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バルコニーに出ても、小雨しか聴こえない。

まどのそとに出ても、なにも視えないんだ。


灰色の欲望以外は、なにひとつ、なにひとつ。

ほんとうになにひとつ、視えないんだ。


せめて熱いお湯で

癒して欲しい体。

熱いシャワーでしゃきっとして

あくる日の日常を取り戻さなければ。


部屋の中にいても、あなたの声しか聴こえない。

ドアの外に出ても、だれも居やしないんだ。


灰色の欲望以外は、なにひとつ、なにひとつ。

ほんとうになにひとつ、聴こえないんだ。


せめてあなたの鳴き声で

優しい気持ちに縋りつけたら。

カーテンを開けて窓ガラスに映る

微笑める私を取り戻さなければ。


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