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IMATE  作者: 風雅雪夜
外伝 その1
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童話『騎士王の革命物語』

 モクシュカ・ジャドゥに伝わる童話。それはある女魔導士が自分の国を出て、辿り着いた国で悪魔を倒し、王様になったという話。

 国民はこれが真実だと疑わない。

 最後に勝つのは、正しいまっすぐな思いを持った人間を描いた、子供から大人まで、誰からも好かれた童話。

 ただ、この話を書いた人の名は伝わっていない。そして、この童話の本を売っていたのは、胡散臭い黒衣の男。

 その人は民の命を、平和を望みました。

 皇女として心優しく、騎士として勇ましく。

 しかし、その皇女は民から愛されていながらも、王の籍から外された、悲劇の皇女でした。

 これは、ただの女騎士になった彼女が再び異国の地で王となるまでの革命の物語。




 バルバラ帝国という大きな国がありました。軍事大国でそれはそれは強い国でした。しかし、周りの国はその兵力を欲しがり、豊かな国を欲しがり、いつもバルバラ帝国は戦っていました。

 国の王様には子供が三人いました。そのうちの一人、二番目の子供は女の子で皇女様でした。頭もよく、国民からの人気もありました。母親からは美しさを、王である父親からは王としての威厳と強さを受け継いだ皇女様でした。兄を差し置いて次の王となるのは彼女である、と家族も民も信じて疑いませんでした。




 ある日、皇女様は王様と戦場にいました。王様は後ろの方で戦いを見守っています。皇女様は真ん中辺りで指揮をしています。

 その時、頭の上を大きな火の矢が飛んでいきました。それは大きな音と高温と衝撃を辺りに撒き散らしながら落ちました。



「父上!」



 皇女様は馬を走らせました。

 そこは真っ黒でした。その辺りの大地も人も真っ黒で燃えていました。おぞましい光景です。



「父上! 父上ー!!」



 何か動くものを見つけました。なんとか王様は生きていましたが酷い火傷で、生きているのが不思議なくらいでした。



「ああ、父上がいなくなれば、この国の平和は終わってしまう。失うだなんて、そんな! 生きてください、父上!」



 皇女様から白い光が広がり黒い大地の上に広がります。すると不思議なことに王様の火傷はみるみる治り、他の生き残った兵士達も起き上がり、火傷を負う前の姿で復活したのです。

 さぁ、反撃です。押し寄せる王様と皇女様、兵士達が敵を押し返しました。戦に勝ったのです。




 皇女様が時間と空間の無属性の魔法を使えるようになったことで、新たな問題が起きました。

 無属性の魔法は時間と空間に加えて、全ての属性の力を操ることができます。つまり、ただの魔導士よりも大きな力を持ったことです。それはバルバラ帝国にとっては大きな力でしたが、同時に他国からはその力欲しさに攻めこまれる原因です。もっと戦が増えてしまうでしょう。


 芽は早いうちに摘み取れ。


 皇女様は戦争が原因で死んだことにして、国を出ることになりました。皇女様はただの騎士になりました。




 騎士はモクシュカ・ジャドゥという国に向かいました。その国は無属性の魔導士のために作られた国で、その国の王様のような人、シャーサーカ様が治めている国でした。自分と同じように故郷を出ることになった人が大勢います。そんな人達のために作られた国です。

 途中で山賊や盗賊、魔物と戦いながら騎士はモクシュカ・ジャドゥに着きました。

 モクシュカ・ジャドゥは騎士を快く迎え入れ、国を守る魔導士のジャーディアンにいれてくれました。騎士は無属性の魔法、その他の属性の魔法の使い方、魔法とは何か、を学びながら国を守り続けました。騎士の仕事は国境の衛兵です。自分と同じ目に遭った人を迎え入れたり、国で悪さをしようとするものを追い返したり、と仕事に誇りをもって、守るために働きました。




 ある日、旅の魔導士の一団が国にやって来ました。そのうちの一人は自分と同じ無属性魔導士の少女でした。かつて、ジャーディアンだった彼女はシャーサーカ様が人間ではなく化け物だと、自分は強くなってそれを倒しに来た、と言いました。



「信じられない!」

「いいえ、本当よ」



 魔導士の彼女はある人を紹介してくれました。それは動く、生きた人形でした。その人は昔、シャーサーカ様になる予定の人でした。しかし、それをよしとしない悪魔に体から魂を追い出されて人形の体に入ることになってしまったのでした。証拠に昔の魔法や、過去の記憶を魔法で見せてくれました。

 騎士は許せませんでした。あのシャーサーカ様がそんな酷いことをしていたなんて。悪魔だったなんて。仲間と共に騎士は戦うことにしました。この国を悪魔から救うために。

 騎士達は悪魔に戦いを挑みます。剣と魔法で攻撃をしますが、悪魔はシャーサーカ様の強い魔法の力を使って騎士達を苦しめます。ただの人の体なのに、まるで大きなドラゴンのような、とても大きな相手に思われます。



「騎士として、国を守りたい!」



 そう強く願ったとき、剣が強く白く光りました。火の赤、水の青、風の緑、土の橙、光の黄、闇の紫、の六つの属性が合わさった白い無属性の光。全ての魔力を剣に込めます。仲間からも魔力を貰い、騎士の力は悪魔の力にも負けないほどになりました。



「覚悟!!」



 その剣は悪魔の体を切り裂きました。

 悪魔が叫びます。白い光の中で苦しみながら、悪魔は消えていきました。




 悪魔を退治した騎士はモクシュカ・ジャドゥを治めることになりました。騎士以外に国を治めることを知っている者がいなかったからです。皇女様から騎士になった彼女は最後に騎士王になりました。


 国を守った英雄の騎士王。その名は、リティカ・グレーヴィッチ。

 現在、モクシュカ・ジャドゥでは、この童話の作者をジャーディアンが行っているという。謎の作者には近々、文学賞が贈られるらしいが、未だに謎の作者の影はつかめない。それどころか、売り子の謎の黒衣の男の行方も知れぬままだ。

 ジャーディアンの一部の者しか知らない、生きた人形のことも書かれていることから、本当の出来事を知っている者が書いたことはわかってはいるのだが……。

 果たして、この童話は誰が書いたものなのか?


_____________________


 次回は、本編に戻って新章、ウラグフェスタ編です。お楽しみに。

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