質と比べて熱耐性が劣るということが判明したのです」
「じゃあ、その虫を上手く焼けば……!!」
ケンの顔色が急激に明るくなる。だが対照的に、コルウスの表情は晴れないまま。
「それがですねケンさん、完治したのはわずか“一例”だけ、なのですよ」
「あ……ってことは他に試した人は……?」
「何名か、いらっしゃいます。ですが」
一度目を閉じ、一呼吸置いてからコルウスは言葉を続けた。
「全員、亡くなりました。理由はなんとなく御察しかと思われますけど」
「やっぱり、難しいんですか」
「脳につく虫だけを狙って焼くのは、現代の医療技術の粋を駆使しても困難なのですよ。それに……先程話した貴重な一例となった方も結局、内戦によって命を落とされております。だから現状では、邪竜症候群は不治の病とされているんです」
「まさか、コモドさんが試す、その方法って……?」
「ええ、焼くつもりです。彼なりの、やり方があるのでしょう。もちろん、某も手伝うつもりですよ」
読者諸賢の知る科学技術で不可能な事象を、この世界の魔法技術は可能とする場合がある。しかしそこにも限界があるということをケンは知るのであった。殊更、生命というデリケートな線に触れる事柄には尚更である。
「某としては、コモドさんには是非とも生きてて頂きたいんですけどね。ブラックバアルが壊滅した後も、ずっと」
「僕もです。あの人、理不尽な目にばっかりあってる気がして……」
「オウ、呼んだかぁ?」
戻って来たコモドが声をかけた。
「コモドさん……」
「ケンちゃん、良いか。人間いつかは死んじまうんだ。でもな、ベッドで死ねる闘術士なんて滅多にいねぇんだぞ」
「しかし!!」
「同情してくれたのはありがてぇがな、三五年間何だかんだで楽しかったんだぜ? ダメで元々さ、だからもし治ったら、その後のコモドさんはでっけぇオマケだと思っててくれねぇか?」
「自分をオマケだと思わないで下さい! 理不尽だとは思わないんですか!?」
「なっちまったモンは仕方ねぇさ、だから最善を尽くすんだ。遺して逝くにしても、足掻いて生き延びるにしてもな」
そう語るコモドの顔は、異様なまでに優しい笑顔を浮かべていた。
「アイサツに出てくるよ。あちこち世話になりっ放しの俺が、最期に出来ることなんてコレぐれぇだから」
マントを羽織り、コモドは廊下に出て行くのであった。
「コモドさん、強いなぁ……」
「そして、ムチャをする、と……」
十数分後、病院近くの宿のロビーにコモドはいた。
「まぁ、持って来るとは思ってたけど」
「来て頂けますか。まぁ、来るなと言っても来そうですけど」
目の前で茶を口に運ぶのはカタック、コモドから受け取った紙を見ながら話を進める。
「分かってるじゃないコモドちゃん。ところで、どうして自分で持って来たのかしら? ラァワ様に頼んで、式神符で届けてもらうことも出来そうなのに?」
「嗚呼、それはですね。色々と話しておきたかったんです」
そう言うとコモドは、自分の注いだ茶に小瓶の中身を入れ始めた。
「そう、直接話がねぇ……ってコモドちゃんそれ、かなり強いお酒じゃないの!?」
「ええ。よく合いますよ。先生も良かったら」
「アテクシお酒は苦手ですの、ごめんなさいね」
「それは失礼した」
「それよりもコモドちゃん、アナタこんな陽の高いうちから呑んでるワケ!?」
「今日だけですよ」
「ちょっと安心したわ……」
胸を撫で下ろすカタックをよそに、コモドは粒砂糖を口に放り込むとそのまま茶を含んだ。
「先生。今回お呼び致しましたのは、そちらが把握している暗黒組織の情報を聞いておきたくてですね」
「ああ、そのことでしたの。どの辺からいきましょうか」
「十年前のお話ですけどね、アイツらキャンバスコットの魔動機研究所に手を伸ばしてましてね。何が目的だったと思われますか」
「ゴーレム技術、それから機械人形の製造法。特にコレね、アテクシの入手した設計図なんだけど……コモドちゃんなら分かるはずよ」
カップの中身を一気に飲み干し、受け取った設計図とにらめっこし始めるコモド。彼が再び口を開いたのは、数分後のことであった。
「……コレ、イリーヴの設計図じゃねぇですか。なるほど、脳髄をこうして納めて、残った生命力を用いることで機械にも関わらず自己修復を可能とし、なおかつ本来の持ち主の知識や、時には術までも使用可能とする……ほう、人形の名前としては『メニギス』というのか。なるほどなるほど……完全体であれば血液交換も必要ねぇと来たか」
一通り読んだ後、コモドは設計図を渡しながら、カタックに尋ねた。
「しかし戦力が欲しいだけなら通常の、それこそオートメイトだけで良いはずだぜ、何でこんなモノを作るんですかね」
「粛清よ。ゼーブルに粛清された構成員はかなりの数、それもアイツの気分を害すれば入った当初から粛清が決まっていてもおかしくないわ。で、その機械人形ね。脳みそさえ無事なら粛清しても死なさずに使い続けることが出来るのよ」
「殺したいけど勿体ない、ってとこですか」
「そういうこと。とんだ考え方でしょう?」
「……その実験体にイリーヴは選ばれた、ということですか」
「そういうことになるわね……」
「とんだ身勝手野郎だぜ」
吐き捨てるように呟いたコモドの声は、まるで地の底から響くかのような低さであった。
「しかし一つ間違えたなら、俺の脳みそがあの、いわば機械仕掛けの監獄に入っていたってワケか……」
「ラビアちゃんとの出会いも、ケンちゃんを助けることも、そして実家に帰ることすらも、叶わなくなるとこだったわね」
カタックの言葉に合わせて、コモドの脳裏には次々と該当する人物の顔と声が浮かぶ。
「ついでに申し上げるなら、その皆々様がメニギスに閉じ込められる事態も、考えておいた方が良いかもしれないわよ」
「メニギスに……」
コモド脳裏に浮かんでいた顔が、次々に脳を納めた機械に変わって行く。やがて彼の顔は両手に覆われ、言葉を発さず横に振るばかりとなった。
「他に、聞きたいことはあるかしら」
「ああ……その前に厠行かせて……」
「どうぞどうぞ」
コモドが席を立つと、カタックはティーポットの中身を確認した。
「マスター、お代わりをお願い」
同時刻。ゼーブルは上裸のまま右手に得物を持ち、添木をした左腕を鏡を使って見つめていた。周囲にはゴブリンが二体、そしてビアルが控えている。
「ゼーブル様、本当にやるんですね?」
「そうだ。ヤツは必ず来る。ルシーザの出した映像には確実に書いてあった。ヤツは、この吾輩が手負いである今を逃すことはないだろう」
コモドが突入を決めた理由は、自らの余命を悟ってのことだけではなかった。カタックによって粉砕骨折させられたゼーブルの左腕は、魔女摂符の使用なしではまず完治することがない。あの時の峰打ちは決して兄弟としての情から来るモノではなかった。確実に、ゼーブルを手負いに追い込む算段なのである。事実ゼーブルの腕は、真っ赤に腫れ上がっている。
「死神は必ず刈り取りに来る! なればこそ裏をかくのだ、そのためには……治らぬ左腕など吾輩には不要ッ!! ハルティアス!!」
しかしゼーブルの覚悟もまた据わったモノであった。右手の得物の名を叫び、魔力によるエネルギーで出来た赤く輝く刃を展開、左腕に当てると一気に焼き切るのであった。
「ゼーブル様ァ!! ああッ!!」
「嘆いておる場合かッ!! ……すまんビアル、例のモノを持って参れ」
「御意!!」
ビアルは素早く箱の中身を出す。覆い隠す布を丁寧に取り外すとそこには、鋼で出来た義手が眠っていた。手の甲にあたる部分に、ドクロを背負ったハエが刻み込まれている。冷水に断面を漬けながら、ゼーブルは義手を取り出す。
「良い出来だビアル……よし、手術を始めよ!!」
「ハッ!! ゴブリン、ゼーブル様を押さえよ!!」
ゴブリン二体に命じて腕を固定し、麻酔を打つ。義手をあて、ゴブリンに汗を拭かせ、一時間後にはゼーブルの左腕は鋼のそれに替わることとなった。
「……馴染むにはまだ、時間がかかりそうだな」
「ゼーブル様、そこは“使う”のが一番の近道であるかと……」
「確かに、その通りだな……丁度良い実験体もいることだしな……」
ゼーブルの悪意に満ちた金色の目が、さっきまでビアルの手術を手伝っていたゴブリン二体に向けられる。ビアルが自らの背後に下がるのを確認すると、ゼーブルはその左腕を早速ゴブリンに向けた。次の瞬間、離れていたはずのゴブリンの頭部に、ゼーブルの左手が覆いかぶさっていた。
「ゴ……ゴブ……?」
困惑するゴブリン。ゼーブルの腕は上腕から先が切り離され、鎖で繋がれている。左肩をグイと引くと、鎖が凄まじい速さで格納され、元通りになった左腕には胴体と泣き別れとなったゴブリンの頭部が握られていた。
「ゴブ!? ゴブゴブゴブ!?」
もう一体のゴブリンが、その様子を見てその場から逃げ出そうとする。
「……出来の良い個体だ、自分が壊されるという危機が分かるらしい。だが……」
左手で貫手を作ると、そのまま腰だめに構えるゼーブル。その場で発射された一撃は背中を向けて逃げるゴブリンの中心部を正確に貫き、一瞬にして機能を停止して倒れ込むこととなった。
「戦闘用オートメイトの分際で敵前逃亡など話にならん。フッ、少しだが馴染んで来たぞ……」
左腕を元に戻し、手袋をかけるゼーブル。
「待っておるぞ死神コモド……そして兄者……!!」
「では、拙者はこれにて。改造闘士達のメンテナンスが御座います故」
「うむ、しかと頼んだぞ。そうだ、コイツを持って行け」
ビアルに向かって、ゼーブルは一つのアンプルを手渡した。
「コレは……」
「ソイツには溶血霧散掌で放つ、瘴気の元がこめられている。人肌ほどに暖めてから首を折ればすぐに使えるはずだ。ヘルベンダーに頼まれてな」
「なるほど……切り札ということか」
「ただし、アイツが注文した量はかなりのモノだ。十分に気を付けて扱うよう伝えておけよ」
ビアルが部屋に入ると、そこには三体の改造闘士が待機していた。
「ゼーブル様まで改造されたのデスカ。却って手間に見えるのは気のせいですカネェ」
「あたくしとしては、改造仲間が増えるのは歓迎致しマスワ」
早速ヘルベンダーとサイレーヌが口を開く。
「さてメンテナンスといきたいとこだが……ヘルベンダー、例のモノもらって来たぞ」
ビアルがアンプルを渡す。
「危ないから早めに封入しておけ」
「分かってますヨォ……コイツを喰らえば、人間一人は軽くガイコツに出来ちゃいマスからネェ……」
ヘルベンダーが別室に移ると、次はサイレーヌに向かって話しかける。
「サイレーヌ、例の装置を実装する。準備は良いか?」
「ええ、分かったワ。せっかく皆でいらっしゃるんですモノ、全力で歓迎しないトネ」
「マードッグ、手伝ってもらうぞ」
「ガウ!」
手術台に横たわるサイレーヌの頬を優しく撫でた後に、ビアルはメスを手にするのであった。そして一時間後。
「さぁ、目覚めの時間だ、サイレーヌ」
その手の甲にキスをすることで、ビアルはサイレーヌに手術の終わりを告げる。
「マードッグ、例のゴブリンを持ってこい」
「ガウ!」
マードッグは片手でゴブリンの頭部を掴み、引きずるようにして部屋に入れる。
「不良品のゴブリンにも使い道がある。サイレーヌ、たっぷりと愛してやれ」
「ゴ……ゴブ……ゴブ……」
怯えるかのように声を出すゴブリンを前に突き出し、ビアルとマードッグは部屋を出る。
「フフフ……可哀そうな子……大丈夫よ、抱き締めてさしアゲル……」
ゴブリンに近付くサイレーヌ。やがて部屋からはまるで何か潰すような音が響き、ゴブリンの悲鳴が上がり、そして何も響かなくなった頃、ビアルは再び部屋に現れるのであった。
「コレはコレは、熱い抱擁だったらしいな」
バラバラになったゴブリンを見て、ビアルが呟いた。その断面はまるで捻り潰されたかのようであり、何が起こったのかは一目で分かるモノであった。
「調子はどうだ」
「おかげさまデ。コレならあの子達も、愛を以て迎え入れられマスワ」
「それで良い、それで良い……ヤツらが来る日は分かっている、今日はもう休むと良い」
「ハッ!」
三体はそれぞれ、立てられた赤い棺の中に入ってゆく。蓋がゆっくりと閉じると、そこに刻まれたドクロを背負ったハエの紋章、そのドクロの目が光り始める。
「この特製の棺で眠れば、改造闘士の回復力は何十倍にも上がる。いつ到達されようと全力で闘えるというワケだ。ゴブリン!」
ビアルが呼ぶと、数体のゴブリンがぞろぞろと現れる。
「この棺をそれぞれ、指定した場所まで運べ!」
「ゴブッ!」
「運び終わったなら、その場で待機するのだ。良いな?」
棺を運び出すゴブリン達を見送ると、残った数体を引き連れビアルは隣の部屋に向かう。そこには先程よりも大きな、黒い棺が立っていた。
「イリーヴ……貴様はコモドを心身ともに追い詰めるための尖兵の一つとなる。持ち上げろ!」
ゴブリン達がぞろぞろと棺の周りに立ち、肩にかけて運び出してゆく。
「あとは、突入される二日後までに、どれだけのゴブリンを量産出来るか、だな……」
暗黒組織と、コモド一派の決戦が迫る。決して暗黒組織も、無策で相手を引き入れようとしているワケではない。
(コモドのヤツ、二日後に突入とは考えたモノだ。あの粉砕骨折なら魔女摂符による施術を受けたとしても治療に三日はかかる)
魔女を敵視するゼーブルに、その選択肢はなかった。仮に無理に魔女の力を使ったとしても、治るまでには至らない。
(拙者としては腕を奪う結果となるのが不本意だが、ゼーブル様が望むのであれば止むを得ない……ヤツらの裏をかけるのも事実だからな)
闘術士の派閥同士の闘争は、常に裏の探り合いと共にある。一人一人が時にはゴーレムを使い、またある時は炎や電撃を操るといった状況下においては、一度裏を取られることが致命傷になり得るのだ。よって相手のケガには当然付け込むこととなり、ケガをした側は何かしらの策を練らざるを得なくなる。そしてゼーブルがとる対策こそが、折れた腕を捨てるという選択肢だったのである。
「こんなお茶会の様子すらも、見られてるなんてねぇ……」
コモドが厠に行ってるその間、カタックは机にかけていた刀にそっと手を伸ばし、ある一点を見つめながら呟いた。鍔に手をかけ、付属している小柄を引き抜くと、天井に向かって真っすぐに投げ上げる。その先端は小型のハエ型魔動機、ルシーザを捕らえていた。ゼーブルがあちこちに放ち、コモド達の監視に使っていたモノである。
「うわ先生!? 何やってんですか!?」
厠から戻って来たコモドが驚き声を上げる。するとカタックは放った小柄を強く睨み付けると、フワリとその手に戻すのであった。
「驚かせてごめんなさいね、こんなのがずっと、アテクシ達を覗き見してたモノで」
背中を貫かれて沈黙したルシーザを見せながら、カタックがぼそりと話し始める。
「今の今まで、コモドちゃんの周りにはずっとうろついてたんじゃないかしら。何か大きなハエがいるな、と思ったことはないかしらね」
「大きなハエ……」
小柄を引き抜いて刀に戻すカタック。一方でコモドはルシーザをじっと見つめている。ただし肉眼である左目ではなく、眼帯に仕込まれた義眼によって視力を得ている右目によってである。
「コイツ……よく出来た監視人形じゃねぇか……ハエだと思って見ると随分でけぇが……」
「ルシーザ。ゼーブルの使う監視用人形よ、きっと本拠地には山ほどいるわね」
「持って帰っても良いですかい」
「ええ、どうぞ」
裏をかくためには当然、相手のことを探る必要がある。コモドの突入日が分かったのも、まさにルシーザを介して情報を盗み見ていたのである。
「……気付きおったか兄者め」
複眼に映していた映像が途切れ、ゼーブルは苦虫を噛み潰したような表情で呟くのであった。
肉を切らせて骨を断つ。普通は出来ないことです




