私と寂しい黒猫の話
黒猫が好きだ
黒猫が好きだといっていたら
黒猫に好かれてしまった。
黒猫が好きだ
とはいっていたが、
ほんとうに
恋愛対象としての好き、
とはちがってだね、
皆んなが、嫌いっていうから
天邪鬼な心がムクムクわき起こって
私だけは、好き、といってあげる
みたいな「好き」だったのに、
なんか話がどんどん大きくなっちゃって、
私が黒猫に惚れているみたいな、ね?
黒猫は、寂しい《ひとり》に
耐えかねていたので、
その話を知って
急いで私のもとに這ってやってきて
二本足で立ち上がって私の眼を見て
「つきあってやってもいいんだぜ」
て、上からのものの言い方。
ムカついたんで、
四つん這いにさせなおして
べつに惚れてるわけじゃない旨、
こんこんと言って聞かせたんだけど
(それこそ、物理的にも上からの目線で)
ヤツ、必死なので、こっちの言う事
ちっとも、聞きゃしないのさ。
面倒くさくなって、
なら、
お互い形だけの恋人ってことで
手をうったんだけど、
なーんか、調子に乗って、その後も
ほんものの恋人づらすることもあったりして、
そのたびに、
四つん這いにさせなおして
こんこんとお仕置きタイムしてやるんだけど、
ヤツ、すぐ眠たいふりして顔撫でて、
なーんか、欠伸までしやがって、
ムカつく〜。
いまは、へんな
恋人生活っぽいのしてる。
あ、
むろん、関係なんてないよ。
同居もしてないし。
ただ、やっぱり少しだけ、
情が移ってしまってるかな、
とは、思ってる。




