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異世界奇行 ~ダーメニンゲンの詩~  作者: DIVER_RYU
第一集『暗黒組織ブラックバアル』
16/61

第七篇『前夜祭にて人形達は舞う』下

この物語で活躍するのは主人公だけとは限りません。御容赦下さい。

「ガイシャの四人の身元はいずれも男性でイレザリア国籍、特に大男はコモドさんの言っていた通り美人局の一味の一人のアングーロという人物だったようです。どうにも向こうの日陰者達の間でも有名だったとか」

「美人局の一味ですか。して、肝心な一人はどんな人物なのです」

「エスカという名前だそうです。しかし彼女もやはり、ジーペンビュルゲンの宿での目撃を最後に姿を消した模様でして」

「……ふむ、“また”女性ですか」


 ウラルは、部下の報告を聞きつつ一冊の資料を取り出した。


「カニス君。コレは今までに行方不明となっている、ある共通点を持った女性のリストです」


 カニスと呼ばれた役人にウラルは語り掛ける。


「これまでに六人、そして恐らくですが今回のエスカさんを含めて七人目。ごく個人的に追っているモノですが、参考までにお見せしておきましょうか」

「その、共通点ってのは何ですか?」

「まず第一にある程度以上に美形であること。次に、数人もの命が奪われるような事件の中でただ一人生死も分からぬまま行方不明になった女性である、という点です。そして今回のエスカさんの一件で一人、捜査線に上がった人物がいましてね。しかしどうすれば良いモノか……」


 その数時間後、今や既に黄昏時。ジーペンビュルゲンとペンタブルクの間に広がる森の街道にて、男が一人佇み姿なき声を迎え討とうとしていた。


「噂なら聞き及んでおるぞ。かつての人喰いは今や関所の窓口で笑顔を振りまき木札を受け取り、ハンコを押すだけのショボくれた老爺となりかけておるとな」

「では話が早いですな。こちらも単刀直入にお聞きするとしましょう。暗黒組織ブラックバアル、その重鎮ミスター・ゼーブルとは貴方のことか!」

「そうだ、いかにも吾輩がゼーブルだ。そして吾輩と組織の名を知り、姿を見た者は必ず死ぬ」

「ならば私が、その数少ない例外となりましょう。消えていった七人の麗しき者達のために」

「フッ。その執念深さ、そして生き延びる勝算の立つ狡猾さ、本格的に人喰いウラルが戻ってきたか」

「そうと分かればミスター・ゼーブル! 関所まで御同行願いましょうかッ!!」


 ゼーブルは、そっと手を前方に差し出すと、パチンッと大きな音で弾指を鳴らす。すると街道の地面が次々に盛り上がり、手が伸び人影が起き上がる。オークであった。


「探し出せ。知らしむが良い、深追いする者が辿る末路というモノを」


 ゼーブルが命令を下した、まさにその直後であった。一体のオークが彼の足元に倒れ込む。角の付け根に矢が刺さり、傷口からオーク因子が流れ出て消えていく。崩壊したオークの跡から矢を拾ったゼーブルが呟いた。


「鉛の矢だと。なるほど、今この状況では大変に有効だな」


 鉛という物質は現実でも生物の体に有害であるが、オークの本体たる因子にもその有毒性が効果を発揮する。そうこうしている間にもオークがまた一体、倒れ込み煙を発して消えていく。ゼーブルの仮面に付いた複眼が、矢の放たれる位置を探して探り始める。そして手袋に魔力を込め飛ばす頃には、オーク達は全滅していた。


「やっと捉えたぞ」

「手袋ですか、中々味のあることをしますね」


 茂みから姿を現す、ゼーブルの手袋を先端に突き刺した手甲剣。その付け根を追うと遂に姿が露わとなった。鮮やかな青いターバンにはウロコ状の模様が輝き、関所の役人である証たるバッジを胸に着け、腰に巻かれた青いスカート状の腰巻には蛇の模様が刻まれている。


「イレザリアの貴族の風習にあるそうですね、確か手袋を投げるということは決闘を申し込む印であると」

「表に堂々と出て来た理由は、その風習に合わせるためか。人喰いウラル」

「私が見る限りミスター・ゼーブル、貴方は本来やんごとなき身分の者。このウラル・サン=カリアンドラもまたイレザリアの出身、なれば貴方への敬意も込めて合わせることと致しましょう、その流儀にッ!」

「同郷のよしみとはナメられたモノだな。先程のように隠れてこそこそ撃った方が楽に吾輩を捕らえられるというモノを」

「この人喰いウラル、例え仕留める相手とあっても敬う気持ちを忘れたことなどありはしない! 行くぞッ!!」


 ウラルの手甲剣の切っ先がゼーブルの眉間に向けられる。するとゼーブルの指がパチンと弾指を鳴らし、同時に彼の姿が赤紫色の炎と共に消えた。ウラルの目が鋭く虚空を見つめる。


「そこだッ!」


 素早く後ろを振り返りウラルが手甲剣を振り下ろす。ゼーブルの両手がその刃を受け止めた。するとウラルはつかさずアダーを取り出し、口にあてて一撃を吹き込んだ。至近距離の一撃を首一つでかわすゼーブル、その様子を見たウラルが口を開く。


「これくらいは計算済みですか」

「アダーと手甲剣の二段構え、特にそのアダーは骨董品と言っても良いシロモノだ。鉛の矢を好んで使うヤツなど最早貴様くらいだろう」

「二段構え、ですか」


 するとウラルは何とアダーを高く放り投げ、ゼーブルに向かって前蹴りを放つ。素早く刃から手を放し、後ろに飛び退くゼーブルを、ウラルは丁度手元に降りて来たアダーを掴んで一発、二発と追撃する。うち一つを手で叩き落としつつ、弾指による瞬間移動でゼーブルが姿を消す。しかしその赤紫の炎が示す軌道を読み、ウラルが前方に飛び込みアダーにその息を続けざまに吹き続ける。


 空になった弾倉をその場に落とし、すぐさま次を差し込もうとする。その時、急に近付いて来たゼーブルの脚が目前まで迫って来た。顔面を狙った蹴りである。しかしウラルはその場で何と、アダーを構えたままブリッジ姿勢で背を反らし、蹴りそのものに空を切らせることに成功した。次の瞬間、ゼーブルのふくらはぎを矢が捉えた。脚をかばい、距離をとってうずくまるゼーブルにウラルは手甲剣の切っ先を向けて迫る。


「止むを得ん」


 ゼーブルは右の手袋に左手を添え、腰だめに構えて相手の様子を見た。その抜刀するような構えを見て、ウラルが声をかける。


「その右手に何を隠しているのです。腰に差した得物に触れることなく」


 ゼーブルの腰に巻かれたサッシュの結び目にはサーベル状の得物が差してある。しかしウラルが指摘した通り、ゼーブルはこの武器らしい物体に手を触れることがない。


「見たいかね。ならば見せてやる」


 素早く手袋を抜き払い、ほとんど黒に近い赤紫の毒手がウラルを襲う。飛んで来た一撃を、ウラルは手甲剣の腹を使って紙一重で避けて見せた。そして右手に仕込んだモノの正体を見て、呟く。


「毒手……!!」

「どうだね吾輩の右手は。まさに今から貴様を屠る、暗く美しい輝きが見えるだろう」

「確かに美しい。しかしこの輝きは、まさに燃え尽きる前のロウソク!」


 ウラルの手甲にある蛇のレリーフの額にある装置が回る。複数に分離した刀身が腕に巻き付き、自由を奪いキズを付けて行く。


「斬り落として持ち帰るつもりか」

「貴方の身柄もだッ!」


 段々と熱を帯びていくウラルの語気。素早く刃を引き、相手の腕を挽き斬ろうとしたまさにその時であった。ゼーブルは仮面に手をかざす動きを見せ、そして叫ぶ!


「宝眼術、破眼念爆!!」


 一瞬早く気付いたウラルがその場から転がると、さっきまで彼のいた地点が爆発を起こす。直撃すれば命はなかっただろう。しかしなおも分離した刃とそれを繋ぐ鎖は、右手に絡まったまま。


「毒手の真髄を見せてやる」


 その一言と共に、ゼーブルの手に食い込んだ刃から赤い揺らめきが発生する。それを見たウラルの左手が素早くアダーを構え、鉛の矢が飛ぶ。だが鉛の矢は、近距離だったにも関わらずゼーブルを捉えることはなかった。


「何ッ!?」


 そればかりか、溶けた鉛の矢が地にべったりと付き、泡を発している。


「我流闘法、溶血霧散掌ようけつむさんしょう


 手に付いた傷口から発生した毒霧による揺らぎが、一瞬にしてウラルの刃に移る。鎖を通じて、その赤い毒がウラルに向かう。その瞬間、ウラルの感覚は凄まじい悪寒に襲われた。咄嗟に手甲を外し、振り払うように投げ捨てる。手甲は近くにあった木の枝に引っかかっていた。


「……ふん、そう来たか」

「ゼーブル、一体何をした!」


 冷静に鎖をほどきつつ、ゼーブルは手甲を掛けられた木の方向を指差した。すると何と言うことだろう、その木は一瞬にして葉を散らせ、幹が腐り、メリメリとその場に倒れ込んでしまったのだ。


「霧状に発した毒を、武器を通じて相手に流せるのか……!!」

「もし吾輩を捕らえたままにしていれば、そこで腐り行くのは貴様であったのだ」


 ゼーブルは、何処か勝ち誇ったような声でウラルに向かって話す。


「さらばだ、かつての人喰いよ」


 毒の右手から一気に大量の毒霧を放ち、地面に叩きつけるゼーブル。巻き上がる霧に思わずターバンで口と鼻を塞ぎ目を閉じたウラルであったが、次に目を開いた時にはゼーブルの姿が消えていた。


「人喰いウラルよ。その命、預けておくこととする。魔女集会の晩を楽しみにするが良い」

「魔女集会だとッ!? 何を考えているんだ……!?」


 パチパチと薪が爆ぜる音が響き、揺らめく炎がゼーブルの黒い手を舐める。危険地帯の森に隠した小屋で行われる、苦痛に溢れたはずの行為をゼーブルは平然とした表情で消化していた。既に猛毒の塊と化した彼の右手には最早痛覚など存在しない。その傍らにはウラルから受けた鉛の矢、足には血の滲む包帯が巻かれている。


「ゼーブル様」


 傍に膝を突き、一人の男が控えた。


「人喰いウラルとの戦闘はいかがで御座いましたでしょうか」

「予想以上に油断のならぬ男だった。脚を見たまえ、蹴りを放とうとしてこの結果だ」

「なるほど、確かにヤツは脅威となりましょうな、ブラックバアルにとって」

「このような者が役人の中に混ざっているというのが実に憎たらしい。魔女集会の夜にはヤツと役人共にも打撃を与えておこうと考えておるがどうだろうか、カニスよ」


 傍で控えている男、カニスが顔を上げる。昼間に関所でウラルと会話していた、まさにその顔がゼーブルの隠れ家にて片膝を突いていた。


「その方がよろしいでしょう。今回の件により、ウラルは魔女集会における舞の警備を増員する方向に持って行く可能性が濃厚です。ここは一つ、このカニスが名乗り出てみようかと」

「なるほど、コモド襲撃の指揮を受け持つということか」

「その通りで御座います。幸いにも、わたしが関所に潜入してから半年、今のところ役人共は誰一人こちらの正体に気付いておりません。コモドの舞を間近で見てみたいなどと抜かせばすんなり通るかと」

「よろしい、その辺の首尾は任せる。君のゴーレムの腕には期待しているぞ、カニスよ」




 翌朝のことである。関所近くの喫茶店に、コモドとケンの姿があった。


「やぁ、二人ともお待たせして申し訳ない」


 そこにウラルの姿が現れる。


「いえいえ。ところでウラルさん、何があったんで?」

「ふむ、そのことですけどね」


 周りに少し視線を向けた後、コモドと同じ席に着き話を続けた。


「昨夜、ゼーブルと戦闘になりました」

「ゼーブルだと!?」

「コモドさん、声が大きいですよ」


 咄嗟にケンがコモドを諫めた。


「……失礼」


 しきりにウラルは周りの客を気にしていた。


「やはり、デングに毒を打ったのはゼーブルで合っているようです」

「ヤツは、一体何処に現れたと言うんですか」

「森です。ペンタブルクと、ジーペンビュルゲンを繋ぐ森の街道がありますでしょう。そこを横に逸れた箇所にある魔女喰いの森に足を向けていましてですね」

「……なるほど、あそこなら余程の命知らずでもない限り好き好んで入るヤツはいませんな」

「魔女喰いの森……?」


 首を傾げるケンに、コモドが答える。


「ああケンちゃん、魔女喰いの森ってのはね。俺が母さんのとこに行く時にいつも通ってる森があるでしょ。あの道から外れて奥に行くと、地元の人達でも滅多に入ることのない場所があるんだ」

「かつて、今よりも魔術研究も進んでいなかった頃のお話です。あの森はトロール以上に危険な正体不明の生き物が出ることから当時から立入禁止になっていたのですが、希少な素材が多く存在していた為に犠牲者が後を絶たなかったんです。そこで、実力派の魔女を含む精鋭軍があの森の調査に向かいました。しかし、誰一人帰って来なかったという逸話が残っているんです。その後複数回の調査で、全員の死亡が確認されたとか」

「魔女は寿命以外で死ぬことはほぼ有り得ねぇんだ。ケンちゃん、魔女が殺されるというのはそちらが思っている以上に深刻な問題なんだよ」

「そんな危険な場所と、隣り合わせの場所を僕達は通っていたのですか……?」


 ケンの額から冷や汗が垂れ落ちる。


「魔女喰いの森という呼び方は、魔女が中に入っても生きて出られる保証がないことからそう呼ばれているんです。因みにイレザリアだと『魔女狩りの森』なんて呼んだりするんですよ」

「この辺りの子供のしつけでね、『悪いことをしたら魔女喰いの森に放り込むぞ』なんて言う親もいるんだ。とにかく恐ろしいモノの代名詞だね、あそこは」

「少なくとも今では、役所で申請して許可を得ないと中には入れませんよ。それに許可を得ずに入ってもし遭難した場合、救助が入るということはありません。許可証なら関所でも申請出来ますので、興味がおありでしたら是非一度……」

「やめて下さいとんでもない」


 コモドが慌ててウラルを止めた。


「冗談ですよ」

「冗談に聞こえません」


 涼しい顔をして、茶を口に運ぶウラル。


「で、ゼーブルのことですがね。ヤツもどうやら闘術士のようです。宝眼術を使うようですね」

「宝眼術? 宝石を媒体とし、目から通じて魔力を開放する術でしたっけ、確か」

「そうです。恐らく、ケンさんがオドーンのアジトで受けたのも宝眼術、それも複眼催眠でしょうな」

「……確かに、何かそういうようなことを言ってたような」

「ヤツのハエの仮面に付いた複眼。アレは大量の宝石を散りばめた、恐ろしく高価な魔触媒です。しかしあれだけ集めれば威力が出るのも納得がいきますね。破眼念爆を使ってきましたよ」


 その術技名を聞いたコモドの隻眼がピクリと震えた。


「はがんねんばく……?」

「破眼念爆ってのは、目の焦点を合わせた箇所に魔力を一気に照射して爆発を起こす大技さ。随分と使いこなしてやがる、恐らく旧魔術の媒体もその仮面だな」

「何にせよ、ヤツの手の内がある程度分かったということで伝えておこうと思いましてね」

「ウラルさーん!」


 そこに声がかかる。若い役人が喫茶店に入って来た。


「おやカニス君。そうだコモドさん、紹介しときましょう。今度の魔女集会における、舞の警護に就くこととなったカニス・マイヨール君です」

「は、はいッ! 初めましてコモドさん、紹介に預かりました、カニスです!! 入って半年の新入りですが、よろしくお願いしますッ!!」

「よろしく。そして頼りにしてるよ。ところでカニスさんだっけ、ウラルさんに用事があったんじゃないの?」

「嗚呼そうでした!! ウラルさん実はですね……」


 ウラルの耳にそっと何かを告げるカニス。それを聞いたウラルの表情がキリリと切り替わる。


「分かった、すぐ持ち場に戻る。コモドさん、ケンさん、お時間取らせてしまって申し訳ない。では」

「いえいえ、こちらこそ。また何かあったらお願いしますね」


 ウラルを見送ったコモドは、ケンと一緒に喫茶店から出ようとした、その時であった。


「おや、こないだのコモドさんではないですか」

「あれ、ペオルさん?」

「お知り合いですか?」

「いや、こないだ酒場で会ったばっかり。ども、朝から仕入れですかい?」


 喫茶店に入って来たペオルが気さくにコモドに話しかけて来た。


「いや、ここ数日の仕事が終わってね。ここで一服したらイレザリアに帰るつもりでして」

「そうですか、お疲れさんです」

「しかし賑わってますね、この辺りも。何かお祭りでもあるんですか?」

「嗚呼、今度の満月が赤い月でしてね。魔女集会が開かれるのですよ」

「ほう、魔女集会ねぇ」


 一瞬目が細く尖ったペオルの様子を見て、しまったという顔をコモドは見せた。


「あ……イレザリアの方って魔女はお嫌いでしたっけ」

「いえいえ、私はその手の偏見は持っておりませんよ。ただ、せっかくの祭りですので、と思いましてね」

「そういうことでしたか、なら良かった。ではこれにて」


 喫茶店から出るコモドとケンであったが、ケンはしきりに首を傾げていた。その様子に気付いたコモドが問う。


「ケンちゃん、どうかしたのかい?」

「さっきの人、なーんか会ったことがあるような気がするなァ……」

「そうかい。まぁ初めて会った人でもよくあることだよ、気にしなさんな」


 二人の背中を見送ったペオルの元に、カニスが現れる。茶を口に運びながら、ペオル――改め素顔のゼーブルは話しかけた。


「持って来たか」

「はい、こちらです」


 カニスが持って来たモノ、それは一枚の紙であった。


「湖の祭壇と岸部を繋ぐ橋に二名、祭壇の周囲に舟を浮かべて一人ずつ、かがり火を焚いて見張る者が四名。更に魔女の元に四名と会場入り口に二名です。舞が終われば、この祭壇の見張りは会場全体に散らばり治安維持に務めるようです」

「御苦労だった。持ち場に戻りたまえ」

「ハッ」


 茶を飲み干し、小銭を置くとゼーブルは店を去る。朝陽の中、関所を見つめる黄金色の目には邪悪な暗い輝きが灯っていた。すれ違う人々はまだ気が付いていない。この男が、その手で何人も手に掛けた殺人鬼であることを。この男が、暗黒組織と噂される陰の存在と関わりを持つことを。コモドはまだ知らない。噂話を肴に呑む酒が大好きな、気さくなペオルさんの、その正体を。


~次篇予告~


どうも、ウラルですよ。ゼーブルのヤツ、一体何を企んでるんでしょうかね。

次篇ではとうとう赤い月の晩、魔女集会が開かれます。

第八篇『魔女集会で遇いましょう』をお楽しみに。

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