表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たな転生者は『そうぞう力』が豊かなようです!!  作者: 初心者P
第一章 転生からのあれやこれや
4/20

第3話 異世界での村人第一号は勇者でした

初めまして勇者=サン、な回です。

何の面白みもないですが、暇つぶしをしていってください。

 夢を見た。

 夢と呼んでいいかは分からないが、そんな感じの何かを見た。


 少なくとも、それが現実ではないということは分かる。


 その夢では、俺は見知らぬ場所にいて、そこで知らない人に話しかけられている。


『やぁ、初めて異世界はどうだった?』


 どうもなにも、死にかけたよ。剣なんか使ったことなかったし、あまり良かったとは言えないかな。


『ははは、だろうね。でも、君は運が悪かっただけだ。これから、もっと楽しい生活が待っているよ』


 だと良いんだけどな。


 それより、お前は誰だ? 俺を知っているのか?


『知っている。けど、君は俺を知らない。いや、知ってはいるけど、分からないだろうね』


 それってどういう−−


『おっと、もう時間だ。それじゃ、おやすみ』


 俺が言い終わる前に、目の前が真っ暗になって……俺は意識を失った。





「ん……あ、あれ?」


 目が覚めた。

 さっきまで不思議な夢を見ていた気がするが、もう覚えていないな。


 というより、ここ、どこ。


 目覚めた場所は、どうやらベットの上だ。誰のものかは知らないが……って、あ!


 そうだ。俺は、あの獣に襲われて、そこで黄色い閃光が見えて、それで……なんだっけ。


 俺が記憶をたどりながら体を起こそうとすると、右肩に強烈な痛みが走った。

 思わず唸ってしまうほどだ。


「あまり動かない方がいいよ。怪我しているから」


 と、そこへ突然何者かの声が聞こえてきた。

 声のした方へと目を向けると、そこには金髪の女性が立っていた。


「痛っ、あなたは?」


「ボクはツカサ、君は?」


「私は直m……いえ、ケイです。ツカサさんですか」


 ツカサか。この世界にも日本人らしい名前の人がいるんだな。

 なんとなく、安心した気がする。


「ツカサって名前、ボク的には珍しいと思っていましたが、君の名前もボクに負けず劣らずだね」


 あれ、この世界だと日本風の名前が一般的ではないのか?


 俺が首を傾げていると、ツカサが「ははっ」と笑った。


「君、何も知らないの? もしかして、この世界の人間じゃない、とか?」


 ドキッと、心臓が高鳴った気がした。

 決して、恋をしたとかそういうことではなく、何か、図星を突かれたような。心臓がぎゅっとなる感覚だ。


「その顔は、図星ですね」


「……」


「別に隠さなくてもいいですよ。ボクも、この世界とは別の世界から来ましたから」


 衝撃的だった。まさか、異世界に転生者して初めて出会う人が、自分と同じ境遇だとは。


 しかし、どうして俺を助けたのだろう。

 こういう世界の場合、弱肉強食な世界の場合は、自分の命が第一、他人は二の次という人が多いのではないのか?

 俺だって、他人のために危険を冒すことはしないだろう。


 けれど、彼女は俺を助けてくれてあ。しかも、この傷口……。


 俺は傷口に目を移す。


 右肩には包帯が巻かれており、痛みはあるが血は出ていない。

 何かしらの処置が施されているのは明確だ。


 治療までしてくれている。

 あまりにも献身的というか、世のため人のためすぎるんじゃないのか。


 そう思った俺は聞いて見ることにした。


「なんで、私を助けたんですか?」


 その問いにツカサは驚いたような表情をし、その後、窓の外を見ながらこう呟いた。


「ある人が、そういう性格だったからね。移っちゃったのかもね」


「ある人?」


「あ、なんでもないよ。ただ、ボクがそうしたいと思ったからだよ。別に何かを求めてやったわけじゃない」


 疑っていた、ということではないが、やはり信じられない。

 こういった人間が本当に存在するということが、信じられなかったんだ。


 実際、俺も地球で暮らしていた時、苦しんでいる俺を助けてくれた人はいなかった。

 そんなことは関係ないのだろうが、まぁ、今は気にしなくてもいいだろう。


「ケイさん?」


「あ、はい?」


「いや、何か遠くを見ていた気がして……どうしたのかなと」


 ツカサに言われて初めて気が付いた。

 どうやら俺は、過去を懐かしみ過ぎて目が遠くを見ていたようだ。


「すいません。ちょっと昔を、前世を思い出してました」


「その言い方だと、やっぱり転生者なんだね」


「はい。ですが、詳しいことは聞かないでください」


「何故?」


 言いたくない、わけではない。どうしても隠したい、わけでもない。

 ならば何故か。

 俺は思い出したんだ。昔読んだ本にこう書いてあった。


『力も知恵も相手に劣っているならば、君が一番相手に勝っているもの。それはおそらく、情報だ』……とね。


 自分から情報をペラペラとしゃべっていては、この世界で生きてはいけない。いや、人間社会では生き残れないだろう。


 俺には気の許せる友人も、背中を預けられる仲間もいない。

 だからこそ、一人でも戦えるように備えておく。


 備えあれば憂いなし。


「……分かった。君が言うならそうしよう。初対面の相手に全てを話せってのもおかしな話だしね」


「分かってくれたようで助かりました。そこで、アレなんですが、お聞きしたいことがあるのですが」


「その前に、固い口調はやめにしょう。ボクに敬語はいらないよ。ボクから口調を軽くしても、君は中々揺るがないのは凄いと思ったけど」


「そうか。なら、お言葉に甘えて。ツカサ、聞きたいことがある」


「何だい?」


 少し神妙な面持ちになったかと思ったら、口調を軽くしろ、なんてことだったとはな。身構えてしまったぞ。


「ツカサ、君は一体何者なんだ。あの俺を獣から助けてくれた閃光。本当に君がそれならば、あの戦いは、あまりにも人間離れしているだろう?」


「あー、なるほど。ボクね、勇者なんだ」


 勇者……異世界に転生し、餓死しかけ、獣に殺されかけ、初めて出会ったのは勇者と。

 何というか、これからが不安になるこの流れだが、俺の進む道には何が待っているんだろう。


 俺はゆっくりとベットから立ち上がり、ふらふらと窓辺へ向かった。そして、そのまま窓の外を見た。


 日差しが眩しく、視界が一瞬白くなった後、外の景色が見え始める。


 どうやらこの部屋は町の大通りに面しているらしく、馬車は人が行き来しているのが見えた。

 行き来している人々は全てが見たことのない服を着ているうえ、頭髪の色がカラフル過ぎて眩しい。自分のは……黒だな。変わらない。


「ねぇ、ケイ?」


 それに、馬車と言ったが、荷車を引いているのが必ずしも馬ではない。

 まさかあれは、ドラゴンか? 竜車ってヤツなのかな。


「ケイくーん」


 全体的に非武装の人が歩いているが、たまに剣や槍を持ち歩いている人が見える。ファンタジーあるあるで言えば、冒険者、あるいは兵士といったところか。

 人数が少ないのを見ると、戦力を蓄える必要がないのかもしれない。つまりは、争いのない平和な町、ということだ。


「ケイさーん。ケイさん、聞いてますかー?」


 さてと、まず目前の目標としては金稼ぎだ。

 何か手ごろな仕事で金を稼ぎ、安定した生活を確立させなければな。

 人探し以前の問題になってしまう。


「勇者アタック!」


「イタッ!? ちょ、何?」


 窓の外を見ていると、急にうなじに痛みが走った。

 振り向くと、膨れっ面なツカサがチョップの構えをしているのが見えた。


「えっと、え?」


「え? じゃないよ! ボクの話を無視して何外の景色を楽しんでるのさ!!」


「いや、別に楽しんでたわけでは」


「関係ないね! 無視したことに変わりはないし。ボクは勇者なんだよ? 勇者、そんなボクを放置ってどういうこと!?」


 oh……勇者とかいきなり言われて現実逃避していたけど、どうやらツカサを怒らせてしまったようだ。


「大体君は助けてボクに対して礼の一つもないの――」


 それから、ツカサの鬱憤が爆発したのを抑えるので時間を費やした。


 はぁ、これからは現実逃避も程々にしないとな。

 こうなっては本末転倒というか、結局はマイナスだ。


 この後、ツカサが正気を戻すのに一時間かかったとか……かからなかったとか。

名前:ツカサ

年齢:21

種族:人族

職業:勇者

所属:なし


これがツカサの大まかな情報です。

21歳、お姉さんですねぇ。

前作では何歳だったかな……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ