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IMATE  作者: 風雅雪夜
無属性魔導士編
33/88

ⅩⅩⅩⅢ 無属性魔導士編_14

 衛兵と人形師が人形と会い、衛兵は再び騎士として立ち上がった。再び場面は戻ってカイ達の方へ。怪物を追い詰めた、と思ったら、狂信者が乗り込んできた。白熱は必至。燃える心は誰のものか。


『新たな力』

「シャーサーカ様を放せ!!」



 魔法で攻撃してくるミーナ。ナーガがギリギリのところで避ける。その隙を狙い、ミーナがウルミラを取り返す。



「シャーサーカ様! お怪我を!」

「ミーナ、私は今、自分を治すことで手一杯です。彼らの相手を頼めますか?」

「わかりました」



 カイ達に向き直るミーナ。ウルミラを守るように前に出て攻撃の構えをとる。手にした杖には魔力が集中している。



「あの子も真実を知ればこっちに味方してくれるんじゃないかな? どう?」

「そうね。やってみる価値はある」

「何の相談だ。貴様らに味方も勝ち目もない。あるのは罰だ! 出でよ、我が心、燃える情熱の化身、ガルダ!」



 腰に下げた宝石が赤く輝き、炎を纏った鳥人が現れた。すごい熱と光がカイ達を襲う。



「王子、これ、話、通じる?」

「無理、だろうな……」



 戦って鎮めるしかないようだ。



「カルラ姉、これは僕達で相手をする。だから、あの子をお願い」



 カイの言葉に頷くカルラ。ミーナと向き合う。



「赦さん……」



 杖を向けるミーナ。話し合う気は全く無い。



「燃えて消え失せろ!!」



 杖から炎が伸びる。それをカルラは空間魔法の結界で防ぐ。



「無属性だとしても、シャーサーカ様を傷つけたことは万死に価する!」

「妄信的狂信者の貴女に何がわかるの? この人はずっとニータを食らってきた人。それを見せてあげる」

「賊の空想などに惑わされるか!」



 ミーナの話の通じなさに、カルラも苛立つ。自分の信じたものが自分の理想とは全く違う姿だったとしても、その事実を聞こうとしない。聞く耳を持たない。自分の理想こそが全て。



「久しぶりに本気でいかせてもらうわ」



 カルラの両腕が光る。袖から見えた宝石のついた腕輪。魔力の結晶である魔水晶が埋め込まれたバングル。魔水晶に大気中の魔力を集め、自身の魔力と結合させ、魔力を急速に高める。



「元最年少ニータをなめないで」






「ルリ、水竜の舞!」



 ルリの水による攻撃でガルダを撃つもその効果はあまりないようだ。



「マスター、水が届く前にほとんど蒸発します! それに、この部屋の水分が少なくて充分な水が作れません!」



 この室内の温度では、スノウを出すこともできない。自分達の攻撃だってまともにできない。どうすれば……。



「シャー!」



 ナーガの首が一斉に吼える。



「ナーガ?」



 威嚇だろうか。そう思った次の瞬間、全ての口からすごい勢いで水が噴射された。



「ピャアー!!!」



 全てガルダに命中する。そのすごい勢いの水流にカイ達は驚く。一体どこにこの量の水が貯えられていたのだろう。



「ナーガは破壊と再生、そして天気を操る力を持つ。腹の中で大雨を降らせ、台風を起こす応用くらいできる。主様の指示なくとも、自分で考えてカイ達を守れと出てくるときに命令されている」



 一番端のカイ達に近い蛇が話す。



「今なら君のイメートで攻撃できる」



 その言葉にカイはスノウを召喚し、ルリとナーガの力を借りてガルダを凍らせにかかる。



「ガルダ、火焔牢!」


 ミーナの言葉で火の牢屋がガルダを取り囲む。攻撃は弾かれたが、ガルダは弱っている。



「どうやら先代のニータ、貴女方のイメートはなかなか手強い。だがっ!」



 杖に力が集まる。



「ガルダ!」



 甲高い声を上げ、ガルダは炎の鳥の姿になり、ミーナの元へ戻る。炎の鳥はミーナを包み込み、そして、彼女と一体化した。



「!?」

「なんだ、これは」

「イメートが、人と……合体?」



 カイの言うとおり、それはイメートと人の合体。

 ミーナの背中には紅く燃える炎の翼、手足は炎の鎧に覆われ、手にした杖の先にもガルダの炎が燃えている。



「東の国の子が教えてくれた、ほんの一部の人間にしか得ることのできないイメートの力! この力を持った私こそがどのニータよりも優れ、シャーサーカ様を支えることができる!」



 声高らかに言うミーナ。



「逃げ出した貴女はジャーディアンの恥です。ここにいる資格などない。今すぐ消えなさい」



 カルラに杖が向けられる。



「カルラ姉っ!」

「燃え尽きろ!!」



 カルラに向かって放たれる炎は先ほどの比ではない。すぐにその高威力と被害を予測し、自分とカイ達を守るため結界を張る。



「っぐ……」



 結界越しでもその熱が伝わる。



「弱ったなぁ、土人形10体動かすんじゃなかった。助けたいけどできないや」



 その顔は笑顔ではあるが、焦るテイマ。



「(お? ……お? ……へー、どうやらあっちは成功したようだ。それで、すごいことになってるね)」



 土人形を通して外の様子が伝わっているテイマ。彼だけは、逆転の可能性が来ることを知ってその可能性に期待していた。






「はあああああっ!!」



 水の大剣が降り下ろされる。

 土人形の腕を切り落としたのは、リティカだった。ぼとり、と大きな音を立てて落ちたそれは落ちてすぐ形が崩れ、土に戻る。



「そうそう。最初は貴女の得意なやり方で使っていきなさい。そのうち、その水の剣を更に伸ばして神殿を壊せるほどになるわ」

「それはそれで怖いが、できたらかなり使える!」



 またも切り込んでいくリティカ。



「危ないから降りなさい!」



 ジャーディアン達に叫ばれているのはキルカだ。彼は今、土人形の頭の上にいる。土人形に手を当て、魔方陣を展開する。オレンジの光、土属性の光だ。



「……ふっ!」



 短く息を吐く。


 とぷん、と土にあるまじき音を立てて土人形の中に沈み入るキルカ。土人形の中に入り込むと、中で闇属性の魔法を展開する。土人形の制御権を奪い、動きを止める。そして、中から風属性の風の斬撃を起こし、内部から粉砕した。



「さすがキルカ。私のを見てきたから飲み込みが早いわね。かなり使いこなしてきてる。つい先日目覚めたのが嘘みたい」



 二人の魔法の使い方を見守るシュラ。彼女は本当に初歩的なことを教えただけだ。



「キルカ、疲れてない?」

「全く! 次だ!」



 魔法を使うことが楽しいのか彼は次の土人形の元へ移動する。



「貴女は?」

「これくらい、戦に比べれば朝飯前だ!」



 リティカも土人形に止めを指すと次の土人形に向かう。

 突然現れた二人に周りのジャーディアン達はその強さに驚き、下手に手を出せず、ただ邪魔をしないようにすることだけしかできない。あるものは戦況を見守り、あるものは土人形を僅ながらでも、足止めしようと申し訳程度の魔法を放つ。



「魔法だけ極めてればいいってもんじゃないのよ」



 神殿の塔の最上階を見つめる。ウルミラはそこにいる。



「もうすぐ終わらせる。そこで待ってなさい、ウルミラ」



 それは決意と使命の言葉だった。

IMATE世界あれそれこれ


イメート

◆ガルダ

 ミーナのイメート。火属性。幻獣種。光と熱を放つ炎の翼と尾羽を持つ鳥人のイメート。攻撃時には炎を纏い触れたものを焼き尽くす(らしい)手足があり、顔は鷲(とにかく猛禽類)のよう。甲高い鳥の鳴き声で人語は話せない。修行の結果、ミーナの鎧と化して合体することができる。強力な攻撃特化の火属性魔法を使うことができるが、相当な魔力と体力を消耗し神経を遣うというメリットとデメリットがある。




 話を聞かない人、少ない情報から話を勝手に作り替えちゃう人とか……。意外と近くにいます。




 炎に圧される魔導士。圧倒的な力の前に、燃やされてしまうのか。いや、まだ終われない。復讐を果たしていない。無属性魔導士は、どれだけその身体が傷ついても戦い続ける。自分に魔力がある限り。怪物を倒すまで。


 次回、『まだ戦える、まだ戦う』


 体を失っても、戦う理由がある。


 今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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