表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

赤い月なのに……猫のくせに……

赤い満月の夜は、

不吉だというけれど、


確かに、

みた感じ、

心洗われる清々しさは

かんじられない。


それとは違って、

心ねじられるような、

渇きをおぼえてしまったりする。


けれどそれは、ただのイメージ。


健全な心を忘れないで。


赤い月に、飲み込まれないで。


なにも、起こらないから。


不吉なことなんて、ないから。


ただ、こらえられない叫び声とか、

漏れそうな、心が痛む夜は、


(私と遊んでほしい)


と、ひとり、ほほえむ、


(あなたが、欲しい。)


眠れないベッドで

ごろごろ転がりながら、

あなたが欲しいあなたが欲しい

あなたが欲しい、と、口に出して

小さな声で言ってしまう。


窓の外に

赤い月が、低い夜空に浮かんで、

眼下の街のあかり真近く

触れ合おうとしてみても、

けっして触れることができない。

猫が、

まるで愛する人を呼ぶように

しっとりとやさしくまとわりつくように

にゃ〜ぁ、にゃ、にゃ〜ぁ、と

私の名前を呼ぶのに

私に触れることができないように。


私は、猫なんか、嫌い。


あなたに、逢いたいだけ。


たとえ、今夜が、

外出控えるべき赤い月の夜でも、


あなたに、逢いたいだけ。


猫のくせに、私を呼ぶな。

猫のくせに、やさしくするな。

猫のくせに、甘えさせるな。

猫のくせに、眼を閉じ、泣くな。

私を、寂しそうだと、思うな。

私を、可哀想だと、思うな。

私を、好きになるな。


猫のくせに…………



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ