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新たな転生者は『そうぞう力』が豊かなようです!!  作者: 初心者P
第一章 転生からのあれやこれや
11/20

第10話 英雄ユウト

ちょっと遅れました。申し訳ございません。

今回は短いです。長くなるよりかは、分割を選択しました。

 目が覚めた。外は朝方なのか少し薄暗く、人通りも少ない。そんなに眠っていたのかと思った時、違和感を覚えた。

 目が覚めたのはベットの上だったのだ。気絶する前は椅子に縛り付けられていたはずなので、おそらくはツカサが寝かせてくれたのだろう。

 どうしてかは分からないが、許してくれ……ということなのだろうか。それとも、可哀想とでも思われたとかな。


 俺を気絶させたツカサ本人は――俺が目覚めた時にはいなかった。


 部屋にはツカサの荷物はなく、なんだか殺風景になってしまっていた。これだけで、ツカサがこの部屋から出ていったのが分かる。出て、行ってしまったようだ。


 しかし、ツカサを探しに行くというのもおかしな話になってしまう。別に俺はツカサがいなければ何も出来ない男ではない。それに、探す当てがない。無暗やらたらに探し回っても疲れるだけだ。

 もし次に出会った時、誠心誠意謝らせてもらえればそれでいい。今は、それだけでいい。


 話は戻って、フローリアからのアドバイス「ノラさんに会いなさい」を決行しよう。これは最重要目標である。またあの怒りの女神に会いたくはない。今度こそ殺されてしまう。


 俺はノラさんに会うために宿から外に出て情報を集めようとした。だが、その必要はなかった。

 宿を出ようと部屋から出て1階に降りた時だった。この宿は1階が食堂になっているのだが、そこにまさかのノラさんがいたのだ。正確には、料理を運んでいた。つまりは、ここで働いていた、ということだ。


「あれ、ノラさん?」


「え? あ、あの時襲われていた方!」


 どうやら俺のことを分かってくれたらしい。覚えていなくても別に良かったのだが、なんか嬉しい。


「あの、俺が逃げた後……その、大丈夫だったんですか?」


 俺はノラさんにへっぴり腰になりながらも聞いてみた。気になった、というのもあったが、やっぱり知っておかなければならないと思ったからだ。逃げた身としては、自分が犠牲にしてしまったのだから目を背ける訳にはいかない。


 俺の問いにノラさんはキョトンとした後、微笑んだ。

 その微笑みはまるで、全てを許す女神のようだった。少なくとも、俺にはそう見えたな。


「お気になさらず。あれは私が逃げてと言ったんです。あなたが悪いのではないですよ」


「……その語尾、癖なんですか?」


「うぇ? あ、いや、違っ」


 こんな時にあれだが、気になってしまったのだから仕方がない。

 俺に指摘され、顔を赤くして目を逸らすノラさん。とても可愛いかったが、何だか申し訳なくなってしまった。


「すいません、変なとこ指摘しちゃって」


「いえいえ、この語尾は子供の頃からの癖なので気にしないでください……ですよ」


「そうですか。分かりました」


 やはり癖は中々抜けるものじゃないんだと思いつつ、俺は本題を切り出した。


「ノラさん、実は俺探している人がいるんです」


「探している人、ですか?」


「はい。名前は、ユウト。聞き覚えはありませんか?」


 俺がそう聞いた瞬間、ノラさんの表情が一気に暗くなってしまった。その顔は、何かを知っているように見えたが、とても聞ける状況ではない。暗く、悲しそうな顔をしている人に聞く程俺はデリカシーのない男ではないさ。


「ユウト……を、探しているんですか」


「は、はい」


「……付いて来て下さい」


 暗い顔のままのノラさんに、店は放っておいていいのかと思いながら俺は付いて行った。宿を出て、道になり歩き、向かった先は……墓地だった。

 その墓地には数多くの墓が立っており、朝方の暗い雰囲気がなんとも言えず怖い。


 そんな見渡す限り墓だらけの中で、ノラさんはピタリとある墓の前で止まった。その墓にはこう書いてあった。


 英雄ユウト ここに眠る


「ユウトはもう、死んでしまったのですよ。世界を救うために」


 目の前が真っ白になった。同時に、これからどうすればいいのかも分からなくなってしまった。

 だってそうだろ。探せと言われた人が、既に死んでいるなんて思わない。聞かされてもいなかったんだ。頭が混乱しそうだよ。


 はぁ、フローリアさん……俺はどうすればいいんですか? 死んでいる人を探せと言った貴女の気持ちが理解できない。


 俺がユウトさんの墓の前で呆然と立ち尽くしていると、背後に気配を感じた。それは決して良い気配ではなく、寒気のようなものが混じった負の気配。

 振り返ろうとした瞬間、爆風が俺を襲った。その爆風の中、微かに声が聞こえた。


「目障りな英雄には、消えてもらおう」

次回、襲来

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